前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを受けて、ドル/円は序盤から上値の重い動きとなり、一時107.09まで下落した。しかし、107円台では値頃感の買い戻しも観測されて底固い動きとなった。一方、ニュージーランド中銀が政策金利を据え置いたものの、マイナス金利も選択肢の一つであるとするなど追加利下げの可能性に言及したことから、NZドルは主要通貨に対して大幅下落となった。その後、日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、欧州主要株価指数が下落して始まると上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された4月の米生産者物価指数が予想以上に悪化したことから、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、パウエルFRB議長が講演で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米経済の悲観的な経済見通しを示したことから、ドルは一段の下げとなった。その後、マイナス金利導入に否定的な見方を示したことや、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことも加わり、ドルは主要通貨に対して反発する場面もあった。ただ、リスク回避で円買いとなったこともあり、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比697ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小したものの、516ドル安(2.17%安)で終了し、3営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、139ポイント安(1.55%安)で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤からやや値を戻した。しかし、新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感も根強く、上値は限定的だった。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比310円安まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は107.09まで下落した。
(2)日経平均株価が下げ幅を縮小し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、パウエルFRB議長の講演を控えて様子見ムードが広がりつつあり、やや値動きは限定的だった。一方、ニュージーランド中銀が政策金利の据え置期を発表したが、国債買い入れの規模の拡大(従来の330億NZドルから600億NZドル)を決定したことや、マイナス金利も選択肢の一つであるとするなど追加利下げの可能性に言及したことを受けて、NZドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、NZドル/円は発表直前の65.22から64.32まで下落した。
(3)米国市場では、アジア市場から続いた流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して軟調な展開で始まった。序盤に発表された4月の米生産者物価指数が前月比ベースで2009年12月以来、変動の激しい食品、エネルギーを除いたコア指数も2013年9月以来の下げ幅となったことから、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いた。その後、パウエルFRB議長が講演で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、米経済の悲観的な見通しを示したことを受けて、ドルは一段の下げとなった。
(4)講演後の質疑応答でマイナス金利導入は現時点で検討対象外と否定的な見方を示したことから、ドルを買い戻す動きも見られた。さらに、欧米の主要株価指数が下げ幅を拡大したことも加わり、ドルは主要通貨に対して反発、ドル/円は一時107.15まで上昇した。リスク回避で円買いも強まり、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
新型コロナウイルスの感染拡大の影響による米国の労働市場への影響を見極める上で、マーケットでは失業保険関連の統計の結果が注目されており、本日は新規失業保険申請件数の発表が予定されている。新規失業保険申請件数は、ここまで5週連続の減少で縮小傾向が続いているものの、依然として300万件を上回っていることから、改善とは言い難い状況である。今回は、前週からさらに減少が予想されているが、労働市場の改善を見る上では、むしろ同時に発表される失業保険継続受給者数の結果に注目したい。
失業保険継続受給者数は、新規失業保険申請件数よりも1週遅れて発表される統計である。先週発表分までで2265万人となり、8週連続の増加となっている。継続受給者数が減少に転じれば、一時的に失業した労働者の再雇用が進んでいると判断できることから、労働市場の改善を見る上で減少するのかどうかが注目される。
5/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数 ![]()
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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250.0万件 | 316.9万件 |
前週は、市場予想を上回ったものの、5週連続の減少となった。ただ、依然として大幅な申請件数が続いており、経済活動の回復が見られないことが示され、急増後の7週間の合計は3348万件となった。今回は、さらに減少が予想されているが、インパクトのある減少とならなければマーケットの反応は限定的だろう。 |