前営業日トピックス
東京市場では、米中通商協議の先行き不透明感が広がったことで下落した海外市場の流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことも影響した。その後は、値頃感の買いも入り、ドル円・クロス円は底固い動きとなったものの、欧州時間に入ると米国債利回りの低下などもあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。序盤に発表された10月の米消費者物価指数が強弱まちまちの結果となったことや、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったことも影響し、ドル/円は一時108.66まで下落した。その後は、パウエルFRB議長が議会証言で「経済が軌道を維持する限り現行政策は適切」としたことで、当面金利の据え置きが示唆されたと受け止められたこともあり、ドルは底固い動きとなった。しかし、米中通商協議が難航しているとの報道で再び下落する場面もあった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から軟調な動きとなり前日比104ドル安まで下落した。その後は一時114ドル高まで上昇するなど92ドル高で終了し最高値を更新した。一方、ハイテク株中心のナスダックは3ポイント安で終了したが、S&P500は2ポイント高となり、過去最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場で米中通商問題に対する先行き不安を背景に、軟調な動きとなった流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、日経平均株価が下落して始まり、下げ幅を拡大したことも影響した。ドル/円は、10年債利回りが1.929%から1.913%まで低下したこともあり、108.87まで下落した。
(2)日経平均株価が249円安まで下落したものの、ドル/円は108円台では値頃感の買い戻しも入り底固い動きとなり109円台まで値を戻した。また、クロス円も底固い動きとなった。
(3)海外市場に入り、米中通商協議への警戒感が根強いことに加え、デモ隊と警察の衝突が激化している香港情勢への懸念の高まりを背景にドル円・クロス円が軟調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.919%から1.861%まで低下したこともドルの圧迫要因となった。米国市場序盤に発表された10月の米消費者物価指数が予想を上回る結果となったものの、前年比ベースのコア指数が低下したことに加え、米主要株価指数が序盤から軟調な動きとなったこともやや影響し、ドル/円は一時108.66まで下落した。
(4)パウエルFRB議長が米上下両院合同経済委員会での議会証言で「経済が軌道を維持する限り現行政策は適切」としたことで、当面金利は据え置かれる可能性が高いと受け止められたこともあり、ドルは底固い動きとなった。ただ、その後米中通商協議で農産物の購入を巡り難航しているとの報道などを受けて、再びドル/円は108.66まで下落する場面もあった。終盤にかけて、ダウ平均、S&P500が史上最高値を更新したこともあり、ドル円・クロス円はやや底固い動きとなった。
本日のトピックス
米国市場では、パウエルFRB議長の下院予算委員会で証言が予定されているが、前日の発言が踏襲されることから、目新しい発言がなければ反応は限定的だろう。また、クオールズ、クラリダ両米FRB副議長、シカゴ連銀総裁、セントルイス連銀総裁、ニューヨーク連銀総裁など複数の金融当局者の発言も予定されており、発言の内容が注目されている。ただ、FRB議長の前日の発言もあり、金融政策に関するマーケットの関心はそれほど高くなく、むしろ米中の通商問題に関する要人発言や報道に関心が向いている。更に、10月の米生産者物価指数、新規失業保険申請件数の発表が予定されているものの、市場の予想から大きく乖離しなければ、反応は限定的だろう。
11/14の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
10月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.3% | -0.3% |
前回は、市場予想を下回り、2015年9月以来の大きなマイナスとなった。一方、前年比でも2016年11月以来の低い伸びとなり、インフレ圧力が抑制されている兆候が示された。食料品は改善したものの、エネルギー、サービスなどがマイナスとなったことが影響した。今回は、改善が予想されており、予想通りの結果なら4月以来の高い伸びとなることから結果が注目される。 |