前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、序盤から上値の重い動きとなった。日経平均株価が上昇して始まったものの、人民元の基準値が前日に比べて元安水準に設定され、米国の対中制裁関税第4弾の導入を控えて人民元安が進んでいることも圧迫材料となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後、ドイツのGDPが3四半期ぶりのマイナス成長となり、ユーロが対ドルで下落したことがドルの押し上げ要因となり、ドル/円は底固い動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、序盤から堅調な動きとなった。さらに、米経済指標がいずれも市場予想を上回る結果となったことも加わり、ドル/円は一時106.07まで上昇した。その後、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことや、米国債利回りの低下も影響し、ドル/円は105.66まで下落した。ただ、引けにかけては底固い動きが続いた。
米株式市場では、米10年債利回りが2年債を下回る逆イールドが一段と進み、景気後退への懸念が意識されたこともあり、ダウ平均株価は120ドル安、ナスダックは26ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の引き継ぎ、序盤から底固い動きとなった。日経平均株価は堅調な展開で始まったものの、月末をにらんだ輸出勢のドル売りが観測されたことに加え、人民元の基準値が1ドル=7.0810元に設定され、基準値としては2008年3/18以来の元安水準水準となったことも、ドル円・クロス円の圧迫要因となった。一方、豪中銀の副総裁が政策金利の下限は0.0%〜0.5%近辺の可能性が高いとの見方を示すなど、ハト派的な発言を受けて、豪ドルは下落となった。
(2)ドイツのGDPが3四半期ぶりのマイナス成長となったことから、ユーロが主要通貨に対して下落となり、ドルがユーロに対して上昇したことが押し上げ要因となり、ドル/円は底固い動きが続いた。一方、英野党連合が英国の合意なき離脱を阻止するために協調行動をとるとの声明を受けて、ポンドは主要通貨に対して上昇となり、特に対ドルでは7/29以来の高値を付けた。
(3)米国債利回りが上昇したことや、8月の米消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数がともに市場予想を上回る結果となったことも加わり、ドル/円は106.07まで上昇した。
(4)中国の通信社が対米通商協議に反撃の手段は十分にあると報道したことで、米中貿易問題に対する先行き不透明感が高まり、米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことや、米10年債利回りが1.5198%から1.4694%まで低下し、2年債利回りとの金利差が拡大したことから、ドル/円は105.66まで下落した。ただ、アジア市場で付けた105.59の安値が意識されて下げ渋り、終盤までも底固い動きが続いた。
本日のトピックス
トランプ米大統領の発言を受けて、米中対立激化への警戒感が和らいだとの見方もあったが、昨晩の中国の報道などもあり、依然として両国の対立は根強いとの思惑が広がっている。その中で、9/1に制裁関税第4弾(一部は12月まで延期)の発動となることから、両国の動きを見極めたいとの思惑もある。特に、要人の発言や報道にマーケットが過敏に反応する展開が続いていることもあり、ポジションが取り難くなっている。そのため、発言や報道で急な動きとなる可能性もあり、注意が必要だろう。本日は、米国の主要な経済指標の発表がないことから、やや限定的な動きも考えられるが、米10年債利回りが2年債を下回る逆イールド(長短の金利差逆転)が一段と進み、景気後退への懸念が意識されていることもあり、米2年債と10年債利回りの動向にも注目が集まっている。また、本日の5年債入札も予定されており、入札に絡む利回りの動きにも注目したい。