前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。日経平均株価が堅調な動きとなったことや、中国上海総合株が一時切り返したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きが続き、ドル/円は約1週間ぶりに110円台乗せとなった。その後はやや上値の重い動きが続いたものの、欧州時間序盤には欧州勢の円売りも観測され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、アジア時間からドル円・クロス円の堅調な流れが続く中、序盤に発表された米経済指標が軒並み市場予想を上回る結果となったことに加え、中国政府が景気刺激策に動くとの報道を受けて、新型コロナウイルスによる悪影響が和らぐとの期待感から投資家のリスク志向の動きが強まり、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。さらに、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなり、ナスダック、S&P500が史上最高値を更新したことや、ストップロスも巻き込みドル/円は111.59まで上昇し、昨年5/3以来の高値を付けた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比176ドル高まで上昇した。引けにかけてはやや上げ幅を縮小し、115ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、84ポイント高で終了、S&P500とともに取引時間中、終値ベースの最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が上昇して始まったことや、下落して始まった中国の上海総合指数や香港ハンセン指数が一時プラス圏に回復し、上げ幅を拡大したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ドル/円は一時110.11まで上昇し、2/13以来の110円台回復となった。
(2)新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に影響を及ぼすとの警戒感が根強く、ドル円・クロス円は午後に入り上値の重い動きとなった。ただ、日経平均株価が上げ幅を拡大し、前日比274円高まで上昇したことから底固い動きが続き、ドル/円は110円台を維持する展開が続いた。さらに欧州主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったこともあり、その後も堅調な動きが続いた。
(3)米国市場では、アジア市場から続く流れを引き継ぎ堅調な動きとなった。序盤に発表された1月の米住宅着工件数が4ヵ月ぶりのマイナスとなったものの、予想ほどの減少とならず依然として高水準を維持したことや、米生産者物価指数が前月比で2018年10月以来の大きな伸び幅となったことに加え、中国での新型コロナウイルスの感染者数の増加ペースが鈍化したこと、さらに中国政府が景気刺激策に動くとの報道で新型コロナウイルスによる悪影響が和らぐとの期待感が膨らみ、投資家のリスク志向の動きからドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなり、ナスダック、S&P500が史上最高値を更新したことや、米10年債利回りが1.545%から1.584%まで上昇したこと、さらにストップロスも巻き込んでドル/円は111.59まで上昇し、昨年5/3以来の高値を付けた。一方、ユーロ/円は2/7以来、ポンド/円、豪ドル/円はともに1/24以来の高値を更新した。
本日のトピックス
昨日は、中国政府の景気刺激策や、米経済指標の予想外の良好な結果、欧米の主要株価指数の上昇などが材料視された。さらに、段階的な上値の重要なポイントを上抜けたことで、ストップロス(損失の拡大を避けるための注文=買い戻し決済)を巻き込む動きが続いたことも、ドル円・クロス円の押し上げ要因となった。
ドル/円は、110円台で上値の重い動きが続き、ここ数日は狭いレンジの動きが続いていたが、一気に上昇したことから110円台で上値を重くしていた売りポジポジションが一掃(ストップロス)されたこともあり、マーケットの雰囲気が変わっている。ここから高値を警戒した売りが新たに入るのか、111円台で値固めの動きとなるのか注目される。
一方、ユーロは対円で2/7以来の高値を付けているが、対ドルでの上昇はやや限定的となっている。円全面安の恩恵を受けた形となっているが、このところ経済指標の冴えない結果が続いていることもあり、楽観的な見方はまだできない。本日はドイツやフランスの経済指標の発表や1/22-23分のECB理事会の議事要旨が公表される予定である。冴えない結果、内容ならユーロは軟調な動きとなる可能性も考えられることから、結果が注目される。
米国市場では、米国の経済指標の結果に加え、最高値更新が続くナスダックやS&P500など、株式市場の動きにも注目したい。
2/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
2月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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11.0 | 17.0 |
前回は市場予想に反して大幅上昇となり、昨年5月以来の高水準となった。新規受注や雇用が大きく上昇したことが押し上げ要因となった。今回は、前回の反動で低下が予想されているが、先に発表されたNY連銀製造業景況指数が予想を大幅に上回る結果となったことから、一部では期待感も出ている。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月景気先行指標総合指数
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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0.4% | -0.3% |
前回は市場予想を下回り、2016年1月以来の大きなマイナス幅となった。ISM新規受注指数が9ヵ月連続のマイナスとなったことや、住宅着工件数が3ヵ月ぶりのマイナスとなったことが影響した。1月のISM新規受注が改善したことや、許可件数の改善が影響すると見られており、予想通りなら昨年7月以来の高い伸びとなる。 |