前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の軟調な流れが一服し、序盤のドル円・クロス円は底固い動きとなった。しかし、日経平均株価が300円超の下落で始まり、一時700円を上回る下げ幅となったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。さらに、欧州主要株価指数が軒並み下落したことや、米国債利回りの低下も加わり、ドル/円は105.00まで下落した。
米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が世界の景気動向に影響するとの懸念を背景に、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。米雇用統計では、雇用者数の伸びが市場予想を上回ったことや、失業率が改善したものの、マーケットの反応は限定的だった。さらに、ダウ平均株価が序盤から大きく下落するなど、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、引けにかけて米主要株価指数が下げ幅を大きく縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比894ドル安まで下落した。終盤には下げ幅を縮小し、256ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは162ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の軟調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。ドル/円は前日の海外市場終盤に105.97まで下落したものの、再び106円台前半まで値を戻した流れを引き継ぎ、序盤に106.34まで上昇した。
(2)日経平均株価が前日比319円安で始まり、下げ幅を拡大する動きとなったことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。午後に入り、日経平均株価が下げ幅を拡大する動きとなり、一時前日比715円安まで下落したこともあり、上値の重い動きが続いた。さらに、欧州主要株価指数が軒並み下落したことや、米10年国債利回りが一時0.693%台、30年国債利回りが1.274%台まで低下し、いずれも過去最低水準を更新したことが圧迫要因となり、ドル/円は105.00まで下落した。
(3)米国市場では、新型コロナウイルスの感染拡大が世界の景気動向に影響するとの懸念を背景に、欧州時間に一段の下落となった流れを受けて上値の重い展開で始まった。ドル/円は序盤に105.01まで下落したものの、欧州時間に付けた105.00までは到達しなかった。その後に発表された米雇用統計では、景気を敏感に映す非農業部門雇用者数の伸びが+27.3万人(前月+22.5万人から+27.3万人に修正、市場予想は+17.5万人)と市場予想を大幅に上回ったことや、失業率が3.5%(前月、予想ともに3.6%)に改善したものの、マーケットの反応は限定的だった。さらに、ダウ平均株価が序盤から前日比894ドル安まで下落するなど、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。ただ、引けにかけて米主要株価指数が下げ幅を大きく縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
(4)週明けのオセアニア市場では、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の下落となった。ドル/円はストップロスも巻き込み、一時103.52まで下落、2016年11月以来の安値を付けた。一方、週末の中国の貿易収支が予想外のマイナスとなったことも影響し、豪ドル/円は68.53(NY終値69.96)まで下落し、2009年4月以来の安値となった。
本日のトピックス
朝型にリスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は一段の下落となり、ドル/円は2016年11月以来となる103円台まで下落した。新型コロナウイルスの感染拡大が世界の景気動向に影響するとの懸念の高まる中、土曜日に発表された中国の貿易収支がマイナスとなったこともあり、リスク回避の動きが強まったと考えられる。さらに、ストップロスも巻き込み、ドル円・クロス円は大きく下落した。
先週末の米雇用統計では、雇用者数の伸びが大幅に伸びたものの、2月の統計では新型コロナウイルスの影響が目立って反映されなかったものの、2月後半からの統計が反映される3月の統計では雇用への影響が表れるとの懸念も出ており、3月のFOMCで追加利下げを検討するとの見方もドルの圧迫要因となっている。
本日の東京市場では、日経平均株価が980円安まで下落したが、米株式市場のように下げ幅を縮小する動きとなるのか注目される。特に、株価の下落が投資家のリスク回避の動きに影響することから、株価の動きが為替相場にも影響するだろう。本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、マーケットの注目は乱高下している株式市場の動きであり、引き続き株価の動向を見ながらの展開が予想される。なお、米国は昨日から夏時間に移行している。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ドル/円は、週明けギャップを開けて一段の下げとなりました。下げ途中であることから、オシレーターのMACDでも下げ止まりを見極めるのは難しい状況です。その中で、より期間の短いオシレーターのストキャスティクスの上向きへの転換や、ローソク足の足型に注目です。
ストキャスティクスでは、下げの期間が長かったことから、低水準域での横ばいが続いていますが、この動きが上向きになったときに注目です。一方、ローソク足では、現状陰線となっていますが、陽線引けとなり、下ヒゲの長い足型となるようなら、チャート形状として好感される形状となります。さらに、翌日の足型の出方により「明けの明星」となる可能性もあり、一旦の戻りのチャート形状になるのか注目されます。その場合には、ストキャスティクスも上向きの動きに転換する可能性もあります。