前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを引き継ぎ、序盤からやや上値の重い動きとなった。その後は、下落して始まった日経平均株価が上昇に転じ、上げ幅を拡大したことに合わせて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米国債利回りの上昇も下支え要因となった。
米国市場では、5月の米生産者物価指数が前年比で2017年1月以来の低い伸びとなり、インフレ圧力が依然として弱いことが示され、ドルは軟調な動きとなった。さらに、トランプ大統領が米国の金利はかなり高すぎるとしたことも加わり、ドルは主要通貨に対して下落。そして、序盤から堅調な動きとなっていた米主要株価指数が、軒並みマイナス圏まで下落したことや、米国債利回りが低下したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)トランプ米大統領が、中国の習近平国家主席が今月下旬の20ヵ国サミットに合わせた首脳会談を拒否すれば、中国への制裁第4弾となる追加関税を直ちに発動する方針を示したことを受けて、ドルは序盤から軟調な動きとなった。
(2)下落して始まった日経平均株価が堅調な動きとなったことや、仲値公示にかけて実需のドル買い・円売りが断続的に観測されたこともあり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米10年債利回りが2.1379%から2.1553%まで上昇したこともドルの下支え要因となった。
(3)中国の新たな景気刺激策に対する期待感に加え、トランプ大統領が中国の習近平国家主席とG20で会談する予定だと記者団に発言したことが引き続き材料視され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)5月の米生産者物価指数では、前月比が4ヵ月連続のプラスとなったものの、前年比ベースで2017年1月以来の低い伸びとなり、インフレ圧力が依然として弱いことが示され、ドルは軟調な動きとなった。さらに、トランプ大統領が米国の金利はかなり高すぎるとし、FRBの金融政策を非難したことも加わり、ドルは主要通貨に対して軟調な動きとなり、ドル/円は序盤の108.80から108.44まで下落した。一方、序盤から堅調な動きとなった米主要株価指数が軒並みマイナス圏まで下落したことや、米10年債利回りが2.1761%から2.1379%まで低下したことも加わり、クロス円も軟調な動きとなった。
(5)下げ一服後は値頃感の買い戻しに加え、クドロー米国家経済会議委員長が、トランプ大統領はドル下落を呼びかけていないと発言したこともあり、ドルはやや底固い動きとなった。
本日のトピックス
欧州市場では、トルコ中銀の金融政策発表が予定されており、主要政策金利のレポレートは24.00%に据え置かれると予想されている。昨年9月に、17.75%から24.00%に引き上げて以降、ここまで5会合連続で据え置きとなっている。ただ、トルコのインフレ率は、昨年10月の25.2%からここまで7ヵ月間で18.7%まで低下しており、今後の低下も見込まれている。そのため、利下げが近いとの見方も増えている。ただ、トルコ財政の悪化懸念が燻っていることや、トルコリラの低迷も影響し、当面は現行の政策スタンスを維持するとの見方がコンセンサスとなっている。
一方、米国では5月の米消費者物価指数の発表が予定されている。前回5ヵ月ぶりに2%台に改善したが、5月は原油価格が8ドル以上下落したことが影響している可能性もあり、前年比ベースで再び2%を下回る結果となるのかどうか注目されている。また、前日に発表された生産者物価指数では、米国のインフレ圧力は依然として弱いことが示される結果となっていることもあり、注目度が高まっている。
6/12の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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20:00 | トルコ |
政策金利発表 |
24.00% | 24.00% |
トルコ中銀の金融政策発表では、主要政策金利のレポレートが24.0%に据え置かれると予想されている。昨年9月に、17.75%から24.00%に引き上げて以降、ここまで5会合連続で据え置きとなっている。当面は、現行の政策スタンスを維持すると見られており、今回も据え置きがコンセンサスとなっている。 | ||||
21:30 | 米国 |
5月消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(CPI = Consumer Price Index)は、消費者を対象とした小売やサービスの価格動向を示した指数である。特に、食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されている。そして、米国の金融政策を決定する上で重要な経済指標であり、為替市場への影響も非常に大きい。
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1.9% | 2.0% |
前回は、市場予想を下回る結果となった。エネルギーが低下したことや、食品がマイナスとなったことが影響した。今回は、前回から更に伸び幅が低下すると予想されており、前回5ヵ月ぶりに2%台に改善したが、再び2%を下回るのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ポンド/円は、堅調な動きが続いていますが、オシレーターのストキャスティクスでは、両線のクロス間近となっており、クロスして短期的に軟調な動きとなるのか注目です。目先の上値のポイントは、前日の高値を上回る動きが続いていることから、前日高値の138.315となります。ここまで6営業日連続で前日の高値を上回る動きが続いていることから、この動きが止まる場合にはここまでの流れが一服となる可能性もあり、ストキャスティクスでの両線クロスとなった時の動きも合わせて注目です。
気まぐれ投資コラム
テクニカル分析 ストキャスティクス(Stochastics) その1
ストキャスティクスの特徴は、%K・%Dという2本のラインの相関関係から買われすぎや、売られすぎを判断するテクニカル分析手法です。ストキャスティクスの見方は、直近の終値が一定期間の価格レンジにおいて、相対的にどのレベルにあるかを0%から100%で示します。指数が70%以上であれば価格レンジの上限に近づいていることを示し、30%以下であれば価格レンジの下限に近づいていることを示し、売買の目安とされています。特に、80%以上や20%以下の時ほどより信頼度は高まり、上記の条件を満たし、高値圏で%Kが%Dを下抜けた(交差)場合、また安値圏で%Kが%Dを上抜けた(交差)場合には短期の転換のシグナルとなりことが多いです。
【売買のタイミングのヒント】
オシレーター全般に言えますが、パラメーター(構成日数)を超えるトレンドが出る場合には、明確なシグナルが出難いという特徴があります。RSIは、14日がバラメーターの基本設定であることから、14日の場合にはローソク足の本数で10本から20本程度で構成される往来相場に最適と言えます。一方、ストキャスティクスは、3日〜5日で構成されていることから、ローソク足で5本〜8本程度の往来相場に最適と言えます。また、相場の転換に比較的敏感に反応することから、短期売買にも適しています。
※出所:FX総合分析チャート