前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から堅調な動きとなり、一時前日比392円高まで上昇したものの、ドル円・クロス円はパウエルFRB議長が利下げの可能性を示唆したことや、トランプ米大統領がメキシコへの強硬姿勢を示したことが改めて材料視され、リスク回避の動きが意識されたことからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その後は、欧州主要株価指数の上昇や、米国債利回りの上昇が影響し、底固い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された5月のADP雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、2010年3月以来9年2ヵ月ぶりの小幅な増加となったことを受けて、米FRBによる利下げの可能性が意識されたことや、米国債利回りの低下も加わり、ドルは主要通貨に対して下落した。その後、ナバロ米大統領補佐官(通商政策局長)が対メキシコ関税は発動する必要はないかもしれないと発言したことなどもあり、メキシコとの貿易摩擦が和らぐとの見方が広がり、ドルの買い戻しが優勢となった。さらに、米地区連銀経済報告で緩やかな経済の改善が示されたことや、米主要株価指数が堅調な動きとなったことが影響し、ドルは堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の株高を背景に、序盤は底固い動きとなった。さらに、米国の貿易摩擦が緩和するとの観測が広がったことから、相対的に安全な資産とされる円を売って、ドルを買う動きが広がったことも影響した。
(2)日経平均は序盤から400円近い上昇となったものの、ドル円・クロス円は海外市場でFRB議長の発言が利下げの可能性を示唆したと受け止められたことが意識されたことや、米10年債利回りが2.1296%から2.0898%まで低下したことを受けて、上値の重い動きとなった。ドル/円は、一時107.97まで下落した。
(3)値頃感の買い戻しに加え、欧州主要株価が堅調な展開で始まったこと、また低下した米10年債利回りが2.1261%まで反発したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
(4)5月のADP雇用統計で、雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、2010年3月以来9年2ヵ月ぶりの小幅な増加となったことを受けて、米FRBによる利下げの可能性が意識された。また、政策金利の動向に敏感な2年債利回りは一時1.7687%まで低下し、2017年12月以来約1年半ぶりの低水準となるなど、米国債利回りの低下も加わり、ドルは主要通貨に対して下落した。ドル/円は、一時108.82まで下落し、1/10以来の安値を更新した。
(5)5月の米ISM非製造業景況指数が市場予想を上回り、特に雇用指数が昨年10月以来7ヵ月ぶりの高水準となったことに加え、ナバロ米大統領補佐官(通商政策局長)が対メキシコ関税は発動する必要はないかもしれないと発言したことや、上院共和党のグラスリー財政委員会委員長が米国はメキシコに完全を課さない見通しと発言したとの報道を受けて、メキシコとの貿易摩擦が和らぐとの見方から、ドルの買い戻しが優勢となった。さらに、米地区連銀経済報告で経済が緩慢なペースで成長しており、改善が見られると指摘したことや、米主要株価指数が堅調な動きとなったことも影響し、ドルは堅調な動きとなった。
本日のトピックス
本日は、欧州ではECB理事会とドラギ総裁の定例会見が予定されている。金融政策の変更の可能性はないものの、会見での総裁の発言内容が注目される。一方、米国市場では、米貿易収支の発表が予定されており、特に前回対中赤字が2016年以来の低水準に減少したことから、引き続き減少となるのか、再び増加するのか注目したい。当局者の発言では、ダラス連銀総裁、NY連銀総裁の発言が予定されている。さらに、米国とメキシコの通商協議が実施されることから、協議の結果や関係者の発言などにも注目したい。
6/6の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
4月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-507億USD | -500億USD |
前回は、市場予想を下回ったものの、2ヵ月連続で500億ドルを上回る赤字額となった。ただ、対中赤字は3年ぶりの低水準に縮小した。今回は、貿易赤字が前回から拡大すると予想されているが、対中赤字の改善が続くのかどうかにも注目したい。 |
気まぐれ投資コラム
テクニカル分析 RSI(Relative Strength Index) その2
RSIは、通常価格と同じ方向に動きますが、高値圏や安値圏において価格の動きと逆方向に動く現象が見られる場合があります。これがRSIの逆行現象(ダイバージェンス)で、基本的には指数が70%以上、または30%以下の時には重要な売買シグナルとされています。逆行現象(ダイバージェンス)は、RSIの中で最も信頼性の高い現象として注目されています。
【売買のタイミングのヒント】
比較的信頼度が高いチャートパターンであることから、この形の時を狙って売買をするという方もいます(日足だけでなく、時間足や分足を使用するケースも)。
※出所:FX総合分析チャート