前営業日トピックス
先週末の海外市場の終了後に、トランプ米大統領が対メキシコ関税の発動の見送りを表明したことから、通商問題に対する懸念が和らぎ、ドル円・クロス円は序盤から堅調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなったことや、前週末の海外市場で大きく低下した米国債利回りが上昇に転じたことも影響し、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米国市場では、トランプ米大統領が、習近平中国国家主席がG20サミットでの会談に応じない場合、米国は対中関税を直ちに発動するだろうと指摘したことを受けて、ドルは序盤から軟調な動きとなった。ただ、米主要株価指数や米国債利回りが上昇したこともあり、やや底固い動きとなった。その後、マンハッタンのミッドタウンのビルにヘリコプターが墜落したとの報道を受けて、ドル/円は一時108.33まで下落した。ドルは終盤まで上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)6/7の海外市場の終了後に、トランプ米大統領がメキシコ製品への制裁関税発動の見送りを表明したことから、貿易摩擦が激化するとの懸念が後退し、ドル円・クロス円はギャップアップして始まった。さらに、日経平均株価が堅調な動きとなったことに加え、五、十日で実需のドル買いが観測されたことも影響した。
(2)米国の早期利下げ観測が燻っていることから、やや上値は抑えられている。しかし、午後に入り、日経平均株価が上げ幅を拡大したことや、米10年債利回りが2.1103%から2.1310%まで上昇したことからドルは底固い動きとなり、ドル/円は108.72まで上昇し、5/31以来の高値となった。
(3)欧州タイムでは、米国債利回りの上昇や欧州主要株価指数が堅調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その中で、トランプ米大統領は、習近平中国国家主席がG20サミットでの会談に応じない場合、米国は対中関税を直ちに発動するだろうと指摘したとの報道を受けて、ドルはNY市場序盤から軟調な動きとなった。
(4)下げ一巡後は、トランプ大統領がメキシコへの関税発動を見送ったことを好感して米主要株価指数が上昇したこともあり、底固い動きとなった。その後、マンハッタンのミッドタウンのビルにヘリコプターが墜落したとの複数の報道が流れ、テロの思惑も交錯してドルは再び下落となり、ドル/円は一時108.33まで下落した。その後、事故であることが明らかとなり値を戻したものの、ドルは終盤までは上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
米国は、対メキシコの制裁関税の発動を停止したことで、両国の問題は一旦回避されたが、米中の通商問題に関しては昨日も牽制発言が出るなど、依然として先行き不透明である。引き続き関係者の発言などには注目したい。 米国市場では、5月生産者物価指数の発表が予定されている。前回は、5ヵ月ぶりの高水準から低下となり、今回も前月からの低下が予想されている。米国の利下げ観測が燻っている中で、米国の物価関連の経済指標が注目されており、結果を見極めたい。また、米株式市場では、主要株価指数の上昇が続いており、ドル円・クロス円を下支えている要因の一つであることから、上昇が続くのかどうかにも注目したい。
6/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
5月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
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0.1% | 0.2% |
前回は、市場予想を下回る結果となった。食品がマイナスとなったことや、エネルギー、サービスなどが前月から低下したことが影響した。5月はWTI原油が8ドル以上下落していることもあり、これが影響している可能性もあり、市場予想は前月から上げ幅の低下が予想されている。 |