前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の堅調な流れが一服しており、序盤からやや上値の重い動きとなった。その中で、大幅上昇となったポンド/円が調整となり、序盤の高値から80銭の下落となったことに加え、中国が米下院の香港人権法案を巡り報復を示唆したことから、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後は上値の重い動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された9月の米小売売上高が7ヵ月ぶりのマイナスとなったことからドルが主要通貨に対して下落となり、ドル/円は一時108.55まで下落した。その後、下落して始まった米主要株価指数が下げ渋り、プラス圏まで上昇したことや、米国債利回りの上昇、さらにNAHB住宅市場指数が2018年2月以来の高水準となったことも好感され、ドル/円は108.84まで上昇した。ただ、欧州通貨に対してドルが軟調な動きとなったこともから上値の重い動きとなり、108.60台まで下落する場面もあった。一方、英国のEU離脱合意に対する期待感を背景に、ポンド/円で5/22以来の140円台まで上昇したが、本日の合意はないとの英政府筋の話が報じられたことから、一転して反落した。
米株式市場では、ダウ平均が序盤から軟調な動きとなり、前日比81ドル安まで下落した。その後、一時33ドル高まで上昇する場面もあったが、結局22ドル安で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、24ポイント安で終了した。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れが一服し、序盤からやや上値の重い動きが続いた。その後、米下院での香港人権法案をめぐり、中国外務省が報復を示唆したことから、リスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、前日の海外市場で大幅上昇となったポンド/円が、序盤に139.19から138.40まで下落したことも圧迫要因となった。
(2)日経平均株価が前日比400円超の上昇となり、今年の終値ベースの最高値を更新したものの、中国上海総合がマイナス圏に下落する動きとなったこともあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。その後、英国とEUの離脱合意の可能性は低いとの当局者の発言を受けてポンドが下落となり、ドル円・クロス円もやや軟調な動きとなった。
(3)米10年債利回りが1.716%から1.750%まで上昇したことや、米株価先物が安値から値を戻したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(4)9月の米小売売上高が7ヵ月ぶりのマイナスとなったことからドルが主要通貨に対して下落となり、ドル/円は一時108.55まで下落した。ただ、前回結果が上方修正されたこともあり、下値は限定的だった。その後、下落して始まった米主要株価指数が下げ渋り、プラス圏まで上昇したことや、米10年債利回りが1.727%から1.767%まで上昇したことからドルは反発となった。さらに、NAHB住宅市場指数が2018年2月以来の高水準となったことも好感され、ドル/円は108.84まで上昇した。
(5)ドルは欧州通貨に対して軟調な動きとなったことから、対円でも上値の重い動きとなり、ドル/円は108.60台まで下落する場面もあった。一方、英国のEU離脱合意に対する期待感を背景にポンドは堅調な動きが続き、対ドルで5/15以来、対円で5/22以来の140円台まで上昇した。しかし、本日の合意はないとの英政府筋の話が報じられたことから、ポンド/円は一時139.10台まで下げた。
黒田日銀総裁、参院予算委員会で発言
・今後も大規模緩和を継続、バランシートの拡大続く
・物価2%目標達成なら当然拡大したバランスシート規模見直す
・短期金利引き上げる状況では、大幅金融緩和を継続する必要はなくなっている
・短期金利引き上げる局面では、長期金利も相応に上昇
トランプ米大統領
・米中通商協議の合意文書は作成中
・11月のAPEC首脳会議で習近平国家主席と会談するまで、米中の貿易合意が署名されることはないだろう
シカゴ連銀総裁
・次回のFOMCを前に先入観を持たない
・FRBは差し迫った景気減速に直面すれば積極的に行動するだろう
・追加利下げでインフレの2%目標を達成できると確信
ダラス連銀総裁
・前2回の利下げは支持するが、次はわかりかねる
本日のトピックス
米下院で可決された香港人権法案に対して中国が強く反発していることから、再び米中関係の悪化が懸念されている。次は上院での採決となるが、さらなる牽制の動きが出てくる可能性もあり、前日同様にマーケットが反応する可能性もあり注意したい。
英国とEUは10/17-18に開かれるEU首脳会議での文書の承認を目指して協議を行っており、楽観的な見方がある一方で、当局者が「合意が近いとするのは時期尚早」と述べ、別の当局者は「民主統一党が抵抗しており、離脱合意の可能性は低い」とするなど、慎重な見方も報道されており、神経質な動きとなっている。引き続き関連する報道や要人発言には注意したい。
米国市場では、前回2007年6月以来の高水準となった住宅着工件数の発表が予定されており、前回の反動から減少が予想されており、結果が注目される。
10/17の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月住宅着工件数 ![]()
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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131.8万件 | 136.4万件 |
前回は市場予想を上回り、2007年6月以来の高水準となった。一戸建て住宅、集合住宅ともに増加したことが影響した。一方、着工件数の先行指標となる許可件数も12年ぶりの高水準となった。今週は、前回の反動から減少が予想されているが、許可件数の増加が影響している可能性もあり、結果が注目される。 | ||||
22:15 | 米国 |
9月鉱工業生産(前月比) ![]()
鉱工業生産は、鉱工業関連の生産動向を指数化したものであり、2002年を100として数値が算出され前月比で発表される。GDPに占める鉱工業部門の割合が約20%程度であることから重要な経済指標である。
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-0.2% | 0.6% |
前回は2018年8月以来の高い伸びとなり、製造業が安定していることが示された。製造業、鉱業が大きく改善したことが影響した。今回は、再びマイナスが予想されており、予想通りの結果なら、前回の改善が一時的だったことが示され、懸念が高まる可能性も考えられる。 |