前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が前週末比260円超の上昇となるなど、アジア株がほぼ全面高となったことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、中国の経済指標が良好な結果となったことや、米ブラックフライデーのネット販売の売上高が伸びたとの報道も下支え要因となった。ドル/円は、5/30以来の高値を付けたが、上昇一服後は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、11月のISM製造業景況指数が市場予想を下回る結果となったことが嫌気され、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことで、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、ロス米商務長官が、米中通商協議で第1段階の合意に達しなければ、トランプ大統領は対中関税を引き上げるだろうと発言したこともドルの圧迫要因となった。その後、値を戻す場面もあったが、再び米中対立が意識されたことでドル円・クロス円は上値の重い動きが続き、ドル/円は108.93まで下落、11/26以来の109円台割れとなった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、終盤には前週末比269ドル安まで下落した。結局、268ドル安で終了し、続落となった。一方。ハイテク株中心のナスダックは、97ポイント安で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が上昇して始まり、一時250円超まで上げ幅を拡大したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、ブラックフライデーでアマゾンなどネット販売の売上高が伸びたとの報道も好感され、ドル/円は109.73まで上昇し、5/30以来の高値を更新した。
(2)上昇一服後は、今夜発表される米製造業関連の経済指標の結果を見極めたいとの思惑もあり、ドルはやや上値の重い動きとなった。さらに、米国との第1段階の通商合意における中国の最優先事項は、現在発動済みの関税の撤廃であると中国紙が報道したことも圧迫要因となった。
(3)トランプ米大統領が、ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課すと表明したことで、両国との貿易摩擦の懸念が高まり、ドルは上値の重い動きとなった。米国市場序盤に発表された製造業PMI(確報値)が上方修正され、3ヵ月連続の上昇となったことや、米国債利回りが上昇したことも加わり、ドルは底固い動きとなった。
(4)11月のISM製造業景況指数が市場予想を下回り、景気の拡大・縮小の判断基準となる50を4ヵ月連続で下回ったことが嫌気され、米主要株価指数が下げ幅を拡大したことで、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、ロス米商務長官が12/15までに米中通商協議の第1段階の合意に達しなければ、トランプ大統領は対中関税を引き上げるだろうと発言したこともドルの圧迫要因となった。
(5)コンウェイ米大統領顧問が、年末までに米中は合意が可能と発言したことを受けて、値を戻す場面もあったが、中国が米国企業など信頼できない機関リストを公表するとの報道を受けて、南米主要国や米中対立が意識されて再びドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドル/円は108.93まで下落し、11/26以来の109円台割れとなった。
本日のトピックス
米中通商問題に加え、ブラジルやアルゼンチンとの通商問題も懸念されている。その中で、昨晩の11月ISM製造業景況指数が市場予想を下回り、4ヵ月連続の50割れとなり、通商問題の長期化が影響していることが示された。そのため、米国の景気先行き不安も台頭していることがドルの圧迫要因となっている。特に、ISM製造業景況指数では、雇用指数も4ヵ月連続で低下したことで、週末の米雇用統計で製造業部門の雇用者数の結果に対する懸念も高まっている(前回は、2009年10月以来の大幅なマイナスとなった)。そのため、明日から続く雇用関連の経済指標の結果にも注目が集まっている。本日の米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、米景気先行き不安が意識されたことで、米株式市場の動きが注目されており、下げが続くのか、下げ一服となるのか、見極めたい。