前営業日トピックス
東京市場では、週末の米中首脳会談で対立ムードが和らいだことや、米朝首脳会談が実施されたことから、リスク回避の動きが意識され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。しかし、上昇一服後は、やや上値の重い動きとなったが、日経平均株価が450円以上の上昇で終了したことや、欧州主要株価、米株価先物が上昇したことも加わり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米ISM製造業景況指数、建設支出がともに低調な内容だったことが影響し、序盤のドルは上値の重い動きとなった。しかし、米国と中国が通商協議再開で合意したことが好感され、米主要株価が軒並み上昇したことからドルは底固い動きとなり、さらに米国債利回りが上昇したこともドルの下支え要因となった。一方、米株式市場では、終盤にかけて上げ幅を縮小したものの、ダウ平均株価は続伸、ナスダックは4営業日続伸となり、S&P500は3営業日続伸で過去最高値を更新した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ大統領は、米中首脳会談後の会見で中国製品を対象とした制裁関税の発動を先送りする意向を示したことに加え、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の会談を好感して、6/28の海外市場の終値からギャップアップして始まった。ドル/円は、一時108.50まで上昇し、6/19以来の高値を付けた。
(2)米中通商問題に対する懐疑的な指摘がある一方、中国の製造業PMIが市場予想を下回り、2月以来の50割れとなったことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、米10年債利回りが2.0430%から2.0241%まで低下したことも影響した。日経平均株価が堅調な動きが続いたことや、下落した米10年債利回りが午後に入り上昇に転じたこともあり、底固い動きとなった。ドル/円は108.53まで上昇し、午前中の高値を上回った。
(3)新規材料に乏しい中、2.0464%まで上昇していた米10年債利回りが2.0102%まで低下したことなどが材料視され、上値の重い動きとなった。
(4)米国市場では、米ISM製造業景況指数が2016年10月以来2年8ヵ月ぶりの低水準、建設支出が2018年11月以来のマイナスとなるなど、ともに低調な結果だったことが影響し、ドルは序盤上値の重い動きとなった。しかし、米国と中国が通商協議再開で合意したことで、通商問題に対する楽観的な見通しが強まったことを背景に、米主要株価が軒並み上昇となり、ドルは底固い動きとなった。さらに、2.0016%まで低下していた米10年債利回りが2.0464%まで上昇したこともドルの下支え要因となった。一方、ECBの金融緩和に対する懸念を背景に、欧州主要国の国債利回りが低下し、これに対して米国債利回りが上昇したことで、ユーロ売り・ドル買いとなり、ユーロはドルや円に対して下落した。さらに、イタリアの2019年の財政赤字目標が対GDP比で2.4%から2.04%に引き下げと報じられたことも圧迫要因となった。
本日のトピックス
先週末の米中首脳会談や米朝首脳会談を受けて、米中の通商問題や北朝鮮の非核化問題などに対する懸念が和らいだとの見方から、比較的底固い動きが続く可能性が考えられる。その中で、午後には豪中銀の金融政策発表が予定されている。今回も前回に続き0.25%の利下げが予想されていることから、結果に注目が集まっている。また、18時半ころにはロウ豪中銀総裁の発言が予定されていることから、発言の内容にも注目したい。
米国市場では、主要な経済の発表がないことから、やや限定的な動きも予想されるが、昨日最高値を更新したS&P500をはじめ、続伸中の米主要株価の動きや、米国債利回りの動きに注目したい。