前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の流れを引き継ぎ、序盤から軟調な動きとなった。ドル/円は、一時106.94まで下落したものの、下げ一服後は下落して始まった日経平均株価が小幅ながら下げ幅を縮小したことや、実需のドル買いも観測され、底固い動きとなった。さらに、時間外取引で米国債利回りが上昇したことも押し上げ要因となった。
米国市場では、中国が米中通商協議での部分合意に前向きとの報道が好感され、米主要株価指数が軒並み上昇となり、ドル円・クロス円も序盤から堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りが上昇したことも加わり、ドル/円は107.63まで上昇し、1週間ぶりの高値を付けた。FOMCの議事要旨では、大半のメンバーが9月の利下げの必要性を支持したことが明らかとなったものの、マーケットの反応は限定的だった。終盤には、米主要株価指数が軒並み上げ幅を縮小したことに合わせ、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなった。
米株式市場では、ダウ平均が序盤から堅調な動となり、終盤には一時前日比260ドル高まで上昇した。ただ、引けにかけてはやや失速し、181ドル高で終了。一方、ハイテク株中心のナスダックは、79ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国が中国への投資を制限する可能性があるとの報道や、米国政府が中国・共産党当局者に対するビザ発給を制限すると発表したことで米中対立への懸念が高まったことからリスク回避の動きが意識された前日の海外市場終盤の流れを引き継ぎ、序盤から軟調な動きとなった。
(2)日経平均株価は序盤から軟調な動きとなり、227円安まで下落したものの、その後下げ幅を縮小したことや、実需筋のドル買い・円売りが観測されたこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.5255%から1.5126%まで上昇したこともドルの押し上げに寄与した。一方、ユンケル欧州委員長、バニエル主席交渉官が、英国のEU離脱をめぐり「合意が依然可能」としたことを受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇となった。しかし、その後英国の提案は承認できないとしたことから一転して下落となった。
(3)10/10から始まる米中閣僚級の通商協議を控えて、中国が部分合意に前向きとの報道が好感され、米主要株価指数が軒並み上昇となったこともあり、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.5460%から1.5922%まで上昇したこともあり、ドル/円は107.63まで上昇し、1週間ぶりの高値を付けた。
(4)FOMCの議事要旨では、大半のメンバーが9月の利下げの必要性を支持したものの、今後の金融政策に関しては意見が分かれているがことが明らかとなった。ただ、マーケットの反応は限定的だった。終盤には、中国は通商交渉の進展期待を弱めているとの報道を受けて、株価が上げ幅を縮小したことに合わせ、ドル円・クロス円もやや上値の重い動きとなった。
なお、NY市場引け後のアジア市場では、米中次官級レベルの貿易協議で進展なしとの報道が流れたことを受けて、ドル円・クロス円は一段の下げとなり、ドル/円は一時107.04まで下落した。
本日のトピックス
前日の海外市場では、中国が部分合意に前向きとの報道が好感され、株価やドル円・クロス円が上昇したが、朝方には米中次官級レベルでの通商協議で進展なしとの報道でドル円・クロス円に加え、時間外の米株価先物まで大きく下落した。公式の通商協議の発表が出ていないものの、報道に左右される展開が続いている。10/10-11まで閣僚級の米中通商協議が開催されることから、引き続き関連する報道などに一喜一憂する可能性もあり、注意が必要だろう。
欧州市場では、ドイツの貿易収支の発表が予定されており、貿易問題などの影響などもあり、ユーロ圏経済の鈍化が意識される結果となるようなら、ユーロ相場への影響も考えられる。一方、米国では消費者物価指数の発表が予定されており、先に発表された生産者物価指数が予想外の低下となり、FRBによる追加利下げが意識されたこともあり、指数低下となる場合には、再び追加利下げ観測が高まる可能性も考えられる。
10/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
9月消費者物価指数(前月比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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0.1% | 0.1% |
前回は、前月比・前年比ともに市場予想を下回る結果となったが、コア指数は市場予想を上回る伸びとなった。9月から中国製品への追加関税が発動されたことが、コア指数の押し上げ要因となった。前月比、コア指数は横ばいが予想されているが、前年比では伸び幅の拡大が予想されている。 |