前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価の下落などアジア株全般が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、オーストラリアの雇用統計では、就業者数が過去最大の落ち込みを記録したこともあり、豪ドルは主要通貨に対して下落した。
米国市場では、欧州市場の堅調な動きが一服し、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米主要株価指数が序盤から大きく下落したことも加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。なお、序盤に発表された新規失業保申請件数は6週連続の減少となったが、マーケットの反応は限定的だった。その後、米国の経済活動再開への期待感が高まったことや、原油価格の大幅上昇を背景に、米主要株価指数が反発したことから、ドル円・クロス円は終盤まで堅調な動きが続き、ドル/円は107.36まで上昇した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から下落し、一時前日比458ドル安まで下落した。その後は上昇に転じて、377ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、80ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外時間にパウエルFRB議長が講演でマイナス金利に否定的な見解を表明したが、マーケットでは依然として米国がマイナス金利政策を導入する可能性があるとの見方が根強く、ドルは序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まったことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)仲値公示にかけて実需のドル買い観測もあり、ドル/円は値を戻したが、午後に入り日経平均株価が下げ幅を拡大し、終盤に前日比364円安まで下落するなど、アジア株全般が下落したこともあり、ドル円・クロス円は一段の下げとなった。ドル/円は一時106.78まで下落したものの、前日の海外市場の安値の106.75が意識されて下げ止まり、底固い動きとなった。一方、オーストラリアの雇用統計では、就業者数が過去最大の落ち込みを記録、失業率は予想を下回ったものの、2015年9月以来の高水準となったことから豪ドル売りが優勢となり、豪ドル/円は発表直前の69.08から68.63まで下落し、1週間ぶりの安値を付けた。欧州時間には、トランプ米大統領が「強いドルを持つには絶好の時期だ」と発言したことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となり、ドル/円は一時107.10まで上昇した。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保申請件数が6週連続の減少となったものの、マーケットの反応は限定的だった。その中で、トランプ米大統領のインタビューで、中国の習近平国家主席について、「いまは話したくない」としたことや、「中国との断交は可能か、その場合何が起きるか思案している」との見方を示したとの報道を受けて、米中関係の悪化が懸念されて米主要株価が序盤から大きく下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、ドル/円は一時106.86まで下落した。
(4)米国の経済活動再開への期待感の高まりや、原油価格が大幅上昇となり、約1ヵ月半ぶりの高値となったことを受けて、米主要株価指数が反発したことから、ドル円・クロス円も終盤まで堅調な動きが続いた。さらに、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は107.36まで上昇した。
本日のトピックス
米国市場では、主要な米経済指標の発表が予定されているが、5月NY連銀製造業景気指数は前回からの改善が予想されているものの、4月小売売上高と5月ミシガン大学消費者信頼感指数は前回を上回る低下が予想されており、依然として経済活動の停止やレイオフの急増が影響していることが示される結果が予想されている。ただ、最近では、経済指標の悪化に対するマーケットの反応は限定的となっていることから、今回も結果を受けた反応は限定的とみられている。その中で、昨日のトランプ米大統領の発言から米中関係の悪化懸念が広がったこともあり、引き続き関連する報道や要人発言には注目したい。
5/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-60.0 | -78.2 |
前回は、市場予想を大きく下回る結果となり、2001年の統計開始以来最低となった。経済活動停止の影響で、製造業への深刻な影響が浮き彫りになった。今回は、前月からややマイナス幅の縮小が予想されているが、依然として大幅なマイナスとなっていることから、改善したとの見方にはならないだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
4月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-12.0% | -8.7% |
前回は市場予想を上回るマイナス幅となり、1992年の統計開始以来過去最大の大幅なマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染拡大による店舗の閉鎖や、失業者の急増が要因となった。衣料品、自動車、家具などが大幅なマイナスとなったことが影響した。一方、飲食店や百貨店が大幅なマイナスとなった反面、無店舗小売りは大きく上昇した。今回は、さらにマイナス幅の拡大が予想されており、個人消費への懸念が一段と高まるだろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
5月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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68.0 | 71.8 |
前回は市場予想を上回ったものの、過去最大の低下となり、2011年12月以来の低水準となった。企業活動の停止や、失業者の増加などを背景に、消費者の不安が高まったことが示された。現在の景況感は、2011年8月以来の低水準となった。今回は、一段の低下が予想されており、消費者心理の改善にはまだ時間がかかりそうだ。 |