前営業日トピックス
前日の海外市場の流れを受けて、東京市場では序盤からやや上値の重い動きとなった。日経平均株価が序盤から大幅下落となったことや、米国債利回りが低下したものの下値は限定的となり、比較的底固い動きが続いた。その後、急速に円売りとなる場面があり、ドル/円は106.78まで上昇したが、上昇一服後は再び106円台前半まで下落となった。さらに、中国財政省が米国の追加関税に対して対抗策を講じる必要があるとの見解を示したことを受けてドル円・クロス円は一段の下げとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標がいずれも市場予想を上回る結果となったことや、米10年債利回りが上昇したことを受けて、ドル/円は106.34まで上昇した。上昇一服後は、やや上値の重い動きとなったが、米10年債利回りが2016年8月以来の低水準まで低下した流れに合わせてドル売りとなり、ドル/円は105.81まで下落した。ただ、引けにかけては底固い動きとなり、106円台まで値を戻して引けた。
米株式市場では、ダウ平均、S&P500は反発となったが、ナスダックはハイテク企業の業績見通しが市場予想を下回ったことや、電機大手の不正会計疑惑が嫌気されて小幅続落となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)2007年6月以来12年ぶりに長短金の逆イールドとなり、世界的な景気後退への懸念が強まったことで市場参加者の警戒感が高まり、序盤からリスク回避の動きが意識されて円買いが先行、ドル/円は105.73まで下落した。その後は、底固い動きが続き、仲値公示にかけて106.03まで上昇した。
(2)注目される人民元の基準値がほぼ市場の予想通りだったことから、マーケットの反応は限定的だった。その後は、前日比470円安まで下落した日経平均株価が下げ幅を縮小したことから、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。さらに、1.5438%まで低下した米10年債利回りが1.5928まで上昇したことや、ストップも巻き込み、ドル円・クロス円は急反発となり、ドル/円は一時106.78まで上昇した。
(3)上昇一服後はやや上値の重い動きとなったが、中国財政省が中国製品に対する米政府による追加関税について、対抗策を講じる必要があるとの見解を示したことを受けて、米10年債利回りが1.5928%から1.5118%まで低下となり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなり、ドル/円は105.70まで下落した。
(4)ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀景況指数、小売売上高がいずれも市場予想を上回る結果となったことや、低下していた米10年債利回りが1.5911%まで上昇したことを受けて、ドル/円は106.34まで上昇した。上昇一服後は、米主要株価指数が上値の重い動きとなったことや、米国債利回りが低下したことも加わり、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。その後、米10年債利回りが1.4732%まで低下し、2016年8月以来の低水準となった流れに合わせてドル売りとなり、ドル/円は105.81まで下落した。ただ、引けにかけては底固い動きとなり、106円台まで値を戻して引けた。一方、メキシコ中銀が約5年ぶりに利下げを発表したことを受けて、メキシコ・ペソ/円は発表前の5.401から5.357まで下落したものの、ある程度利下げも予想されていたこともあり、ペソの下げは一時的だった。
本日のトピックス
引き続き、マーケットでは景気後退入りの兆候とされる米国の長短金利差の逆転に敏感になっており、さらに英国や欧州の金利低下も加わったことで、主要国の金利動向に注目が集まっている。金利の動きからは、米景気後退への警戒感がある一方、昨晩の米個人消費が良好だったことから、第3四半期GDPの改善期待も広がっている。本日の米国市場では、住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感指数の発表が予定されおり、結果が注目される。住宅着工件数は、前回先行指標となる許可件数が2017年4月以来の低水準に減少するなど冴えない結果となった影響が出るのか注目されており、ミシガン大学消費者信頼感指数は、米中貿易問題の長期化や株価下落が消費者のマインドに影響しているのか注目されている。
8/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
7月住宅着工件数
住宅着工件数は、建設が着工された民間住宅の着工件数を集計した経済指標で、家電製品などの個人消費との相関性も高いことから、景気動向を見る上で重要な指標である。また、天候の影響を受けやすいという面もある。
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125.7万件 | 125.3万件 |
前回は、市場予想を下回り、2ヵ月連続の減少となった。一戸建て住宅が増加したものの、集合住宅が5ヵ月ぶりに減少したことが影響した。今回は、前回から若干の増加が予想されているものの、着工件数の先行指標となる許可件数が、前回2017年4月以来の低水準に減少するなど、冴えない結果だった。通常、1-2ヵ月後に影響が出ることから、結果が注目される。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月ミシガン大学消費者信頼感指数
ミシガン大消費者信頼感指数は、ミシガン大学が消費者にアンケート調査を行い、現況指数(現在)、期待指数(将来)など消費者マインドを指数化した経済指標である。速報は300人、確報は500人を対象に調査を実施し、1964年の指数を100として算出する。コンファレンス・ボード(CB)が発表する消費者信頼感指数と共に消費者マインドを見る上で重要な経済指標である。
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97.0 | 98.4 |
前回の確報値は、市場予想を下回ったものの速報値から横ばいだった。先行きの景況感が上昇したものの、現在の景況感が低下したことで相殺された。今回の速報値は低下が予想されており、8月序盤にダウ平均株価が約1800ドル超下落したことが消費者のマインドを圧迫している可能性も考えられる。 |