前営業日トピックス
米中貿易問題の悪化懸念を背景に、日経平均や上海株をはじめ、アジア株が軒並み下落したことや、人民元が2008年以来11年ぶりに1ドル=7元を超える元安となったことから、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル/円は一時105.79まで下落し、1/3以来7ヵ月ぶり安値を更新した。一方、中国との貿易上の関係が深い豪ドル/円も下げ幅を拡大し、1/3以来の安値を更新した。
米国市場では、欧州主要株価指数や米株価が下落する中、7月米ISM非製造業景況指数が約3年ぶりの低水準となったことに加え、米中の対立が深刻化するとの懸念を背景に、米長期金利が一段と低下したことにも影響され、ドルは上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領が対中制裁関税第4弾を発動する意向を表明したことに対し、中国も報復措置を取る姿勢を示したことで、米中貿易対立が世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感が材料視され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、人民元が2008年以来11年ぶりの安をとなったことで、景気減速や資本流出への懸念が高まったとの見方から、アジア株が軒並み安となり、円高が加速した。
(2)日経平均株価が前週末比572円安まで下落したことを受けて、ドル/円はストップロスを巻き込み、一時105.79まで下落し、今年1/3以来7ヵ月ぶり安値を更新した。一方、先週日本が貿易優遇措置、いわゆるホワイト国から韓国を除外したことに対して、韓国側も対抗措置を発表したことで、ウォン安が優勢となり、ウォンは対円で2016年7月以来の安値、対ドルでは2016年3月以来の安値となった。欧州市場では、ドル円が一時106.35まで上昇したものの、欧州主要株価指数や米株価先物が下落したこともあり、やや上値の重い動きとなった。
(3)中国当局が1ドル=7元を超える人民元安を容認し、人民元が対ドルで2008年3月以来の安値まで下落したことを受けて、トランプ米大統領が為替操作は重大な違反だと指摘するなど、米中の対立が深刻化するとの懸念に加え、米主要株価指数が大幅下落となったことも影響し、ドルは上値の重い動きとなった。さらに、7月米ISM非製造業景況指数が約3年ぶりの低水準となったことも上値を圧迫する要因となった。ただ、ドル/円は105円台では値頃感の買いも根強く、底固い動きが続いた。
(4)米国時間引け後のオセアニア市場では、米財務省が中国を為替操作国に指定とのヘッドラインが流れたことを受けて、投資家のリスク回避の円買いが強まり、ドル/円は105.52まで下落した。
本日のトピックス
朝方、米財務省が中国を為替操作国に認定したことから、リスク回避の円買いが進んだ。
米財務省の為替操作国の指定に関しては、1988年法と2015年法があり、判定に際してはどちらを採用するかは明確となっていないことから、認定されても何もないだろうとの見方もある一方、米商務省では認定されれば報復関税をかけるとしていることもあり、今後の動きが注目される。
米中、日韓の貿易問題を背景に、投資家のリスク回避の動きから、世界的な株価下落、ドル円・クロス円も下落する動きとなっており、当面は問題に関する報道や要人発言に敏感に反応する可能性が考えられる。
午後には、オーストラリア中銀の金融政策発表が予定されており、マーケットでは政策金利の据え置きがコンセンサスとなっている。金利先物市場においては、据え置き予想確率が91%だが、次回9月の利下げ予想確率が45%、10月は68%、12月は85%となっており、年内あと2回の利下げとの見方もある。そのため、声明や当局者の発言で政策の方向性に関するヒントがあるか注目したい。
米国市場では、JOLT求人件数の発表が予定されているが、市場予想と大きく乖離しなければ、マーケットへの反応も限定的だろう。むしろ、米中貿易問題に関する思惑による株価や金利動向に左右される可能性が考えられる。
8/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
23:00 | 米国 |
6月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
|
740.0万件 | 732.3万件 |
前回は、市場予想に反して2ヵ月連続の減少となった。ただ、依然として高水準域を維持しているものの、人材の需要が低迷していたことが示唆された。専門職やヘルスケア、ビジネスサービス関連の求人の減少したことが影響した。今回は、前回から改善が予想されており、人材の需要低迷が払拭されるのか注目したい。 |