前営業日トピックス
昨日、早朝にドル/円は106.77まで上昇したが、その後はジリジリと下げ幅を拡大した。日経平均株価が序盤から前日比240円以上の上昇となったものの、反応は限定的で引き続き上値の重い動きが続いた。また、中国の鉱工業生産が市場予想を大幅に下回る結果となったことや、ドイツのGDPがマイナスとなったことも影響し、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、欧州市場の流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は軟調な動きが続いた。さらに、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことも加わり、ドル/円は一時105.65まで下落した。米株式市場では、ダウ平均株価が一時808ドル安まで下落し、800ドル安と安値圏のまま終了し、6/4以来約2ヵ月ぶりの安値となった。一方、ナスダックは242ポイント安で終了した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米国が対中制裁関税に関して一部発動の延期を発表したが、12月まで延期しただけの措置で根本的な解決になっていないとの見方もあり、やや上値の重い動きが続いた。東京市場では、その流れを引き継ぎ、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが1.6932%から1.6693%まで低下したこともドル円・クロス円を圧迫し、その後、7月の中国鉱工業生産が2002年2月以来17年ぶりの低い伸びとなったことも影響し、ドル/円は一時106.24まで下落した。
(2)ドル/円は106.62まで値を戻すなど底固い動きとなったものの、上値は限定的でレンジ内の動きが続いた。
(3)米中貿易摩擦が長期化する中、中国鉱工業生産が悪化したことで、中国経済の鈍化懸念が強まったことや、ドイツのGDPが3四半期ぶりのマイナスに転じたことで、世界経済に対する懸念が意識された。米債券市場では、2007年6月以来12年ぶりに10年債利回りが2年債利回りを下回る逆イールド(長短金利の逆転現象・景気後退の兆候)となり、世界的な景気後退への懸念が強まったことを受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。なお、逆イールドは英国でも発生した。
(4)米国市場では、米主要株価指数が軒並み大幅下落となったことも影響し、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続き、ドル/円は一時105.65まで下落した。
本日のトピックス
昨日の欧州市場では、米10年債利回りが2年債利回りを下回る逆イールド(長短金利の逆転現象)となった。2007年6月以来12年ぶりにリセッション(景気後退)の兆候とされる逆イールド現象となったことで、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円もこれに反応した。米国市場では、逆イールドが解消したものの、マーケットでは引き続き長短金利差に注目しており、逆イールドには過敏に反応する可能性もあるだろう。
一方、トランプ大統領がFRBに利下げを繰り返し求めていることから、マーケットでは9月のFOMCで0.50%の利下げが決定されるとの思惑も浮上(金利先物市場で見る0.50%の利下げ予想確率は30%、0.25%の予想確率は70%)している。それに対抗して先週ニュージーランド、タイ、インドなどが利下げを決定するなど、各国で利下げが相次ぐ中、本日はノルウェー、メキシコが政策金利を発表する予定である。各国で利下げが相次げば、通貨安競争が激化する可能性もあり、円に上昇圧力がかかりやすくなるだろう。
8/15の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
8月ニューヨーク連銀製造業景気指数
NY連銀製造業景気指数は、NY州の製造業の景況感などを指数化した経済指標である。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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1.9 | 4.3 |
前回は、市場予想を上回り、2016年10月以来の大きなマイナス幅となった6月から改善した。新規受注がマイナス幅を縮小したものの、雇用者数がマイナス幅を拡大したこともあり、戻しは限定的となった。今回は、前回からの低下が予想されており、景況の判断の基準となるゼロを再び下回るようなら、改善は一時的で製造業の不安定さが懸念される可能性もあるだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
8月フィラデルフィア連銀景況指数
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は、フィラデルフィア連銀の管轄であるニュージャージー、ペンシルバニア、デラウエアの製造業の景況感などを指数化した経済指標で、最も早く公表される製造業の景況指数の一つである。製造業に関連した新規受注・雇用・在庫など、指数化された数値が発表される。数値はゼロが景況の判断の基準となる。
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10.0 | 21.8 |
前回は市場予想を大きく上回り、2018年7月以来の高水準となった。新規受注や雇用が前月から大幅な伸びとなったことや、その他の項目も前月から上昇したことが影響した。今回は、前回の反動から低下が予想されており、6ヵ月平均の9.5を下回る場合には、反応が大きくなる可能性もあるだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
7月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.3% | 0.4% |
前回は、市場予想を上回り、個人消費の底固さが示されたものの、小幅上昇に留まった。食品・飲料、建設資材が伸びたものの、ガソリンスタンドや電気製品がマイナスとなったことが影響した。今回は、3ヵ月ぶりに前月から伸び幅の低下が予想されているが、第3四半期が良好な滑り出しが示されるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
8月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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66 | 65 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、現在、見通し、見込み客指数のいずれも前月から上昇した。今回は、前月からの上昇が予想されており、引き続き堅調な結果が続くのか注目されている。今年に入り7ヵ月中6ヵ月で上昇となっており、結果に注目したい。 |