前営業日トピックス
東京市場では、前日海外で主要株価指数が上昇した流れを受けて、日経平均株価も序盤から堅調な動きとなったものの、ドル円・クロス円はレンジ内の動きに留まった。さらに、米国債利回りも横ばいが続いたことも影響した。8/23のジャクソンホールで開かれる、年次経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演内容を見極めたいとの思惑も影響したとの見方もあった。
海外市場では、イタリアの政局混乱や英国のEU離脱を巡る問題を背景に投資家のリスク回避志向が広がり、ドイツ債や米国債の逃避買いが先行した。さらに、パウエルFRB議長がジャクソンホールで行う講演で、9月の追加利下げを示唆するとの思惑も米国債利回りの低下を後押しした。米国債利回りの低下を受けて、ドル/円は一時106.17まで下落した。その後、ドイツのメルケル首相が「バックストップの実務的な解決策ついて考える」と発言したことでポンドが反発となり、ポンド/円が2週間ぶりの高値水準まで上昇した動きに連れて、ドル/円やユーロ/円も反発となった。終盤にかけて、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。米株式市場では、ダウ平均株価が173ドル安、ハイテク株中心のナスダックは54ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムでのパウエルFRB議長の講演内容を見極めたいとの思惑も根強く、序盤から小動きとなった。商業決済が集中する五・十日であり、仲値公示にかけては実需のフローが観測されたものの、ドル/円は106.69までの上昇に留まった。さらに、米10年債利回りが1.5842%から1.5961%の範囲でのもみ合いとなったこともやや方向性に乏しい要因となった。
(2)豪中銀が公表した議事要旨(8/6の会合分)では、追加緩和を急がない姿勢が示されたことから豪州の早期の追加利下げ観測が後退し、豪ドルは堅調な動きとなった。豪ドル/円は、序盤の71.97から72.35まで上昇した。その後、ドイツやフランスなどの国債利回りが低下して始まったこともあり、ドル円・クロス円はやや軟調な動きとなった。
(3)イタリアのコンテ首相の辞任などイタリアの政局混乱や英国のEU離脱を巡る問題を背景に投資家のリスク回避志向が広がり、ドイツ債や米国債の逃避買い(利回りは低下)が先行した。さらに、パウエルFRB議長がジャクソンホールで行う講演で、9月の追加利下げを示唆するとの思惑も米国債利回りの低下を後押しした。欧州時間序盤に1.5961%を付けていた米10年債利回りが1.5386%まで低下した流れを受けて、ドル/円は一時106.17まで下落した。
(4)ジョンソン英首相がアイルランド国境を巡るバックストップ条項の代替案を示したことを受けてポンドは主要通貨に対して下落した。しかし、ドイツのメルケル首相が「バックストップの実務的な解決策ついて考える」と発言したことでポンドが反発となり、ポンド/円が129.61まで上昇し、約2週間ぶりの高値を付けたことに連れて、ドル/円やユーロ/円も反発となり、ドル/円は106.46まで上昇した。その後は、米主要株価指数が下げ幅を拡大したこともあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
本日から明日にかけてワシントンで日米の閣僚級の通商協議が予定されており、物品貿易協定の早期合意に向けた交渉が注目される。今回の協議で合意となるようなら、9月に日米首脳会談で合意が発表されると見られている。ただ、内容に関してトランプ大統領がツイートなどでの牽制的な発言も警戒される。また、各国が利下げを進める中、通貨安に関して為替条項を示唆する場合には、一時的に円買いとなる可能性も考えられることから、一応注意しておきたい。
米国市場では、中古住宅販売件数の発表が予定されており、昨年は7ヵ月連続減少を含む低下が続いたが、今年のここまでの平均が520万件(昨年1年間の平均530万件)であることから、改善の傾向が示されるのか注目したい。さらに、FOMCの議事要旨が公表されるが、前回のFOMCから世界的な金融情勢がやや変化していることから参考程度と考えられ、むしろ8/23のジャクソンホールでのFRB議長の講演内容が注目されている。
8/21の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月中古住宅販売件数
中古住宅販売件数は、所有権が移転した中古住宅の販売件数であり、米国の景気動向を見る上で重要視されている経済指標の一つである。所得やローン金利の動向に影響を受けることから、ローン金利動向やローン申請件数と関係も深い。
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540万件 | 527万件 |
前回は市場予想を下回る結果となり、前月から減少となった。北東部、中西部が増加したものの、南部や西部が減少となったことや、特に低・中価格の供給不足となったことも影響した。今回は、増加が予想されており、供給不足が解消されなければ、増加も一過性となる可能性も考えられる。 |