前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から200円超の下げとなったことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。下げ一服後は値頃感の円売り・ドル買いに加え、本邦輸入企業のドル買いも観測され、底固い動きとなった。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大観測もあり、上値は限定的だった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は底固い展開で始まった。序盤に発表された12月耐久財受注が2018年8月以来の高い伸びとなったものの、変動の激しい輸送機器を除いた受注が2ヵ月連続のマイナスとなったことが嫌気され、ドルはやや上値の重い動きとなった。しかし、1月の消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数がともに市場予想より強い内容となったことや、ダウ平均株価が200ドルを超える上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比287ドル高まで上昇した。その後、上げ幅を縮小したものの187ドル高で終了し、6営業日の上昇となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、130ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が大きく下落して始まり、一時下げ幅を拡大して前日比228円安まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は、前日の米国市場の安値である108.85を下抜けて108.82まで下落したものの、重要な下値のポイントとされる前日の東京市場で付けた安値の108.73までは届かなかった。
(2)安値圏では値頃感のドル買い戻しに加え、実需のドル買いも観測されたことから、ドル/円109.05まで上昇した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念も根強く、109円台では上値の重い動きが続いた。ただ、日経平均株価が下落しているものの、ドル/円は108.90台では底堅い動きが続いた。その後、欧州時間では欧州勢の円買いが先行し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は108.76まで下落した。
(3)ドル/円は108.76まで下落したものの、週明けの安値である108.73に再び届かなかったことから底固い動きとなり、さらに値頃感の買い戻しも加わり、ドル円・クロス円は反発となった。NY市場では、底固い展開で始まり、序盤に発表された12月耐久財受注は2018年8月以来の高い伸びとなったものの、変動の激しい輸送機器を除いた受注や、GDPの算出に関連するコア資本財の出荷がともに2ヵ月連続のマイナスとなり、10-12月期のGDP成長が抑制されるとの思惑からドルはやや上値の重い動きとなった。
(4)1月の消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数がともに市場予想より強い内容となったことや、ダウ平均株価が200ドルを超える上昇となったことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.611%から1.649%まで上昇したことも加わり、ドル/円は109.20まで上昇した。その後、FOMCの結果発表を控えて、トランプ米大統領が「FRBは利下げをして他国との競争力を強まるべき」と発言したものの、マーケットの反応は限定的となり、終盤まで底固い動きが続いた。
本日のトピックス
WHO(世界保健機関)の事務局長が、新型コロナウイルスについて国際協力の強化を表明したことや、今後の中国の対応力に楽観的な見方を示したこともあり、東京市場ではドル円・クロス円は底固い動きとなり、日経平均株価も100円以上の上昇となっている。
欧州市場では、ドイツの輸入物価指数、米国市場では中古住宅販売仮契約、FOMCの結果発表とFRB議長の会見が予定されており、結果が注目されている。特に、FOMCでは、現行政策の据え置き予想が大勢だが、米中の第1段階の通商合意を受けて、企業への影響がどの程度軽減されているのか、また新型コロナウイルスの感染拡大が米国や世界経済にどの程度影響するのかなど、パウエルFRB議長の見解が注目される。
ドル/円は、昨日108.76まで下落したものの、下値のポイントとされる週明け安値の108.73まで届かずに底固い動きとなった。東京市場では、序盤に週明けに開けたの窓埋め完了となる109.26まで上昇しているものの、この近辺でやや上値の重い動きとなっている。ここを完全に上抜けて一段の上昇となるのか注目される。
ポンド/円は、昨日に付けた1/8以来の安値となる141.49から値を戻しているものの、1/30の英中銀の金融政策発表での利下げ観測も残っており、思惑が交錯していることや、1/31にEU離脱を控えて離脱後の通商問題などの懸念も残っており、上値の重い動きが続くのか注目されている。
1/29の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
12月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.7% | 1.2% |
前回は市場予想を下回る結果となったものの、10月のマイナスからは改善した。昨年の10月までの年間平均である0.9%を上回り、堅調な住宅市場が示された。今回は、小幅な伸びが予想されているが、年間平均を上回る伸びが続くのか注目したい。なお、前年比ベースでは、増加が予想されており、予想通りの結果なら、2015年6月以来の大きな伸び幅となることから、合わせて注目したい。 | ||||
4:00 | 米国 |
FOMC 政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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1.50%-1.75% | 1.50%-1.75% |
前回は、予想通り金融政策が維持されたことに加え、経済が緩やかなペースで拡大しているとして2020年いっぱいFF金利の誘導目標を据え置くことを示唆した。FOMCの討議資料となるベージュブックでは、米経済が緩やかに拡大したとの認識が示されたものの、多くの地区で関税や貿易を巡る不透明感は引き続き企業への重しになったと指摘しており、1段階の通商合意に達したこともあり、見解に変化があるのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート
ポンド/円は、日足ベースで一目均衡表の転換線と基準線を下抜けており、さらに昨年9月からのトレンドラインも下抜けています。ここからは、重要な下値のポイントとなる一目均衡表の雲下限ラインを下抜けて軟調な展開を示唆する形状となるのか、底固い動きとなり、再び上昇に転じるのか注目されています。
本日の一目均衡表の雲下限ラインは141.726(30日が142.201、31日は142.727)となり、ここが目先の下値のポイントとなり、ここを下抜ける場合には140.811が次のポイントとなります。2/10までに140.811を下抜ける場合には、相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線が横ばいから一段の低下となることから、こちらにも注目です。
上値のポイントは、(1)トレンドライン(142.36近辺)、(2)142.709(基準線)、(3)143.044(転換線)と考えられます。
気まぐれ投資コラム
新型コロナウイルスのマーケットへの影響はさらに拡大するのか?
中国の武漢を起源とされる新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されており、投資家のリスク回避の動きが強まっています。中国の武漢で昨年12月に原因不明の肺炎が流行、今年に入り新型コロナウイルスが原因とされ、感染の拡大が報告されました。これにより、2002年11月に中国の広東省を起源としたSARS(重症急性呼吸器症候群)が思い起こされます。データでは、2003年7月に終息宣言が出されるまで、感染者は8000人以上に及び、700人以上が死亡しています。
2002年-2003年のSARSの時もリスク回避の動きが強まり、ドル/円は2002年12月の125円台から1月中旬にかけて約8円幅の円高、その後30ヵ国以上に感染が拡大したこともあり、5月には115円台まで円高が進んでいます。