前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。米国で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、米景気が一段と悪化するとの懸念があることから、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、上昇して始まった日経平均株価が軟調な動きとなったことも影響した。その後、日経平均株価がプラス圏まで上昇となり、上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も底固い動きとなったものの、上値は限定的だった。
米国市場では、欧州市場の流れを受けて序盤からドル円・クロス円は堅調な動きとなった。新型コロナウイルスの感染拡大に対する楽観的な見方も加わり、ドル/円は一時109.10まで上昇した。しかし、ニューヨーク州で新型コロナウイルスによる死者数が連日最多更新となったことでリスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方で米主要株価指数が軒並み上昇したこともあり、ドル円・クロス円の下値は限定的となり、底固い動きとなった。さらに、中堅企業向け支援策に対する期待感から主要株価指数が上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も底固い動きが続いた。
米主要株価指数は、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、終盤には一時前日比859ドル高まで上昇し、高値圏を維持したまま779ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、203ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。その後、上昇して始まった日経平均株価が下落に転じ、一時前日比219円安まで下落したことから、ドル円・クロス円も一段の下落となった。ドル/円は、一時108.51まで下落した。一方、格付け会社がオーストラリアの格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたことを受けて、豪ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(2)仲値公示にかけてドル買い・円売りが観測されたことや、日経平均株価がプラス圏まで値を戻し、一時前日比504円高まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.696%から0.731%まで上昇したことも加わり、ドル/円は一時109.00まで上昇した。ただ、その後、米10年債利回りが0.691%まで低下したことから、ドル/円は上値の重い動きが続いた。
(3)米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。前日にトランプ米大統領が新型コロナウイルスの感染がピークに近づいているとの見方を示したことも好感され、ドル/円は一時109.10まで上昇した。
(4)ニューヨーク州で新型コロナウイルスによる死者数が連日の最多更新となったことで楽観的な見方が後退し、リスク回避の動きが優勢となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、一時108.60まで下落したものの、米主要株価指数が軒並み上昇したこともあり、底固い動きとなった。さらに、ムニューシン米財務長官が、最大4兆5000億ドル規模の中堅企業向け融資プログラムを週内にも発表するとの考えを示したことや、国民皆保険制度を政策に掲げていた民主党のサンダース上院議員が米大統領候補指名争いから撤退すると表明したことから、ヘルスケアセクターが上昇して株価全体を押し上げ、ドル円・クロス円も底固い動きが続いた。
なお、FRBが公表した3月の2回の緊急FOMCの議事要旨によると、新型コロナウイルスの感染拡大が米経済に悪影響を及ぼし、金融市場の混乱を招いているとの懸念を背景に、強力な措置の決定に至ったことが明らかになったが、反応は限定的だった。
本日のトピックス
世界的に新型コロナウイルスの感染拡大がピークを迎えるのかどうかが話題となっており、マーケットも関連する報道などに注目が集まっている。経済への影響が深刻化しており、各国でも経済対策を打ち出しているが、即効性があるのかどうかは今後の指数などから判断されるだろうが、時間を要するだろう。
その中で、本日の米国市場では新規失業保険申請件数と4月ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されている。前者は過去最多となった前回から改善が予想されているが、米国の雇用情勢の悪化が続いていることが示されると見られており、マーケットの注目は依然として高い。後者は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で消費者が米経済の先行きに不安を抱いていることが示されると予想されており、結果を受けてたマーケットの反応に注目したい。
新規失業保険申請件数は、通常時はそれほど関心が高くないものの、雇用関連の統計の中では最も早いデータであることから、今回の新型コロナウイルスの感染拡大による悪化がいつピークを迎えるのかを確認する上では有効なデータと考えられており、注目度も高まっている。
ドル/円は、109円台ではやや上値の重い動きが続いているが、一方で下値も108.50近辺で底固い動きが続いている。引き続きレンジ内の動きも予想されるが、上抜けや下抜けとなる場合には、動きが加速する可能性も考えられることから、注意も必要だろう。
4/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数(4/4までの週)
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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500.0万件 | 664.8万件 |
前週は市場予想を大幅に上回り、過去最多を更新した。2週間で約1000万件に達し、新型コロナウイルスによる経済的な影響の大きさが明らかとなった。幅広い分野で影響が出ていることも報告されている。今回は、前週からの減少が予想されているが、参考程度だろう。当該指標は、米国の雇用情勢を最も早く把握できる指標であることから、注目度が高まっている。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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75.0 | 89.1 |
3月の確報値は市場予想を下回り、2016年10月以来の低水準となり、下げ幅では2008年10月以来の大きさとなった。新型コロナウイルスの感染拡大でレイオフの増加など経済への先行き不安が高まっていることが示された。現況指数、期待指数ともに20016年10月以来の低水準となった。4月の速報値は、前月から一段の低下が予想されており、予想通りの結果なら2013年11月以来の低水準となることから結果に注目したい。 |