前営業日トピックス
東京市場では、序盤にムニューシン米財務長官が対中関税の継続を示唆したことから、米中の対立懸念も意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、日経平均株価が軟調な動きとなったものの、実需のドル買い・円売りが観測されたこともあり、底固い動きとなった。ただ、仲値通過後は再び上値の重い動きが続いた。日経平均や中国株が下落したことに加え、欧州主要株価が軟調な展開で始まったこともあり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された12月の米生産者物価指数が冴えない結果となり、ドル/円はやや軟調な動きとなった。しかし、米主要株価指数が取引時間中の最高値を更新したことから、ドル円・クロス円も堅調な動きとなった。その後、米中両国が通商協議の第1段階合意に署名したしたものの、25%の対中関税措置が継続されることが嫌気され、米主要株価指数が上げ幅を縮小したことで、ドル円・クロス円は終盤まで上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比187ドル高となり、取引時間中の最高値を更新した。終盤には上げ幅を縮小して90ドル高で終了したが、終値ベースの最高値も更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、序盤に前日比47ポイント高まで上昇して取引時間中の最高値を更新した。その後は上げ幅を縮小し、一時マイナス圏まで下落する場面もあったが7ポイント高で終了し、小幅反発となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)序盤は小動きの展開となったものの、ムニューシン米財務長官が対中関税に関して、「第2段階の合意まで継続し、それが実行可能であれば適切な時期に引き下げを検討するだろう」と発言したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、米政府が中国の通信機器大手ファーウェイに対する海外製品の販売制限を強化する規制を近く発表する可能性があるとの報道も圧迫要因となり、ドル/円は一時109.81まで下落した。
(2)日経平均株価が下落して始まりったものの、実需の売買が集中する五・十日であることから、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りも観測され、ドル円・クロス円は反発となった。仲値通過後はやや上値の重い動きとなり、その後上昇して始まった香港株や上海株が下落に転じたことや、日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時前日比149円安まで下落したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。一方、英国の消費者物価指数が2016年11月以来の低い伸びとなったことで、英中銀が今月にも利下げを決定するとの観測が広がり、ポンドは主要通貨に対して下落した。
(3)米国市場では、序盤に発表された12月の米生産者物価指数が前月比とコア指数で市場予想を下回ったことが圧迫材料となり、ドル/円は109.79まで下落した。しかし、小安く始まった米ダウ平均株価が持ち直し、取引時間中の最高値を更新したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りの上昇も加わり、ドル/円は110.00まで上昇したものの、アジア時間に付けた110.01を超えられなかった。
(4)米中両国が通商協議の第1段階合意に署名したものの、2500億ドル相当の中国製品に対する25%の関税措置は第2段階合意まで継続されることが嫌気され、米主要株価指数が上げ幅を縮小し、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなった。さらに、中国の劉副首相が第1段階の合意を厳格に履行するとしたが、マーケットでは懐疑的な見方が示されていることも圧迫要因となった。一方、米国がスイスを為替操作国の監視対象に追加したことで、スイス中銀が防衛のための市場介入を実施する可能性があるとの見方を背景にスイス・フラン買いが続いており、スイス・フランは対ドルで2018年9月以来、対円で2018年12月以来の高値を付けた。
本日のトピックス
中東情勢の緊張が緩和したことや、米中の第1段階の通商合意を背景に、堅調な動きが続いたドル円・クロス円だが、材料出尽くしで一服となっている。米主要株価指数は、最高値を更新しているものの、やや上げ幅が小さくなっている。
ここから月末にかけて、主要国の政策金利発表(16日はトルコ、南ア、21日は日本、22日はカナダ、23日は欧州、29日は米国、30日は英国)が続くことから、ドル以外の通貨にも注目したい。特に、本日発表のトルコや南アに加え、英国の各中銀は利下げを決定する可能性があるとの見方も広がっており、結果は発表を受けて動きが出そうである。また、スイス中銀がスイス・フラン防衛の介入を実施する可能性があるとの見方を背景に動きが出ており、こちらの動向にも注目したい。
本日の米国市場では、米小売売上高、フィラデルフィア連銀景況指数、NAHB住宅市場指数の発表が予定されており、年末商戦が含まれる個人消費の結果が注目される。百貨店の売り上げが4ヵ月連続、飲食店が2ヵ月連続のマイナスとなる中で、改善がみられるのか注目されている。ただ、ここまで米中通商協議や中東情勢など比較的大きな材料だっただけに、米経済指標の結果では市場予想との乖離が大きくならなければややインパクトは小さいだろう。
1/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.3% | 0.2% |
前回は、市場予想を下回り、前月から伸び幅が低下した。自動車や家具、電化製品が伸びたものの、健康食品がマイナスとなったことや、衣料品、スポーツ、書籍が2ヵ月連続のマイナスとなったことが影響した。百貨店の売り上げは4ヵ月連続、飲食店は2ヵ月連続のマイナスとなった。今回は、若干の伸びが予想されており、年末商戦の結果が押し上げ要因となるのか注目。 | ||||
22:30 | 米国 |
1月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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3.1 | 0.3 |
前回は市場予想を下回り、2019年6月以来の低水準となった。仕入価格や出荷、受注残が上昇したものの、販売価格、雇用者数は低下となった。今回は、前回から上昇が見込まれているものの、昨年1年間の平均が9.9、一昨年が20.9となり、3年前の27.3から2年連続で低下が続いていることから、今年は改善に向けたスタートが切れるのか注目。 | ||||
0:00 | 米国 |
1月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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74 | 76 |
前回は、市場予想に反して上昇となり、1999年以来約20年ぶりの高水準となった。一戸建て販売の現況と見込み客足指数が大きく上昇したことが要因となった。今回は、前回の反動もあり、若干の低下が予想されているが、依然として高水準が維持されると予想されており、住宅の販売状況は引き続き好調であることが示されると見られている。 |