前営業日トピックス
海外市場終盤の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から上昇したものの、期末・月末の五・十日であり、実需のドル売り・円買いなども観測され、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。ただ、仲値通過後は底固い動きとなり、その後米上院で景気刺激策が与野党合意したとの報道を受けて、米株価先物市場でダウ先物が300ポイント超の下落からプラス圏に上昇したことや、日経平均株価も前日比1400円超の大幅高となったこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済対策法案成立への期待感を背景に、ドルは序盤から底固い動きとなった。ドル/円は、一時111.68まで上昇したものの、上昇一服後はやや上値の重い動きとなった。その後、民主党のサンダース米上院議員が、与野党合意した経済対策に反対を表明したとの報道を受けて、それまで上昇が続いた米主要株価指数が軒並み失速したこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
米株市場では、ダウ平均株価が一時前日比1315ドル高まで上昇したものの、その後は上げ幅を縮小し、495ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、終盤にマイナス圏まで下落し、33ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤に、ド/ル円は2/21以来の高値となる111.72を付けたが、その後は上値の重い動きとなり、東京市場でも流れを引き継いで上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったものの、年度末を控えた五・十日で実需のドル売りや、年度末を控えたレパトリ(国内への資金還流)に伴うドル売り・円買いも観測もあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.869%から0.816%まで低下したことも加わり、ドル/円は110.75まで下落した。
(2)仲値公示通過後は下げが一服となり、午後に入ると日経平均株価が上げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、ホワイトハウスが新型コロナウイルス感染拡大による景気の落ち込みに対応するため、上院で2兆ドル(約222兆円)規模の景気刺激策について合意に達したとの関係者の話が報道されたことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(3)3月のドイツIFOの企業景況感指数が30年ぶりの大幅な低下となったことが嫌気され、欧州主要株価指数が下落に転じとことや、ユーロが主要通貨に対して下落したこともあり、ドル/円やその他のクロス円もやや上値の重い動きとなった。
(4)市場では、新型コロナウイルス対策として2兆ドル(約222兆円)規模の経済対策法案成立への期待感を背景に、ドルは序盤から主要通貨に対して堅調な動きとなった。ドル/円は一時111.68まで上昇したものの、前日高値の111.72が意識されたこともあり、高値圏ではやや上値の重い動きとなった。
(5)民主党大統領候補でもあるサンダース米上院議員が、与野党合意した経済対策に反対を表明し、採決の阻止を示唆したとの報道を受けて、前日比1300ドル超まで上昇していたダウ平均株価が500ドル弱まで上げ幅を縮小するなど、主要株価指数が軒並み失速したこともあり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。ドル/円は一時111.09まで下落した。一方、ECBが必要に応じた国債買入れプログラム(OMT)の発動を示唆したことを受けて、ユーロはドルや円に対して上昇し、対円では121.15まで上昇し、2/21以来の高値となった。
本日のトピックス
欧州時間には、ドイツのGFK消費者信頼感調査の発表が予定されている。昨日発表されたドイツの企業景況感指数が30年ぶりの大幅な低下となったことで、景気の先行き懸念の高まりからユーロ売となったこともあり、結果が注目されている。マーケットでは大幅な低下が予想されており、予想通りの結果なら2014年1月以来の低水準となる。
米国時間には、昨年第4四半期のGDPの発表が予定されているが、新型コロナウイルスの感染拡大前の結果であることから、注目度は大きくない。ただ、同時刻に米新規失業保険申請件数の発表も予定されており、先週の発表では新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きく表れていた(先週の結果は28.1万件)。今回の発表では164万件(昨年1年間の平均は21.8万件)と歴史的な増加が予想されており、2008年のリーマンショックの時ですら66.5万件だったことから、結果が注目される。予想通りの結果なら、大幅なレイオフが実施されていることになり、来週以降も高水準の申請件数の結果が続くようなら、新型コロナウイルスが米景気に大きな影響を与えている根拠となるだろう。
ドル/円は、ここまで9営業日連続で安値を切り上げていたが、本日の東京市場ではすでに昨日の安値(110.75)を下回っている。このことから、一旦調整となるとの見方も出ており、指標結果を受けた動きが注目される。
3/26の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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2.1% | 2.1% |
前回の改定値は、市場の予想通り速報値から変わらずの結果となった。ただ、GDPの7割を占める個人消費が速報値(1.8%)から下方修正(1.7%)されており、2019年度の3Qまでの平均が約3.0%であることから、消費の減速が示された。今回の確定値は、改定値から変わらずの結果が予想されているが、個人消費の結果にも注目したい。 | ||||
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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164.0万件 | 28.1万件 |
前回は市場予想を大幅に上回る結果となり、2017年9月以来の高水準となった。新型コロナウイルスの感染拡大が影響しており、景気減速が意識され、レイオフが増加したと考えられる。今回は、さらに大幅な増加が予想されており、リーマンショックの時の66.5万件を大きく上回る歴史的高水準が予想されており、結果とマーケット反応に注目したい。 |