前営業日トピックス
前日の海外市場の軟調な流れが一服し、東京市場ではドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価が下落して始まったものの、下げ幅を縮小し、一時プラス圏まで上昇したことも下支え要因となった。ただ、午後には日経平均株価が再び下げに転じたこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米新規失業保険申請件数が過去最多を更新したことで、米雇用情勢に対する懸念が広がり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。しかし、その後トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアが原油を減産する可能性があるとの見方を示したことを受けて、原油価格の大幅反発となり、石油関連を中心に株価が上昇となったことが好感されてドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時108.10まで上昇したものの、108円台ではやや上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時208ドル安まで下落した。その後は上昇に転じて534ドル高まで上昇する場面もあり、469ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは126ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場では、新型コロナウイルスの感染拡大による米国での死者が急増し、米景気が深刻な影響を受けるとの懸念を背景にドルが下落となり、ドル/円が一時2週間ぶりに107円台割れとなった流れが一服し、東京市場では序盤から底固い動きとなった。日経平均株価が下落して始まり、一時前日比357円安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小したことからドル円・クロス円は底固い動きが続き、ドル/円は107.57まで上昇した。
(2)午後に入り、日経平均株価がプラス圏まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。ただ、引けにかけては再びマイナス圏まで下落し、下げ幅を拡大したこともあり、上値の重い動きとなった。
(3)米国市場では、米新規失業保険申請件数が664.8万件(予想370.0万件、前週330.7万件)と大幅増加となり、過去最多を更新したことで米国の雇用情勢の悪化が懸念され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は107.02まで下落した。
(4)107円割れを前にして値頃感の買い戻しも入り、ドル/円は底固い動きとなった。その後、トランプ米大統領がサウジアラビアとロシアが原油を減産する可能性があるとの見方を示したことを受けて、原油価格の大幅反発となり、石油関連セクターを中心に株価が上昇となったことから、投資家心理も改善してドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.575%から0.633%まで上昇したことも加わり、ドル/円は一時108.10まで上昇した。ただ、108円台ではやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
米国では新型コロナウイルスの影響で、今後GDPが前期比-28%に落ち込み、失業率も10%を超えるとの予測が出るなど、米経済への懸念も高まっている。雇用情勢を一早く見る上で注目される新規失業保険申請件数は、昨晩過去最多の664万件となり、2週合計で995万件を上回る結果となり、今後の非農業部門雇用者数の伸びがリーマンショックの影響で-80.0万件となった2009年3月の結果を上回る大きなマイナスとなるとの見方も出ている。。
その中で、本日の米国市場では雇用統計の発表が予定されている。3月中旬までのデータであることから、新型コロナウイルスの感染拡大によるレイオフが増大した3月終盤のデータが含まれていない(新規失業保険申請件数では先週の21日までのデータ、昨日の28日までのデータが大きく悪化)ことから、先に発表されたADP雇用統計などの結果と同様に、今回は大幅な悪化にはならない可能性も考えられる(来月発表の統計では大幅な悪化となる可能性も)。ただ、3月に入り新型コロナウイルスの感染拡大の影響がすでに出始めていたことから、2月の結果からは悪化している可能性が高い。
今回の非農業部門雇用者数は、予想通りの結果なら2010年6月以来のマイナスとなることから結果が注目される。一方、失業率は、2月の3.5%から3.8%への悪化が予想されており、こちらもそれほど大幅な悪化とはならないと見られている。ただ、重要な経済指標であり、マーケットの反応も大きくなる可能性が考えられることから、結果には注目したい。
4/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
3月非農業部門雇用者数
非農業部門に属する事業者の給与支払い帳簿をもとに集計された雇用者数。農業以外の産業で働く雇用者であり、経営者や自営業者は含まれない。
|
-10.0万人 | 27.3万人 |
前回は市場予想を上回り、上方修正された1月の結果と同じ伸びとなり、2018年以来の高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大前のデータであり、労働市場が堅調だったことが示された。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマイナスが予想されており、予想通りの結果なら2010年6月以来マイナス幅となることから結果が注目される。 | ||||
21:30 | 米国 |
3月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
|
44.0 | 57.3 |
前回は市場予想を上回り、2019年2月以来の高水準となった。景況指数や仕入価格が低下したものの、新規受注や雇用などが上昇したことが押し上げ要因となり、サービス業の勢いが示される結果となった。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で大幅な低下が予想されており、予想通りの結果なら2009年4月以来の低水準となることから、結果を受けたマーケットの反応に注目したい。 |