前営業日トピックス
先週末の米雇用統計が大きく悪化したものの、ドルの堅調地合いが継続したこともあり、週明けのドル/円も底固い展開で始まった。ニューヨーク州で新型コロナウイルス感染による死亡者の数が減少したことが発表され、米国で感染拡大にピークアウトの兆しが出たとの楽観的な見方からドル買い・円売りが優勢となった。さらに、日経平均株価が上昇して始まり、序盤に590円超の上昇となったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。終盤には、日経平均株価が850円超の上昇となったことや、欧州主要株価指数が序盤から大幅上昇となったことも加わり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。ドル/円は、米国債利回りの上昇も加わり、109.38まで上昇した。
イタリアやスペインで新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しが見え始めたとの報道に加え、NY州知事が新型ウイルスの感染拡大はピークにさしかかりつつあるとの見方を示したことが好感され、主要株価指数が大幅上昇となり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その中で、ジョンソン英首相が集中治療室で治療を受けているとの報道を受けて、ポンドは終盤に主要通貨に対して下落した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比1730ドル超の上昇となった。引けにかけて高値圏を維持し、1627ドル高(+7.73%)で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは540ポイント高(+7.33%)で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)先週末の海外市場で、米雇用統計が大幅悪化となったものの、ドルが底固い動きとなった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界経済の先行き不安を背景に、ドル需要が高まっており、ドル買い・円売りの動きが先行したことが要因と見られている。さらに、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前週末比599円高まで上昇したこともあり、ドル/円は序盤の108.41から109.09まで上昇する動きとなった。一方、新興国通貨は軟調な動きとなり、ランド/円は5.595まで下落、メキシコ・ペソ/円は4.225まで下落し、ともに過去最安値を更新した。
(2)その後は日経平均株価が上げ幅を縮したこともあり、上値の重い動きが続いたものの、引けにかけて852円高まで上昇する動きとなり、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.608%から0.654%まで上昇したことも加わり、ドル/円は午前中の高値を上抜けて109.38まで上昇する動きとなった。さらに、イタリアとスペインで感染による死者数が鈍化している兆しが見られたとの報道を受けて市場心理が改善し、欧州主要株価指数が上昇して始まったことも好感され、クロス円も堅調な動きとなった。
(3)上昇一服後はドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、米国市場序盤にかけてやや軟調な動きとなった。ドル/円は108.85まで下落した。
(4)イタリアやスペインで新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しが見え始めたとの報道や、NY州知事が新型ウイルスの感染拡大はピークにさしかかりつつあるとの見方を示したことが好感され、欧米の主要株価指数が大幅上昇となり、投資家のリスク回避の動きが和らぎ、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。小規模事業者支援のための資金供給を検討との報道を受けて、米主要株価指数が終盤に一段高となり、軒並み7%を超える上昇となり、ドル/円も109.25まで上昇した。一方、新型コロナウイルスに感染したジョンソン英首相が集中治療室で治療を受けているとの報道を受けて、ポンドは終盤に主要通貨に対して下落、対ドルでは1.2320から1.2215まで下落、対円では134.35から133.35まで下落した。
本日のトピックス
イタリアやスペインで新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しが見え始めたとの報道や、NY州知事が新型ウイルスの感染拡大はピークにさしかかりつつあるとの見方を示したことが好感されて欧米の株価が大幅上昇となり、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。本日の東京市場でも海外市場の株高に加え、緊急事態宣言の発動に伴う108兆円規模の大型景気対策への期待に日経平均株価も連日の上昇となっている。
マーケットでは、新型コロナウイルスに関して、2-3日のデータではなく、感染拡大ペースの縮小がある程度継続しなければ楽観視はできないとの慎重な見方もある。一方、大型景気対策への期待で株価の大幅上昇となっているが、ドル/円も底固い動きが続くとの見方もあり、108円台では値頃感の買い戻しが見られることから、引き続き下支えのポイントとなるのか、さらに昨日の高値である109.38を上抜け、109.50をも超える展開となるのか注目される。
米国市場では、主要な経済指標の発表がないことから、昨日同様株価の動きに左右される展開も考えられる。また、新型コロナウイルス関連の報道にも引き続き敏感に反応するだろう。一方、集中治療室で治療を受けているジョンソン英首相の容態に関する報道もポンドを動かす要因となることから注目したい。
4/7の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
2月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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650.0万件 | 696.3万件 |
前回は、市場予想に反して増加となり、3ヵ月ぶりの高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大が影響する前のデータであり、労働市場の堅調さが示された。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大が影響し始めた時期の統計であり、発表時期は遅いものの、最初に影響が出ている可能性も考えられることから、予想以上の減少も考えられる。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、107円台割れ近辺で底固い動きとなり、一旦値を戻しています。現状では、一目均衡表の転換線近辺でやや上値を抑えられる展開となっており、ここを上抜けて一段の上昇となるのか、ここから失速するのか注目されます。
本日の転換線は109.10に位置しており、ここが目先の上値のポイントと考えられます。ここを上抜ける場合には、一目均衡表の雲が次の上値のポイントと考えられます。本日は、雲上限と下限が同値の109.583、8日には雲上限ラインが109.538、9日には109.100、10日には108.607まで低下することから、このタイミングで重要なポイントとなる一目均衡表の雲上抜けとなるのか注目されます。
下値のポイントは、本日まで4営業日連続で下値を切り上げていることから、前日安値の108.399が心理的なポイントと考えられます。また、相場の方向性を示すとされる基準線は、現在106.463で横ばいが続いていますが、来週火曜日には上向きに転換することから、このタイミングにも注目です。