前営業日トピックス
新型コロナウイルスの感染拡大に対する米国の景気刺激策への期待感を背景に、底固い動きとなった海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が前日比250円超の上昇となったことや、年度末の実需のドル買い・円売り需要もあり、ドル円・クロス円は堅調な動きが続いた。しかし、午後には日経平均株価は下落に転じ、250円超の下落となったことから、上値の重い動きとなった。
米国市場では、欧州市場の堅調な流れが一服し、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。FRBが海外の中央銀行にドルを供給する緊急措置を発表したことや、米経済指標が市場予想を上回ったのの、前月から低下したことがドルの圧迫要因となった。一方、欧米で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないとの懸念を背景に、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、クロス円も終盤まで上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が下落して始まったものの、その後プラス圏まで値を戻し、前日比152ドル高まで上昇した。その後、再び下落に転じ、一時475ドル安まで下落し、410ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、74ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったものの、マイナス圏に下落したこともあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価は再び堅調な動きとなり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、仲値公示にかけて本邦勢による期末のドル需要も観測され、ドル/円は108.72まで上昇した。
(2)仲値通過後はやや上値の重い動きとなったものの、3月の中国製造業PMIが過去最低を記録した前月から大幅に上昇し、景況拡大と悪化の分かれ目である50を上回ったことが好感され、日経平均株価が一時前日比251円高まで上昇となったこともあり、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。ただ、午後に入り日経平均株価が前日比250円安まで下落する動きとなると、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。
(3)欧州主要株価指数が堅調な動きとなったことからドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.666%から0.716%まで上昇したことも加わり、ドル/円は堅調な動きとなり、108.73まで上昇した。
(4)米国市場では、欧州市場の堅調な流れが一服し、序盤から軟調な動きとなった。FRBが海外の中央銀行にドルを供給する緊急措置を発表したことを受けて、米国債利回りが低下となり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、3月シカゴ購買部協会景気指数と3月消費者信頼感指数がともに市場予想を上回ったものの、前月から低下したことも圧迫要因となった。一方、ユーロやポンドは対ドルで上昇したことから、対円でも一時底固い動きが見られたものの、欧米で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないとの懸念を背景に、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、終盤まで上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
昨晩発表された3月のシカゴ購買部協会景気指数、消費者信頼感指数は、市場予想ほど悪化しなかったものの、前回からは低下した。特に消費者信頼感指数では、先行指数が大きく悪化(19.9ポイントの低下、2016年10月以来の低水準)、現況指数は小幅低下(1.6ポイントの低下)に留まっていたが、19日までの調査結果であることから、現況の深刻度が増す前の統計であることが現況指数の大幅悪化に至らなった要因とも考えられる。そのため、次回の結果が注目される。
米経済の悪化懸念が出始めており、特に雇用関連の指標はすでに大きな悪化となっており、週末の米雇用統計の発表を控えて、本日は3月ADP雇用統計、3月ISM製造業景況指数の発表が予定されている。両者とも雇用統計を予想する上で重要な指標(ISMは特に雇用指数)であることから、結果に注目したい。
ドル/円は101.18から111.72まで上昇に対する38.2%押しのポイントである107.69近辺で底固い動きとなっており、この近辺が下値のポイントとなっている。直近の安値である107.12を含め、ここを維持できない場合には、半値押しである106.45が次のポイントとなる。
4/1の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
3月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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-15.0万人 | 18.3万人 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、新型コロナウイルスの感染が米国でも広がり始める中で、影響は限定的で労働市場の堅調さが示される結果となった。今回は、3月の統計であり、感染拡大による影響で、大幅なレイオフも実施されていることから、就業者数の伸びもマイナスが予想されている。一部では大幅なマイナスを予想する向きもあり、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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45.0 | 50.1 |
前回は市場予想を下回ったものの、景気の拡大・縮小の判断基準となる50を2ヵ月連続で上回った。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が出始めているとの見方も出ていた。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きく出ていると見られ、大幅な低下が予想されている。予想通りの結果なら、2009年5月以来の低水準となる。ただ、一部でさらなる低下を予想する向きもあることから、結果が注目される。 |