前営業日トピックス
東京市場では、米上院で香港人権法案が可決したことや、それに対して中国が反発を表明したことを受けて米中対立の激化懸念が高まり、日経平均株価や中国株が下落となり、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ただ、下げ一服後は値頃感の買い戻しが入るなど、底固い動きが続いた。
米国市場では、欧州市場の流れを受けて底固い動きが続き、ドル/円はアジア時間の高値を上抜けたことでドル買いが入ったことも影響し、一段の上昇となった。しかし、その後第1段階の米中合意が来年にずれ込む可能性があるとの関係者の発言が報道されたこをと受けて、米主要株価指数が軒並み下落となり、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。その後、ホワイトハウスの副報道官が米中協議は継続しており、合意テキスト策定が進展していると発言したとの報道を受けて、ドル円・クロス円は値を戻した。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり、一時前日比258ドル安まで下落した。引けにかけて下げ幅を縮小したものの、112ドル安で続落となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、43ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場終盤の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から小動きの展開で始まった。その後、米上院で香港人権法案を可決との報道を受けて、米中対立の激化が懸念されてドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、ロス米商務長官がインタビューで米中通商協議に楽観的な見方を示したことで下げが一服となり、値を戻した。
(2)中国が、米国は中国の内政に露骨に干渉していると、米上院の香港人権法案可決に反対を表明し、あらためて報復を示唆したこともあり、再びドル円・クロス円は下落に転じた。さらに、プラス圏まで値を戻していた日経平均株価が前日比200円超の下落となったことや、米10年債利回りが1.775%から1.744%まで低下したことも圧迫要因となった。
(3)米国債利回りの上昇などを受けて、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米国の主要な経済指標の発表がない中で、ドル/円はアジア時間に付けた108.58を上回ったことでドル買いが強まり、108.74まで上昇した。一方、英総選挙を控えて行われた党首討論では、ジョンソン首相とコービン労働党党首がほぼ互角だったとの世論調査結果が出たことを受けてポンドはやや上値の重い動きとなった。
(4)米上院の香港人権法案が可決するなど、香港問題が米中通商問題に悪影響を与えるとの懸念などを背景に、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことや、FOMC議事要旨公表を控えてやや上値は限定的となった。その後、第1段階の米中合意が来年にずれ込む可能性があるとの関係者の発言が報道されたことを受けて、米主要株価指数が軒並み下落となり、ドル円・クロス円も軟調な動きとなった。ドル/円は一時108.41まで下落した。
(5)ホワイトハウスの副報道官が、米中協議は継続しており、合意テキスト策定が進展していると発言したとの報道を受けて、株価が下げ幅を縮小し、ドル円・クロス円も値を戻した。FOMCの議事要旨では、世界の経済成長と貿易に関するリスクは依然として大きいとの指摘があったが、今後の金融政策に関する議論が明確に示されなかったことから、反応は限定的だった。
本日のトピックス
米上院が香港の自治を米政府が検証する「香港人権法案」を可決し、それに対して中国が反発を表明したことで、米中対立の激化懸念が高まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。この後、米上下両院で法案のすり合わせが行われ、トランプ大統領へ送付される予定だが、大統領送付の日程が明確でなく、一部では年明け以降になるとの見方もある。これに加え、第1段階の米中合意が来年にずれ込む可能性があるとの関係者の発言もあり、米中対立に対する懸念が高まっている。12/15の対中関税発動を控えており、ここまでに何らかの動きがあるとの見方もあるが、一部では協議は継続で関税発動を先送りする可能性を指摘する向きもあり、依然としてマーケットでは、米中問題の思惑が交錯しており、ヘッドラインに敏感に反応する展開が続くだろう。
本日の米国市場では、引き続き米中問題に関する報道や要人発言が注目されるが、複数の米経済指標の発表が予定されており、結果に注目したい。
11/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.8万件 | 22.5万件 |
前回は市場予想を上回り、6/21の週以来の高水準となった。ただ、ベテランズデーの祝日があったことで、前倒しで申請されたことにより、通常より増加した可能性も指摘されている。今回は、反動で減少が予想されているが、大幅な改善ではなく、元のレンジ内に戻す程度であることから、反応は限定的だろう。 | ||||
22:30 | 米国 |
11月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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6.0 | 5.6 |
前回は、市場予想を下回り6月以来の低水準となった。雇用が大幅に伸び、新規受注も上昇したものの、仕入、販売価格、出荷などが低下したことが影響した。今回は、若干の上昇が予想されているものの、前回大幅上昇となった雇用が反動で大きく低下するようなら、全体を引き下げる可能性もあるだろう。 | ||||
0:00 | 米国 |
10月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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549万件 | 538万件 |
前回は市場予想を下回り、3ヵ月ぶりの減少となった。住宅ローン金利が低下しているものの、低価格帯の住宅を中心に用地不足が引き続き住宅市場を圧迫していると指摘されている。今回は、前回からの増加が予想されており、引き続き堅調さが維持されると見られている。 | ||||
0:00 | 米国 |
10月景気先行指標総合指数(前月比)
米景気先行指数は、米国の民間調査機関のコンファレンスボードが発表する指標で、株価や金利、企業業績、マネー・サプライなど景気に先行して動く10種類の経済指標を指数化した経済指標。景気の方向性や転換点を判断する上で参考にされる。
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-0.2% | -0.1% |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続のマイナスとなった。ただ、昨年12月以来の低水準となった8月の結果からは改善した。今回は、前回からの低下が予想されており、予想通りならば2016年2月以来の3ヵ月連続のマイナスとなることから結果が注目される。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、一目均衡表の転換線と基準線を下抜けており、ここから軟調な動きが続くのか、再び上抜けて底固い動きとなるのか注目されます。
一目均衡表では、遅行スパンが価格帯を下抜けており、転換線と基準線がクロスする場合には軟調な示唆する形状となります。基準線は当面108.688での横ばいが続きますが、転換線はやや下降気味となっています。また、オシレーターのMACDでは、両線下向き継続中であり、両線がゼロポイントを下抜けるようなら下げ継続のシグナルと見ることができるので、今後の形状に注目です。
目先の下値のポイントは108.245、ここを下抜ける場合に雲上限近辺が次のポイントと考えられます。一方、上値のポイントは基準線の108.688となります。