前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の株安の影響で日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったものの、ドル円・クロス円は限定的な動きとなった。その中で、ユーロが引き続き主要通貨に対して下落、ドルは対ユーロでの上昇もあり、対円でも底固い動きが続き、一時109.91まで上昇する場面もあった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の懸念も根強く、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が冴えない結果となったことから、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、米株価指数がマイナス圏まで下落したことや、米国債利回りの低下もあり、ドルは上値の重い動きとなった。その後は、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ユーロは対ドルで上昇したこともあり、対円でも底固い動きとなったものの、ユーロ圏の経済成長を巡る懸念が根強いこともあり、その後は上値の重い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から上値の重い動きが続き、一時前日比140ドル安まで下落した。その後は下げ幅を縮小したものの、25ドル安で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、中盤にマイナス圏まで下落する場面があったものの19ポイント高で終了し、終値ベースの最高値を更新して終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場での株安を背景に、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比224円安まで下落したものの、ドル円・クロス円の反応は限定的だった。ただ、ユーロは引き続き軟調な動きとなり、対ドルで1.0827まで下落し2017年4/27以来の安値、対円では昨年10/11以来の安値を更新した。ドルは対ユーロでの上昇もあり、対円で一時109.91まで上昇したものの、110円台を前にして上値の重い動きとなった。
(2)中国湖北省の衛生当局が、新型コロナウイルスによる新たな死者が116人、新たな感染者は4823人と発表したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ただ、前日の発表では感染者数が急増したが、この日は増加幅が縮小したこともあり、下値は限定的だった。
(3)米国市場では、序盤に発表された米小売売上高が市場予想と一致したものの、GDPの算出に用いられるコア指数が軟化したことで、米経済成長率の鈍化懸念を背景に、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなった。さらに、1月の米鉱工業生産が2ヵ月連続のマイナスとなり、米国の生産活動の低迷が示されたことも影響し、ドル/円は109.88から109.70まで下落した。一方、ユーロは序盤に対ドルで上昇したこともあり、対円でも堅調な動きとなった。
(4)2月の米ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が2018年3月以来1年11ヵ月ぶりの高水準となったこともあり、ドルは底固い動きとなった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、ドルや円に対して上昇していたユーロは、ユーロ圏の経済成長を巡る懸念も根強く、域内の金融緩和観測が高まっていることから上値が抑えられ、終盤まで軟調な動きが続いた。
本日のトピックス
朝方発表された日本のGDPは、前期比ベースで2014年以来の大きなマイナスとなったこともあり、株価が序盤から下落するなど、ドル円・クロス円も上値の重い動きとなった。新型コロナウイルスに関する報道に左右される展開が続くなど、積極的な売買がやや手控えられる中で、先週末の海外市場では株価の動きに沿った動きとなっている。このことから、日経平均株価やアジアの主要株価指数の動きには注目したい。
一方、ドイツで急浮上した総選挙の可能性や、足元のユーロ圏の景気減速懸念とECBの金融緩和観測もあり、ユーロは主要通貨に対して上値の重い動きが続いている。目先、対円では118.87、対ドルでは1.0827と共に先週末の安値を下抜けて年初来安値を更新する展開が続くのかどうかに注目したい。
本日の米国市場は、President's Day(プレジデンツ・デー)の祝日で、株式や債券市場、NYMEXを含むCMEグループの各取引市場が終日休場となることから、海外市場では市場参加者も少なく、小動きの展開も予想される。ただ、新型コロナウイルスに関する報道などには敏感に反応する可能性もあり、注意も必要だろう。