前営業日トピックス
米経済指標の悪化や、原油価格の下落を背景にリスク回避が意識されてドルが主要通貨に対して上昇した海外市場の流れを受けて、ドル/円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたこともドルの押し上げ要因となった。一方、クロス円は日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したこともあり、やや上値の重い動きが続いた。しかし、ドル/円の上昇一服後は、円買い戻しもあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された3月の住宅着工件数やフィラデルフィア連銀景況指数が市場予想を大きく下回る結果となったことから米景気の先行き懸念が強まり、リスク回避の動きが意識されてドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、米欧での外出規制などが近く緩和されるとの期待が高まったことや、株価が終盤にかけて堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比292ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小する動きとなり、終盤にはプラス圏まで上昇して33ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、139ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い展開で始まった。日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比395円安まで下落したことから、クロス円は軟調な動きとなった。その中で、仲値公示にかけて実需のドル買いが観測されたことに加え、ドルがユーロやポンドなど主要通貨に対して買われたことから対円でも堅調な動きとなり、ドル/円は序盤の107.37から108.08まで上昇した。
(2)上昇一服後、ドル/円は108円台で上値の重い動きとなり、さらにユーロやポンドがドルに対して値を戻す動きとなったことから、ドルは対円でも上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、序盤に発表された新規失業保険申請件数が2週連続の減少となったものの、同時に発表された失業保険継続受給者数が過去最多を記録したことや、3月の住宅着工件数、フィラデルフィア連銀景況指数がともに市場予想を大きく下回る結果となったことから米景気の先行き懸念が強まり、投資家のリスク回避の動きが意識されてドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(4)ニューヨーク州で新型コロナウイルスによる死者と入院者数が約1週間ぶりの水準に減少したことが発表されたことや、米欧での外出規制などが近く緩和されるとの期待感からドルが買われる動きとなった。さらに、ドルはが対欧州通貨や新興国通貨に対して上昇したことから、対円でも堅調な動きとなった。その後、一時前日比292ドル安まで下落したダウ平均株価が下げ幅を縮小するなど、株価が終盤にかけて堅調な動きとなったことから、クロス円も底固い動きとなった。
本日のトピックス
ニューヨーク州で新型コロナウイルスによる死者と入院者数が約1週間ぶりの水準に減少したことや、米欧での外出規制などが近く緩和されるとの期待感から、リスク回避の動きがやや後退した。しかし、2週間以上継続しなければ楽観視はできないとの専門家の見方もあり、再び増加する場合にはリスク回避の動きが強まる可能性もあり、報道により相場が左右される可能性もあることから、注意したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表がないことや、週末であることからやや限定的な動きも考えられる。その中でドルは主要通貨に対して堅調な動きが続いており、引き続きこの流れが続くのか注目されている。ドル/円では、2営業日連続で前日の高値を上回っており、昨日は一時108円台まで上昇したことから、本日は108円台を維持できるのか、又は108.00円近辺で上値を抑えられる展開が続くのか注目される。