前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な動きが一服し、序盤から上値の重い動きとなった。その後、日経平均株価が下落して始まり、一時前日比470円超の下落となるなど、アジア株全般が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。なお、英中銀は0.50%の緊急利下げを発表したことを受けて、ポンドが主要通貨に対して下落したが、その後に大規模な経済対策を発表したことを好感してポンドは急反発となった。
米国市場では、序盤からドル円・クロス円はやや底固い動きとなり、ドル/円は105.13まで上昇した。その後、WHOが新型コロナウイルスはパンデミックとなったと宣言したことを受けて、米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大するなど、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は一時104.23まで下落したものの、終盤に主要株価指数が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は値を戻した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から大幅下落となり、終盤には一時1689ドル安まで下落した。引けにかけてやや下げ幅を縮小したものの1464ドル安で終了、1日の下げ幅は9日に次ぐ史上2番目の大きさとなった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、392ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な動きが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。日経平均株価が序盤に107円高まで上昇したものの、その後下げに転じて300円超の下落となったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。
(2)終盤にかけて日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時474円安まで下落する動きとなったことや、米株価先物市場でダウ先物が600ポイント安まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが0.782%から0.648%まで低下したことから、ドル/円は朝方に付けた105.66から104.10まで下落した。一方、英中銀のMPC(金融政策委員会)が0.50%の緊急利下げを発表したことを受けて、ポンドは円やドルなどの主要通貨に対して下落した。しかし、英政府がその後に300億ポンド(約4兆円)規模の経済対策を発表したことを好感してポンドは急反発となり、ポンド/円は利下げ発表直後の安値の134.01から136.56まで上昇した。
(3)上昇して始まった欧州主要株価指数が上げ幅を縮小し、マイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。ただ、米国市場では米10年債利回りが0.670%から0.850%まで上昇したこともあり、ドル/円は序盤に付けた安値の104.37から105.13まで上昇した。
(4)WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルスはパンデミックとなったと宣言したことを受けて、ダウ平均株価が一時1689ドル安まで下落するなど、米主要株価指数が軒並み下げ幅を拡大するなど、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、トランプ米政権が米経済への打撃を和らげるため、給与税免除などの経済対策を検討しているが、米議会で合意できるのか不透明との見方もあり、ドル/円は一時104.23まで下落する場面もあった。ただ、引けにかけて主要株価指数が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は値を戻した。
本日のトピックス
昨日からドル/円は104円台前半では底固い動きが続いており、引き続き104円台前半で底固い動きが続き、105円台に向けて再び上昇する展開となるのか、104円台を割り込む展開となるのか注目される。一方、英中銀が昨日大規模な経済対策を発表したことを好感してポンドは一時主要通貨に対して上昇したものの、再び軟調な動きとなっている。ポンド/円は9日に付けた昨年10/10以来の安値となる132.58の下抜けを目指すのか、底固い動きとなるのか注目される。
欧州ではECB理事会の結果発表が予定されている。ECB理事会では企業支援のための流動性供給など、新型コロナウイルスの感染拡大に対する景気対策が示される可能性も考えられる。さらに、FRBに次いで英中銀も0.50%の緊急利下げを発表しており、ECBによる利下げ観測も浮上している。利下げが実施される場合には、ユーロ売りに反応する可能性もあることから、結果が注目されている。
米国市場では、新規失業保険申請件数、生産者物価指数の発表が予定されているが、よほど市場予想と乖離する結果とならなければ反応は限定的だろう。依然として株価の乱高下が続いており、株式市場の動きに為替相場も左右される展開となっていることから、各国の株式市場の動きには注目したい。
3/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
2月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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-0.1% | 0.5% |
前回は市場予想に反して大きな伸びとなり、2018年10月以来の高い伸びとなった。エネルギーが4ヵ月ぶりのマイナスとなったものの、食品やサービスが伸びたことが影響した。さらに、変動の大きな食品・エネルギーを除いた指数も大きく上昇したことで、インフレ圧力が高まりつつあるとの指摘もあった。今回は前回の反動もあり、マイナスが予想されており、3ヵ月ぶりのマイナスとなるのか注目されている。 |