前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは主要通貨に対して軟調な展開で始まった。さらに、日経平均株価が下落して始まったことから、クロス円も上値の重い動きとなった。その後、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りも観測されて、ドル円・クロス円は値を戻したものの、プラス圏まで上昇した日経平均株価が再び下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速懸念や、原油価格の下落を背景にリスク回避の動きが優勢となり、ドルは主要通貨に対して買われた。ドル/円は、一時前日高値を上回る107.86まで上昇した。しかし、米経済指標の大幅悪化を背景に米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大したことや、米国債利回りが低下したことも加わったことでドル売りが広がり、ドル/円は終盤に107.25まで下落する場面もあった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比716ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小する動きとなり、445ドル安で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは122ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国で経済活動再開に向けて準備が進むとの期待感を背景にリスク回避の動きが後退したことや、9日のFRBのドル資金供給策によりドル需給の逼迫懸念が後退したことを材料に、ドルが主要通貨に対して軟調な動きとなった海外市場の流れを引き継ぎ、ドルは序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は106.93まで下落し、海外市場で付けた安値の106.98を下抜け、4/1以来の安値を更新した。さらに、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比172円安まで下落したことから、クロス円も軟調な動きとなった。
(2)ドル/円は107円台割れでは値頃感の買い戻しに加え、五・十日で実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、仲値公示にかけてドル/円は107.20まで値を戻した。しかし、仲値通過後は再び上値の重い動きとなった。午後には、日経平均株価がプラス圏まで値を戻したものの、米株価先物市場でダウ先物が下落したこともあり、日経平均株価も再び軟調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、欧州時間には円売りの動きなどもあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米経済指標が軒並み大幅悪化となったものの、新型コロナウイルスの感染拡大による景気減速懸念や、原油価格の下落を背景に、投資家のリスク回避の動きが優勢となり、安全資産とされるドルが欧州通貨や新興国通貨などに対して買われた。ドル/円は一時107.86まで上昇し、前日のアジア時間に付けた高値の107.78を上回った。
(4)米経済指標の悪化を背景に米主要株価指数が下落して始まり、ダウ平均株価が一時前日比716ドル安まで下落するなど軒並み下げ幅を拡大するしたことや、米国債利回りが低下したことも加わり、ドル売りが拡大した。ドル/円は、終盤に107.25まで下落する場面もあった。一方、ドイツで新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための規制が来週にも一部解除されるとの報道を好感してユーロ買いとなり、ユーロはドルや円に対して底固い動きとなった。
昨日に続き米金融大手の決算発表があり、昨日同様に低調な結果となったことから、決算を発表したバンク・オブ・アメリカ株が6.5%安、シティグループが5.6%安となった。
本日のトピックス
ここまで発表された米国の企業決算では、大手金融の低調な結果が続いたこともあり、今後発表される企業決算や見通しに対する警戒感も高まっている。決算結果が株式市場に影響する可能性があることから、引き続き注目したい。
一方、米経済指標の悪化はある程度織り込まれているものの、予想以上の悪化となる場合にはマーケットもネガティブになる。本日の米国市場では、新規失業保険申請件数(4/11までの週)、3月住宅着工件数の発表予定されており、結果が注目される。前者は先週から100件以上の減少が予想されており、2週続けての減少となれば一旦雇用の悪化がピークを過ぎたとの見方が広がる可能性もある。ただ、予想ほど改善とならない場合や、予想外の悪化となる場合にはマーケットへの影響も考えられる。一方、後者は新型コロナウイルスの感染拡大が結果に表れることが予想されているが、すでにここまでの指標の悪化が続いていることもあり、改めて懸念が高まるとは考えにくく、反応は限定的だろう。
ドル/円は、4/1の安値(106.92)近辺で下げ止まり(106.93)、反転する形となっており、ここからさらに上昇が続くのかどうかが注目されている。
4/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(4/11までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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550.0万件 | 660.6万件 |
前回は市場予想を上回ったものの、前週の過去最高からは減少した。米国各地で経済活動が停止していることから、当面申請件数の高水準が続くと見られている。最も早く出される雇用関連の経済指標であることから、雇用悪化のピークが過ぎたかどうかの判断材料として注目されており、引き続き関心が高い。今回は、100件以上の減少が予想されているが、予想通りの結果となるのか注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
3月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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130.7万件 | 159.9万件 |
前回は、2007年以来の高水準となった1月の結果から減少したものの、市場予想を大きく上回る結果となり、新型コロナウイルスの感染拡大の前の住宅市場が堅調だったことが示された。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出ていると予想されており、予想通りの結果なら、昨年9月以来の低水準となる。 |