前営業日トピックス
前週末、米国発の貿易問題による世界経済への減速懸念を背景にNY株式市場が急落したことを受け、比較的安全な通貨とされる円買いの流れを引き継ぎ、週明けの東京市場ではドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価、上海総合などのアジア株の下落に加え、NY株式先物の下落も嫌気され、上値の重い動きが続いた。
NY市場では、序盤に発表された5月のISM製造業景況指数が2016年10月以来の低水準となったほか、セントルイス連銀総裁が、「近く利下げが適切になる可能性も」と発言したことを受けて、ドルは対主要通貨で全面安となる中、米10年債利回りが2017年9月以来1年9ヵ月ぶりの低水準に低下とともにドル/円は一時107.88まで下落し、1/10以来の安値を付けた。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)前週末にトランプ米大統領がメキシコの移民対策が不十分として、輸出品に関税をかける方針を示したことを受け、逃避先通貨としての円買いとなった流れを引き継ぎ、昨日の東京市場でも序盤からドル円・クロス円は軟調な動きとなった。さらに、日経平均株価が序盤に一時300円近く下落したことも、ドル円・クロス円の圧迫要因となった。
(2)日経平均株価の下げ幅縮小や、5月の中国財新製造業PMIが市場予想を上回ったことから、ドル円・クロス円は若干買い戻されたものの、上昇して始まった上海株がマイナス圏に下落したことや、米株価先物が軟調な展開となったことが影響し、上値の重い動きとなった。
(3)序盤に発表された5月の米製造業PMI改定値が2009年9月以来の低水準、5月のISM製造業景況指数が2016年10月以来の低水準となったことが影響し、序盤のドルは上値の重い動きとなった。しかし、ダウ平均株価がプラス圏で推移したこともあり、ドルは底固い動きとなった。
(4)FOMCの投票権を有するセントルイス連銀総裁が、「貿易戦争がもたらす経済への下振れリスクに対応するには、近く利下げが適切になる可能性も」と発言したことを受けて、ドルは一段の下落となった。さらに、米10年債利回りが2.059%まで低下し、2017年9月以来1年9ヵ月ぶりの低水準に低下したことから、ドル売り・円買いが優勢となり、ドル/円は一時107.88まで下落し、1/10以来の安値を付けた。
本日のトピックス
本日、午後に豪中銀の政策金利発表が予定されており、結果が注目されている。マーケットでは利下げが予想されており、金利先物市場での利下げ予想確率は100%となっている。また、夕方(18時半予定)にはロウ豪中銀総裁の発言が予定されており、今後の金融政策に関する発言にも注目したい。
米国市場では、製造業受注、耐久財受注の発表が予定されているが、重要視されている速報値の発表でないことから、大きな修正がなければ、反応は限定的と考えられる。その中で、6/18-19の米FOMCを控えて、来週から当局者の発言が規制されるが、今週は週末まで連日当局者の発言が予定されており、発言の内容が注目される。昨日は、セントルイス連銀総裁の発言を受けてマーケットが反応しており、本日はNY連銀総裁の講演やパウエルFRB議長、ブレイナードFRB理事の討論会で発言が予定されている。
6/4の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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23:00 | 米国 |
4月製造業受注指数(前月比) ![]()
製造業新規受注は、米国の製造業の新規受注など受注関連を集計した経済指標であり、設備投資などの先行指標とされている。特に振幅の大きい航空機を除いた非国防資本財受注が注目されることもある。
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-1.0% | 1.9% |
前回は、市場予想を上回り、2018年8月以来の高い伸びとなりた。新規受注や資本財、耐久財の受注が大きく伸びたことが影響した。今回は、前回からの反動で低下が予想されている。米中通商問題の影響が出ているとの指摘もあり、今後の結果にも注目したい。 |