前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤のドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が上昇するなど、アジア株全般が上昇したことから円が売られた。ただ、ドルは主要通貨に対して下落したこともあり、対円でも上値の重い動きが続いた。その後、中国の貿易収支の結果が好感されてアジア株価上昇するなど、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。
米国市場では、米国で新型ウイルス感染による死者数の増加ペースが鈍化したことや、米国の経済活動再開への期待感が広がったことを背景に、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となり、円が売られる展開となった。ただ、ドルは9日のFRBの資金供給策でドル需給の逼迫懸念が後退したことに加え、米国債利回りが低下したことから主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも106.98まで下落し、4/1以来の安値となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比649ドル高まで上昇した。その後は底固い動きが続いて558ドル高で終了、3/11以来の高値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは323ポイント高で終了し、3/6以来の高値となった。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米企業決算に対する懸念に加え、原油価格の下落を嫌気して米主要株価指数が下落するなど、リスク回避の動きが優勢となった海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価が上昇して始まったものの、時間外取引の原油先物価格が低迷したこともあり、ドル円・クロス円上値の重い動きが続いた。ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなったこともあり、対円で107.54まで下落した。
(2)ドル/円は、仲値公示にかけてやや値を戻す動きが見られたものの、通過後は再び上値の重い動きとなった。午後に入り、3月の中国の貿易統計が予想ほど悪化しなかったことからリスク回避の動きが和らぎ、日経平均株価が上げ幅を拡大して一時前日比662円高まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。一方、中国との貿易上の関連が深いことから、豪ドルは主要通貨に対して上昇となり、対ドルで3/12以来、対円で3/6以来の高値となった。
(3)上昇一服後は円買い戻しの動きからドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.772%から0.726%まで低下したこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)米国市場では、米国で新型ウイルス感染による死者数の増加ペースが鈍化したことや、トランプ米大統領が経済活動の再開に関して近く発表するとしたことで米国の経済活動再開への期待感が広がったことから、投資家のリスク回避の動きが和らいだ。ただ、先週9日のFRBによるドル資金供給策によりドル需給の逼迫懸念が後退したこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円でも106.98まで下落し、4/1以来の安値となった。一方、欧州で新型コロナウイルスの感染拡大懸念が緩和に向かっている兆候との報道を受けて、ユーロはドルや円に対して底固い動きとなった。
なお、注目の米企業決算発表では、製薬大手J&Jの四半期決算が予想を上回ったことや、配当を引き上げたことが好感されて大幅上昇となった。一方、金融大手のJPモルガン・チェースとウェルズ・ファーゴは大幅な減益となったことが明らかとなり、ともに下落した。
本日のトピックス
新型コロナウイルス感染拡大の勢いが後退しているとの見方や、米国での経済活動再開への期待感などもあり、投資家のリスク回避の動きがやや後退している。FRBの政策もあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きが続いており、対円でも6営業日連続で高値を切り下げる展開が続いており、2週間ぶりに107円台割れとなった。マーケットでは、ここからさらにドルの下落が続くのか注目されている。
米国市場では、4月NY連銀製造業景気指数、3月小売売上高、4月NAHB住宅市場指数の発表が予定されており、いずれも前回市場予想を下回る結果となった。今回は、いずれもさらに大幅なマイナスが予想されている。ある程度悪化を織り込んではいるものの、米景気の深刻な悪化が連想されるようなら、ドルが売られる可能性も考えられる。加えて、米国企業の決算発表も予定(大手金融のゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、バンク・オブ・アメリカなど)されており、こちらの結果に株価の動きが左右される可能性もあることから注目したい。
4/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月ニューヨーク連銀製造業景気指数 ![]()
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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-35.0 | -21.5 |
前回は2009年3月以来の大きなマイナスとなり、下げ幅は過去最大となった。新型コロナウイルスの感染拡大が製造業に悪影響を及ぼしていることが示された。今回は、さらにマイナス幅の拡大が予想されており、予想通りの結果なら過去最大のマイナスとなることから、結果が注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
3月小売売上高(前月比) ![]()
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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-8.0% | -0.5% |
前回は市場予想を下回り、2018年12月以来の大きなマイナスとなった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ガソリンスタンドや電気製品、建設資材など軒並みマイナスとなったことが影響した。今回は大幅なマイナスが予想されており、リーマンショック時に付けたの過去最低が-3.9%だったことから、予想通りの結果ならインパクトも大きくなる可能性が考えられる。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月NAHB住宅市場指数 ![]()
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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56 | 72 |
前回は3ヵ月連続のマイナスとなり、昨年11月以来の低水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で販売見通しが大きく低下したことが影響した。今回は、一段の低下が予想されており、予想通りの結果なら2018年12月以来の低水準となる。特に、販売の見通しが大きく低下している可能性もあり、個別の指数にも注目したい。 |
本日のトレードポイント

※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、一目均衡表の雲に沿って下落しており、重要なポイントとなる直近安値の106.921、雲上限ラインの106.720に近づいています。また、一目均衡表の基準線を下抜けたこともあり、ここからの動きが注目されています。
重要な下値のポイントを下抜ける場合には、一段の下げとなる可能性も考えられます。106.921を下抜けた場合の下値目標の計算値は、104.590と計算できます。
一方、重要なポイント近辺で底固い動きとなる場合には、一旦値を戻す展開となる可能性も考えられます。その場合の目安としては、基準線の上抜けや、オシレーターのMACDで先行するラインの上向き転換に注目です。