前営業日トピックス
前日の海外市場で主要株価指数の上昇などを背景とした動きが一服し、東京市場では序盤から小動きの展開となった。日経平均株価が上昇して始まったこともあり、ドル円・クロス円は上昇する場面もあったが、その後に株価がマイナス圏まで下落し、下げ幅を拡大したことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、時間外取引での米国債利回りが低下したことも圧迫要因となった。欧中時間に入り、中国商務省報道官の発言を受けて、米中貿易問題に対する懸念が和らぐとの見方から、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された第2四半期の米GDP改定値が速報値から下方修正されたが、個人消費が上方修正されたこともあり、ドルの下値は限定的だった。中国商務省の報道官が米中閣僚級協議に前向きな姿勢を示したことや、トランプ米大統領が異なるレベルでの米中協議を進める予定としたことから、米中貿易協議の進展期待が高まり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことや、米国債利回りの上昇も押し上げ要因となった。
米株式市場では、ダウ平均株価が一時前日比372ドル高まで上昇するなど、326ドル高で終了し、8/8以来3週間ぶりの高値となった。一方、ハイテク株中心のナスダックは、116ポイント高で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れが一服しており、序盤から小動きの展開で始まった。日経平均株価が小高く始まったこともあり、ドル/円は一時106.12まで上昇した。しかし、日経平均株価がマイナス圏に下落し、小幅ながら下げ幅が拡大したことや、月末を控えた実需のドル売りが観測されたこともあり、仲値公示近辺にかけて軟調な動きとなった。
(2)前日の米債券市場で2年債と10年債の利回り格差が拡大したことで、米景気減速の懸念が改めて意識されたことがドルの圧迫要因となった。さらに、米10年債利回りが1.4677%から1.4425%まで低下したことも加わり、ドル/円は105.83まで下落した。しかし、欧州時間に入り、中国商務省報道官が米中は9月の訪米に関して協議していると発言したことや、米10年債利回りが1.5063%まで上昇したこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は、106.36まで上昇した。
(3)第2四半期の米GDP改定値が発表され、速報値から下方修正されたものの、個人消費が上方修正されたこともあり、ドルの下値は限定的だった。中国が米国の制裁関税引き上げに当面は報復しない方針を示唆したとの報道や、中国商務省の報道官が米中閣僚級協議に前向きな姿勢を示したこと、さらにトランプ米大統領が異なるレベルでの米中協議を進める予定としたことが好感され、米中貿易協議の進展期待が高まり、投資家のリスク回避の動きが和らいだ。これを受けて、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことや、米国債利回りの上昇も加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなり、ドル/円は106.68まで上昇し、1週間ぶりの高値を付けた。
本日のトピックス
先週、米国の制裁関税第4弾への報復措置を中国が発表したことを受けて、トランプ米大統領は追加で5%の関税を課すと明らかにし、米通商代表部(USTR)が正式に官報で発表した。これにより、対中制裁関税第1-3弾の税率を現行の25%から30%に、第4弾の税率を当初予定の10%から15%にそれぞれ引き上げることになる。9/1午前0時01分(日本時間午前9時01分)に約1250億ドル相当の中国製品に対して発動され、先送りされた製品に関しては12/15に発動される。
昨日の海外市場では、米中貿易問題に関して、協議継続で両国の歩み寄りが見られたことが好感され、投資家のリスク回避の動きが和らいだ。9/1期限の関税発動が延期になるようなら、好感される可能性があるが、発動される場合にはリスク回避の動きとなる可能性もあり、週明けのマーケットの動きに注目したい。
8/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月PCEコア・デフレーター(前年比)
個人消費支出(Personal Consumption Expenditure)の名目PCEを実質PCEで割ったもの。PCEデフレーターから、価格変動が激しい食品とエネルギーを除いたものがPCEコアデフレーターであり、米国のFRBが金融政策を判断する上で重視している物価指標。消費者物価指数と比較されるが、PCEデフレーターはより調査対象が広いことから、物価動向を反映しやすいとされている。
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1.6% | 1.6% |
前回は、市場予想を下回ったものの、今年2月以来の高い伸びとなり、改善の兆候が示唆される結果となった。今回は、前月から変わらずの伸びが予想されているが、今年の3月、5月に付けた2017年8月以来の低い伸びから改善の傾向が続くのか注目されている。 | ||||
22:45 | 米国 |
8月シカゴ購買部協会景気指数
シカゴ購買部協会景気指数は、シカゴ地区の製造業の景況感を指数化したものであり、50が景気の拡大・後退の判断基準となり、50を上回れば景気拡大傾向、50を下回れば景気後退傾向と判断される。
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47.5 | 44.4 |
前回は、市場予想を大きく下回る結果となり、2015年12月以来の低水準となった。また、景気判断の基準とされる50を2ヵ月連続で下回った。今回は、前月からの改善が予想されているものの、景気の後退傾向と判断される50以下が続くと予想されていることから、50以下なら改善が見られても楽観的な見方にはつながらないだろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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92.3 | 92.1 |
前回の速報値は、市場予想を若干下回り、前月から6.3ポイントの低下で今年1月以来の低水準となった。現在の景況感、先行きの景況感がともに低下となり、特に先行きの景況感が8.2ポイント低下となったことが影響した。今回の確報値は若干の上方修正が予想されているが、前回大きく低下した先行きの景況感が上方修正されるのか注目したい。 |