前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価や上海株などアジアの主要株価が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一時、実需の月末のドル買いフローなども観測され、反発する場面もあったが、米中の対立長期化への懸念が燻っていることでリスク回避も意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
米国市場では、米中の貿易摩擦激化への懸念が強まったことを背景に、米主要株価が下落したことを受けて、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが2017年9月以来約1年8ヵ月ぶりの低水準に低下したことも影響し、ドル/円は一時109.20まで下落した。その後は、一時400ドル以上下落したダウ平均株価が下げ幅を縮小したことや、米国債利回りの上昇を受けてドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は109.70まで上昇した。さらに、モラー特別検察官が、ロシア疑惑捜査ではトランプ大統領が司法を妨害したか判断がつかないとの結論に達したと発言したことも、ドルの下支え要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が前日比で一時370円以上の下げとなったことや、米長期債利回りが低下したことを受けて、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は一時109.15まで下落したが、その後日経平均株価が下げ幅を縮小したことや、スポ末(スポット取引の決済が月末となる)で実需のドル買いが観測されたこともあり、仲値公示にかけて堅調な動きとなった。
(2)上昇一服後は、新規材料に乏しく、ドル円・クロス円はやや底固い動きが見られたものの、米10年債利回りが下げ幅を拡大し、序盤の2.2658%から2.2238%まで低下したことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。さらに、米中対立長期化への懸念も圧迫要因となり、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが見られたことも、リスク回避につながった。
(3)米国の対中通商政策に対抗する手段として、レアアースの対米輸出を規制する可能性を示唆した中国共産党機関紙の記事を受けて、米中の貿易摩擦激化への懸念が強まったとの見方が広がり、欧米の主要株価が大きく下落となった。リスク回避の動きから、ドル円・クロス円は序盤から上値の重い動きとなった。さらに、米10年債利回りが一時2.2081%まで低下し、2017年9月以来約1年8ヵ月ぶりの低水準となったことも影響し、ドル/円は一時109.20まで下落した。一方、カナダ中銀が政策金利を据え置いたが、現行の緩和度合いは適切とした声明を受けて、カナダ・ドルは下落となり、対米ドルで一時1/3以来の安値を付けた。また、アイルランド首相が、英国のEU離脱がさらに10月に延期される可能性があると発言したことが影響し、ポンドは対円で一時1/15以来の安値を付ける場面もあった。
(4)その後は、一時400ドル以上下落していたダウ平均株価が下げ幅を縮小したことや、米7年債入札で応札倍率が低下したことで債券売りとなったことを受けて、米10年債利回りが2.2657%まで上昇したことも加わり、ドル買い・円売りが優勢となり、ドル/円は109.70まで上昇した。さらに、モラー特別検察官が、ロシア疑惑捜査ではトランプ大統領が司法を妨害したか判断がつかないとの結論に達したと発言したことも、ドルの下支え要因となった。
本日のトピックス
昨日の海外市場では、米中の貿易摩擦激化への懸念を背景に投資家のリスク回避の動きが強まったことから、欧米の株価が大きく下落したが、株価の下落幅の割にはドル円・クロス円の下値は限定的だった。その後、株価が下げ幅を縮小すると、ドル円・クロス円は大きく反発となり、改めてドル/円の109.20台近辺での底固さが示された。一方、上値は60台から70台で抑えられており、ここを上抜けるかが目先のポイントと見られており、注目が集まっている。
米国市場では、第1四半期のGDP(改定値)の発表が予定されている。前回の速報値は、予想を上回る伸びとなったものの、個人消費が予想通りの低下となり、2018年1-3月期以来の低い伸びとなったことが懸念要因となっている。今回は改定値で大きな修正がなければ、反応は限定的と考えられる。
一方、米中の貿易問題での対立の長期化への懸念が依然として燻っており、これがドルなどの圧迫要因となっている。訪日を終えたことから、再びトランプ米大統領が問題に関する発言や発信をする可能性も指摘されており、発言などには注意したい。
5/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
1Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
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3.1% | 3.2% |
前回の速報値では、市場予想を上回り、2四半期ぶりに3%台に改善した。個人消費が3四半期連続の低下となり、2018年1-3月期以来の低水準となったものの、輸出や在庫が伸びたことが全体を押し上げ、個人消費の低下をカバーした。今回の改定値は、若干の下方修正が予想されており、大きな修正がなければ、マーケットの反応は限定的だろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月中古住宅販売成約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.5% | 3.8% |
前回発表は、市場予想を大きく上回る結果となり、2月の大幅低下から改善した。2月の低下が2010年10月以来の高水準となった1月の結果の反動だったことが示される結果となり、住宅ローン金利の低下や賃金の伸びも影響し、購入意欲が高まっていることが示された。今回も安定的な結果が見られるのか注目したい。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
相場の方向性を示すとされる一目均衡表の基準線は、109.02を付けてから昨日まで110.711での横ばいが続いていたが、本日から下向きとなっており、6/11には109.99まで低下する。
5月序盤に基準線を下抜けてからは、基準線の方向性に合わせた流れが続いており、引き続き基準線に合わせた動きが続くのか、近づく基準線の上抜けをトライする展開となるのか注目される。
目先の上値のポイントは、109.742、転換線(本日は109.91、来週3日に109.886、4日に109.756)となり、ここを上抜ければ、基準線をトライする展開が考えられる。一方、下値のポイントは、引き続き109.02となる。