前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、前週末比400円超の上昇となったものの、ドル/円は前日の海外市場の高値108.46近辺では上値の重い動きとなった。その後は、中国が米農産品を購入するにあたり、米国に報復関税の撤廃を求めているとの報道を受けて、中国株が下落したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、米主要企業の好決算を受けて米主要株価指数が上昇となり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、英国のEU離脱問題で離脱合意の草案とりまとめに近づいているとの報道を受けて、ポンドが主要通貨に対して上昇。ポンドは、対円などで上昇となったことでドル/円やほかのクロス円も堅調な動きとなった。一方、米国債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は一時108.90まで上昇し、8/1以来の高値となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比332ドル高まで上昇した。その後は上げ幅を縮小したものの、237ドル高で終了し、9/19以来約1ヵ月ぶりに27000ドル台を回復した。一方、ハイテク株中心のナスダックは100ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中の通商協議で部分合意に達したことで、米中摩擦の激化に対する懸念が後退したことが改めて材料視され、序盤から堅調な動きとなった。ドル/円は108.45まで上昇したものの、今後の通商協議には懐疑的な見方もあり、上値は限定的だった。その後、ドル/円は108.30まで下落したが、日経平均株価が上げ幅を拡大したことも下支え要因となり、底固い動きとなった。
(2)仲値公示にかけて実需のドル買い・円売り観測もあり、仲値通過後には再び108.45まで上昇したが、前日の海外市場の高値である108.46を抜けなかったことも圧迫要因となった。午後に入り、日経平均株価が一時前週末比420円高まで上昇したものの、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなり、米中通商問題の先行き不透明感やトルコに対する米国の制裁措置が影響しているとの見方もあった。一方、10/15から発動予定だった対中追加制裁関税が先送りされたことを受け、人民元高ムードが続いており、この日の人民元の基準レートは9/16以来の元高水準となった。
(3)中国は、500億ドル相当の米農産物輸入は困難と見ており、実現には米国の関税撤廃が条件との報道を受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は一時108.16まで下落した。
(4)米主要企業の好決算を受けて米主要株価指数が上昇となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、10/17-18のEU首脳会議や英国のEU離脱期限が月末に迫っている中、英国とEUの担当者らが離脱合意の草案とりまとめに近づいているとの報道を受けて合意への期待感が高まり、ポンドが主要通貨に対して上昇した。ポンドは対円などで上昇となったことでドル/円やほかのクロス円も堅調な動きとなった。ポンドは、対ドルで5/21以来、対円で5/27以来の高値を付けた。一方、米10年債利回りが1.6872%から1.7762%まで上昇したことから、ドル/円は一時108.90まで上昇し、8/1以来の高値となった。終盤にトランプ米大統領が「中国の対応は良好」と発言したものの、反応は限定的だった。
黒田東彦日銀総裁は支店長会議での挨拶
・景気は基調としては緩やかに拡大している
・景気の先行は緩やかな拡大を続けるとみられる
・海外経済の減速が続き、下振れリスク高まりつつある
・物価モメンタムが損なわれる恐れ高まる場合には躊躇なく追加緩和を行う
・政策金利は少なくとも2020年春頃まで極めて低い長短金利を維持
本日のトピックス
英国とEUの担当者らが離脱合意の草案とりまとめに近づいているとの報道を受けて、合意への期待感が高まったことで、ポンドが上昇となり、ドル円や他のクロス円も連れ高となった。英国のEU離脱期限が月末に迫っており、10/19が英国の離脱延期法が定める延期要請期限となることから、時間的に10/17-18のEU首脳会議までに合意を目指していると考えられる。そのため、マーケットでは報道などに神経質になっていることから、関連する報道などには注意したい。
米国市場では、本格化する米国企業の決算発表が注目されており、さらに米金融当局者の発言が週末まで連日予定されていることから、発言の内容にも注目されている。本日は、米小売売上高、住宅市場指数、次回のFOMCの資料とされるベージュブック(米地区連銀経済報告)が予定されており、結果や内容が注目される。
10/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.3% | 0.4% |
前回は市場予想を上回ったものの、4ヵ月ぶりの高水準となった7月の結果からは低下した。自動車・同部品、建設資材などが堅調だったが、ガソリンスタンド、衣料品、食品・飲料がマイナスとなったことが影響した。今回は、前回結果から伸び幅の低下が予想されており、予想通りの結果なら2月以来の低水準となることから注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
10月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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68 | 68 |
前回は市場予想を上回り、2018年10月以来の高水準となった。現況指数が2018年5月以来の高水準となり、住宅ローン金利の低下が影響していると考えられる。今回は、前回から横ばいが予想されており、好調が維持されると予想されている。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ポンド/円は堅調な動きが続いており、引き続き上昇が続くのかどうか注目されています。
オシレーターのMACDでは、ゼロポイント近辺で転換し、両線上向きで乖離幅の拡大が続いていることから、堅調な展開が続くことが示唆される形状となっています。上値の重要なポイントであった135.72を上抜けたことによる上値目標の計算値は139.47となります。
前回ボトムの126.67からの上昇と比べてやや急角度になっていることが見て取れます。投資家心理としては、急速な上昇に対する警戒感が出る可能性も考えられます。そのため、今後の値動きには敏感になる可能性も考えられます。そのため短期スパンのオシレーター(ストキャスティクス)の動きにも注目です。