前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が堅調な動きとなったことや、本邦輸入企業のドル買いも観測され、仲値公示にかけては底固い動きとなった。しかし、この日香港や中国市場が休場となったことに加え、米雇用統計の発表が控えて様子見ムードが広がり、やや限定的な動きが続いた。
米国市場では、序盤に発表された5月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回ったことを受けて、米10年債利回りが大きく低下するなど7月のFOMCでの利下げ観測が強まり、ドルは大半の主要通貨に対して下落した。その後は、利下げ観測を背景にダウ平均株価が5営業日続伸するなど、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことからドル/円は底固い動きとなり、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円は対ドルでの上昇もあり、堅調な動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前日の海外市場の堅調な流れを受けて、序盤から底固い動きとなった。そして、日経平均株価が上昇して始まったことや、週末の実需のドル買いも観測され、仲値公示にかけてドル/円は108.50台まで上昇した。ただ、仲値通過後はやや上値の重い動きとなった。
(2)5月米雇用統計を控えていることや、6/8にムニューシン米財務長官と麻生財務相との会談の可能性もあり、様子見ムードから積極的な売買が手控えられ、ドル円・クロス円は狭いレンジ内で限定的な動きとなった。さらに、香港や中国市場が休場となったことも影響したほか、前日の海外市場で大幅上昇となったユーロも上昇一服となった。
(3)5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想の18.5万人を大幅に下回る+7.5万人となったことを受けて、米10年債利回りが2.1276%から2017年9/8以来の低水準となる2.0517%まで低下するなど、7月のFOMCでの利下げ観測が強まり、ドルは大半の主要通貨に対して下落した。ドルは、対円で一時2営業日ぶりに107円台まで下落、対ユーロでは3/22以来の安値となった。
(4)利下げ観測が強まったことが好感され、ダウ平均株価が5営業日続伸で5/6以来の高値を付けるなど、米主要株価指数が軒並み大幅上昇となったことから、ドル/円は108.26へ反発したほか、ユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円は対ドルでの上昇もあり、堅調な動きが続いた。
本日のトピックス
欧州市場では、ドイツ市場が休場となることに加え、欧州の主要な経済指標の発表がないことから、積極的な売買が手控えられ、やや限定的な動きが予想される。一方、米国市場では、求人件数の発表が予定されているが、引き続き過去最高水準近辺で推移していることから、予想の範囲内の結果なら反応は限定的だろう。また、FOMCを来週に控えてブラックアウト期間(当局者による金融政策などに関する発言を禁止する期間)に入っていることから、先週のような米当局者の発言がないことからも、比較的静かな週明けとなる可能性も考えられる。ただ、ここまでの続伸や先週末の大幅上昇となった米主要株価指数の調整が見られるようなら、材料視される可能性も考えられることから、株価の動きには注目したい。
6/10の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
4月JOLT労働調査[求人件数]
JOLTS 労働調査(求人件数)は、米労働統計局が求人状況を測定するために実施する調査で、小売業や製造業など各業種の雇用データをもとに算出する統計。
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749.6万件 | 748.8万件 |
前回は、市場予想を上回る結果となり、2月に昨年5月以来の低水準に減少したものの、そこから大幅増加となり、過去1年間で最大の増加幅となった。今回は、前回から更に増加が予想されており、労働力の需要が引き続き良好である結果が示されるのか注目したい。 |