前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、堅調な展開で始まった。日経平均株価の上昇を受けて、ドル/円は一時110.62まで上昇したものの、日経平均株価がその後マイナス圏に下落するなど、上値の重い動きとなったことに加え、米国が中国の監視関連企業のブラックリスト掲載検討との報道を受けて、米中貿易摩擦の激化懸念が強まり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。
米国市場でも、トランプ政権が中国の監視機器メーカーに対して、部品などの米製品の禁輸措置を検討しているとの報道が材料視され、米中摩擦激化への懸念が意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。また、米主要株価指数が序盤から下落したことや、米国債利回りが低下したことも圧迫要因となった。FOMCの議事要旨では、引き続き見通しの下振れリスクが指摘されたことや、当分忍耐強い政策が適切との認識が示されたものの、マーケットの反応は限定的だった。
米ドル/円

※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れを受けて、ドル円・クロス円は序盤から底固い動きとなった。日経平均株価が前日比130円超の上昇となったが、その後2円高まで上げ幅を縮小したことが影響し、やや上値の重い動きとなった。
(2)新規材料に乏しい中、日経平均株価が再び上昇幅を拡大したことから、ドル円・クロス円も底固い動きとなり、ドル/円は110.62まで上昇した。その後は、米国が中国の監視関連企業の最大5社をブラックリストへの掲載を検討しているとの関係者の発言が報じられたことを受けて、米中貿易摩擦激化の懸念が意識され、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。一方、5/23-26の欧州議会選でポピュリズム勢力が拡大するとの懸念を背景に、ポジション調整などのユーロ売りも観測され、ユーロはドルや円などに対して軟調な動きとなった。
(3)トランプ政権が中国の監視機器メーカーに対して、部品などの米製品の禁輸措置を検討しているとの報道や、中国外相が米国と対等な立場でないなら、経済および貿易の対話には応じないと発言したとの報道を受けて、米中摩擦激化への懸念が意識され、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。その中で、ムニューシン米財務長官が、トランプ米大統領と習近平国家主席は6月末に会う可能性が高いと述べたことを受けて、一時反発する場面もあったが、反応は一時的だった。一方、メイ首相の出したEU離脱に関する提案への支持が広がらないことで、引き続き不透明感が強まっており、ポンドは主要通貨に対して上値の重い動きとなった。特に、対ドルでは1/4以来、対円では1/16以来の安値を付けた。
(4)米主要株価指数が序盤から下落したことや、米10年債利回りが2.428%から2.378%まで低下したことが圧迫要因となり、上値の重い動きが続いた。FOMCの議事要旨では、見通しの下振れリスクが指摘されたことや、当分忍耐強い政策が適切との認識が示されたが、マーケットの反応は限定的となり、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。一方、英保守党議員委員会がメイ首相退陣を現時点で追求しないと決定したことが好感され、ポンドは一時下げ幅を縮小した。
本日のトピックス
欧州経済の減速懸念が燻る中、本日はフランス、ドイツ、欧州の製造業・非製造業PMIの発表に加え、ドイツのIFO景況感指数など、比較的敏感に反応しやすい経済指標の発表が予定されており、結果が注目される。さらに、本日から5/26まで欧州議会選挙が予定されており、一部ではポピュリズム勢力が拡大するとの懸念も出ており、結果が注目されている。そして、懸念が高まる場合にはポジションの調整が進む可能性も考えられる。
米国市場では、新築住宅販売件数の発表が予定されており、前回2017年11月以来の高水準まで増加したものの、5/191に発表された米中古住宅販売件数が予想に反して減少となったことから、結果が注目される。一方、南アフリカ中銀の金融政策発表も予定されている。政策金利は、現行の6.75%に据え置かれるとの予想がコンセンサスとなっているが、物価見通しなどに関してハト派姿勢が示される場合には、ランド相場に影響する可能性も考えられる。欧州議会選挙、英政治情勢、米中貿易摩擦に関する報道に反応する展開が続いていることから、関連する報道や要人発言には注意したい。
5/23の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数 ![]()
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.5万件 | 21.2万件 |
前回は、市場予想を下回る結果となり、4/19以来の低水準に改善した。今回は、若干の増加が予想されているが、引き続き歴史的低水準で推移していることから、多少の結果の上下もそれほどマーケットには影響しないだろう。 | ||||
23:00 | 米国 |
4月新築住宅販売件数 ![]()
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
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67.0万件 | 69.2万件 |
前回は、市場予想を上回る伸びとなり、2017年11月以来の高水準となった。住宅ローン金利の低下が下支え要因となった。また、北東部が昨年7月以来の大きなマイナスとなったが、その他の地域で増加したことも影響した。今回は、若干の減少が予想されているが、昨年の平均が61.7万人、今年3ヵ月間の平均も66万件であることから、予想通りの低下となっても懸念が強まることにはならないだろう。 |