前営業日トピックス
東京市場では、前日の海外市場の大幅下落となった流れが一服し、序盤から底固い動きとなった。しかし、日経平均株価が580円以上の下落となったことや、米国債利回りの低下を受けて、再びドル円・クロス円は下落となり、ドル/円は6月下旬以来約1ヵ月ぶりに106円台まで下落した。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で賃金の伸びが前月比・前年比ともに前月を上回る伸びとなったことに加え、トランプ大統領が対中制裁関税発動の停止・延期に対してはオープンであるとの認識を示したとの報道を受けて、ドル/円は一時107.28まで上昇した。上昇一服後は、米中の貿易対立が世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感が高まり、投資家のリスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、米国債利回りが低下したことも影響して106.51まで下落し、1/3以来の安値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領が3000億ドル相当の中国製品に10%の追加関税を賦課する方針を発表したことで、1日の海外市場でリスク回避の動きが強まった流れが一服し、序盤のドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、日経平均株価が序盤から大幅下落となったことや、米10年債利回りが1.9089%から1.8729%まで低下したことも加わり、円買い・ドル売りが再び強まり、ドル/円は一時106.85まで下落し、6/25以来約1ヵ月ぶりの安値を付けた。また、ユーロ/円2017年4月以来、ポンド円は2016年11月以来の安値を付けた。
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(2)一時前日比580円以上の下落となっていた日経平均株価が下げ幅を縮小したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなったが、上値も重くレンジ内の動きとなった。その後、欧州主要株価指数が軒並み下落したことも影響し、軟調な動きとなった。ドル/円は、米長期金利の指標となる10年債利回りが一時1.83%台まで低下し、2016年11月以来約2年9ヵ月ぶりの低水準となったことも影響した。
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(3)米雇用統計では、賃金の伸びが前月比・前年比ともに前月を上回る伸びとなったことに加え、トランプ大統領が対中制裁関税発動の停止・延期に対してオープンであるとの認識を示したとの報道が好感され、ドル/円は一時107.28まで上昇した。
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(4)クドロー米国家経済会議委員長が、対中追加関税の延期の可能性は聞いていないと発言したことで、米中の貿易対立が世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感が再燃、投資家のリスク回避の動きが強まり、相対的に安全な通貨とされる円を買ってドルを売る動きが優勢となった。ドル/円は、米長期金利の指標となる10年債利回りが1.9052%から1./8410%まで低下したことも影響して106.51まで下落し、1/3日以来の安値を更新した。
本日のトピックス
トランプ米大統領が対中制裁関税第4弾を発動する意向を表明したことに対して、中国も報復措置を取る姿勢を示したことで、米中貿易対立が世界経済に悪影響を及ぼすとの警戒感が広がり、投資家のリスク回避の動きが優勢となった。引き続き、米中の貿易問題を材料に、上値の重い動きが続くだろう。特に、関連する報道や要人発言には敏感に反応する可能性もあり、注意も必要だろう。
欧州時間には、トルコの消費者物価指数の発表が予定されている。トルコ中銀は、7/25に政策金利を4.25%引き下げたが、7/31には2019年のインフレ率予想を14.6%から13.9%に引き下げた上で、トルコ中銀総裁が金利の調整余地が「かなりある」と述べたことから、追加利下げの可能性を判断するためにも注目が集まっている。
米国市場では、7月ISM非製造業景況指数の発表が予定されており、前回2017年7月以来の低水準となったことから、改善が見られるのか注目されている。
8/5の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
7月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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55.5 | 55.1 |
前回は、市場予想を下回り、2017年7月以来の低水準となった。新規受注が2017年12月以来、雇用が1年4ヵ月ぶりの大幅低下となったことが影響した。今回は、若干の改善が予想されており、前回低下した新規受注や雇用の改善が見られるのか注目したい。 |