前営業日トピックス
東京市場では、米中通商協議の進展期待が強まり、投資家のリスク回避姿勢が和らいだことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、英国の総選挙の投票が終了し、出口調査で与党・保守党が過半数の議席を獲得するとの報道を受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇となった。ポンド/円は、NY市場終値から4円以上の上昇となった。その後、日経平均株価が大きく上昇して始まり、昨年10月以来の24000円台乗せとなったことも、ドル円・クロス円の下支え要因となり、底固い動きが続いた。
米国市場では、米中通商協議への不透明感を背景に、序盤から軟調な動きとなったが、中国が米中通商協議の第1段階が合意に達し、米中両国は12/15の関税発動を取りやめることで一致したと発表したことを好感して、一転して上昇となった。しかし、米下院司法委でトランプ大統領弾劾の議会妨害条項を可決したことを受けて、再びドル/円は109.21まで下落した。引けにかけては、下落した米主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比158ドル高まで上昇し、取引時間中の最高値を更新した。その後、103ドル安まで下落する場面もあったが、終盤まで底固い動きが続き、3ドル高で終了した。一方、ハイテク株中心のナスダックは、17ポイント高で終了し、S&P500とともに終値ベースの最高値も更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日のNY市場終了後、トランプ大統領が米中通商合意を承認したとの報道を受けて、ドルは堅調な動きとなった。ドル/円は、NY市場で付けた高値の109.45を上回り、109.57まで上昇し、12/2以来の高値を更新した。さらに、英総選挙の出口調査で、与党・保守党が368議席、野党・労働党が191議席獲得の方向(定数は650議席)と発表されたことが好感され、ポンドが大きく上昇し、ポンド/円はNY市場終値から4円超の上昇となる147.92まで上昇した。また、その他のクロス円も上昇となった。
(2)日経平均株価が大きく上昇して始まり、上げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。日経平均株価は620円超の上昇となり、昨年10月以来の24000円台乗せとなったこともドル円・クロス円の下支え要因となった。
(3)米国市場では、序盤に発表された11月の米小売売上高が冴えない結果となったものの、反応は限定的だった。その後、トランプ米大統領が米中の通商合意や関税に関する報道は誤りと指摘したことを受けて、通商協議に対する不透明感が高まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(4)中国が米中通商協議の第1段階の合意に達し、米中両国は12/15の関税発動を取りやめることで一致と発表したことを好感して、ドル円・クロス円は一転して上昇となった。しかし、米下院司法委でトランプ大統領弾劾の議会妨害条項を可決したことや、トランプ大統領が25%の関税は残るとの見解を示したことを受けて、再びドル円・クロス円は下落となり、ドル/円は109.21まで下落した。下げ一服後は、マイナス圏まで下落した米主要株価指数が軒並み下げ幅を縮小し、プラス圏に回復したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
本日のトピックス
米国やユーロ圏の金融政策発表、英国の総選挙、米中通商協議の第1段階合意などの注目のイベントが終了し、一服感からやや落ち着いた動きが考えられる。ただ、米中は第1段階の通商合意に達し、12/15からの関税の発動は取りやめられたものの、合意の内容が明確ではなく、今後は第2段階の交渉が開始される。ここからより詳細な内容が協議されることもあり、依然として先行き不透明感が残るとの見方も多いことから、引き続き米中の通商問題が材料視されるだろう。
その中で、今週は日本や英国の金融政策発表、米国の主要な経済指標の発表も予定されており、結果次第では動きの出る可能性もあるだろう。本日は、NY連銀製造業景気指数の発表が予定されており、依然として米国の製造業に不安が残っていることから、指標結果が注目される。
12/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
12月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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5.0 | 2.9 |
前回は、市場予想を下回る結果となった。雇用、新規受注が上昇したものの、仕入価格、出荷、在庫などが低下したことが影響した。今回は、前回からの上昇が予想されている。昨年の平均が19.8だったが、今年のここまでの平均が4.9、直近半年の平均が1.6であることから、改善の兆しが示されるのか注目される。 | ||||
0:00 | 米国 |
12月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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71 | 70 |
前回は、市場予想を下回り、2018年2月以来の高水準となった10月の結果から低下した。一戸建て住宅の販売見通しが3ヵ月連続で上昇したものの、現状指数が5ヵ月ぶりに低下したことが影響した。ただ、依然として高水準であることから、引き続き好調が維持された。今回は、前回から上昇が予想されており、好調が維持されると見られている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、週足ベースで重要な上値のポイントとされる一目均衡表の雲上限ライン近辺で上値の重い動きが続いています。ここから、雲上限を上抜けて三役好転の強気シグナルが完成して一段の上昇となるのか、下落に転じて軟調な動きとなるのか注目されています。
一目均衡表の雲上限ラインは109.739となり、ここが上値のポイントとなり、ここを完全に上抜けるのかが注目されます。なお、雲上限ラインは、2月上旬まで横ばいが続きます。一方、下値のポイントは108.430となります。