前営業日トピックス
前日の海外市場での株価下落を受けて、日経平均株価をはじめ、アジア株全般が大幅下落となったことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。日経平均株価は一時前日比1000円超の下落となり、時間外取引の米国債利回りの低下も加わり、ドル/円は108.51まで下落した。
米国市場では、引き続き新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への懸念を背景に、欧米の主要株価指数が大幅下落となるなど、投資家のリスク回避の動きを背景に、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。その後、パウエルFRB議長が「経済を支えるために適切に行動を行う」としたことで、早期の利下げ観測が意識され、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、対円では107.51まで下落し、昨年10/10以来の安値となった。一方、米主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小する動きとなったことから、クロス円は底固い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比1085ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小して357ドル安で終了、7営業日続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、一時300ポイント安まで下落する場面があったものの、終盤にはプラス圏まで値を戻して0.8ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で主要株価指数が大幅下落となった影響で、日経平均株価が序盤から大幅下落となるなど、アジア株が軒並み下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がさらに下げ幅を拡大し、一時前日比1031円安となったことや、時間外取引の米株価先物市場ではダウ先物が370ポイント超の下落となったことも影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.285%から1.230%まで低下したことも加わり、ドル/円は108.51まで下落した。
(3)米国市場では、引き続き新型コロナウイルスの世界的な感染拡大への懸念を背景に、投資家のリスク回避の動きが続いており、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。さらに、欧米の主要株価指数の大幅下落が続いたことも圧迫要因となった。なお、発表された米経済指標は比較的良好な結果となったものの、反応は限定的だった。
(4)パウエルFRB議長が「米経済のファンダメンタルズは依然強い」としたものの、「経済を支援するために手段を行使し適切に行動する」としたことで、早期の利下げの可能性が高まり、ドルは主要通貨に対して下落となり、対円では107.51まで下落し、昨年10/10以来の安値となった。米2年債利回りは一時0.852%を付け、2016年11月以来、約3年3ヵ月ぶりの1%割れとなった。さらに、米長期金利の指標となる10年債利回りは一時1.116%、30年債利回りは1.638%まで低下し、いずれも過去最低を更新したこともドルの圧迫要因となった。一方、ユーロは対ドルで2/4以来の高値となり、利下げ観測の高まりを受けて、米主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小したことも加わり、対円でも底固い動きとなった。
(5)土曜日29日に発表された中国の製造業PMI(前回50.0、予想45.0、結果35.7)、サービス業PMI(前回54.1、予想50.5、結果29.6)がリーマンショック時以上の大幅低下となったこともあり、週明けのドル円・クロス円は一段の下げとなり、ドル/円は一時107.38まで下落した。
本日のトピックス
朝方の週明けのオセアニア市場では、29日に発表された中国の製造業・サービス業PMIが予想を大幅に下回る結果となり、中国経済への懸念が高まったことを受けて、ドル円・クロス円は一段の下げで始まった。ただ、ここまで下落が続いたこともあり、その後は底固い動きとなっているが、東京や欧州、米国市場での受けとめ方により、改めてリスク回避の動きが強まる可能性も考えられることから、各市場の序盤の動きには注意したい。
欧州市場では、ドイツやユーロ圏の2月製造業PMIが、米国市場でも2月製造業PMI、2月ISM製造業景況指数の発表が予定されているが、予想の範囲内の結果なら、反応は限定的と考えられる。ただ、中国の指標結果の大幅悪化があったことから、予想を下回る悪化となるようなら、リスク回避の動きが意識される可能性もあり、結果に注目したい。
3/2の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
2月ISM製造業景況指数
ISM製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の製造業の景況感指数であり、製造業の購買・供給管理責任者に対するアンケートを集計した指数。50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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50.5 | 50.9 |
前回は市場予想を上回り、2016年1月以来の低水準となった1月の結果から大きく上昇し、6ヵ月ぶりに景気の拡大・縮小の判断基準となる50を上回った。新規受注や生産が大きく改善したことや、雇用も3ヵ月ぶりの上昇となったことが押し上げ要因となった。今回は、前月から若干の低下が予想されているが、判断基準の50を維持できるのかどうかが注目される。 |