前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落して始まり、一時141円安まで下落したものの、その後は下げ幅を縮小し、午後には一時プラス圏まで反発したことから、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。その中で、豪中銀総裁が、6月の金融政策委員会で利下げを検討すると発言したことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。その後、上海株など、中国株が上昇したことや、欧州主要株価指数が堅調な展開で始まったこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。米国市場では、米政府が中国通信機器大手ファーウェイに対する米製品の輸出禁止措置の一部を90日間猶予すると発表したことが引き続き材料視され、米中貿易摩擦の懸念が和らぐとの見方が広がり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことに加え、米国債利回りの上昇も下支え要因となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)注目されたパウエルFRB議長の講演では、貿易と関税が金融政策の道筋に及ぼす影響を判断するのは尚早との考えを示したものの、マーケットの反応は限定的だった。その後、仲値公示にかけて実需のドル買い観測もあり、日経平均株価が冴えない展開となったにもかかわらず、底固い動きとなった。
(2)午後に入り、日経平均株価がプラス圏まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、豪州中銀の議事要旨で、労働市場が一段と改善しなければ利下げが適切になるとの認識を示されたことに加え、ロウ豪中銀総裁が6月に利下げを検討すると発言したことから、豪ドルは主要通貨に対して下落した。
(3)米政府が中国通信機器大手ファーウェイに対する米製品の輸出禁止措置の一部を90日間猶予すると発表したことを受けて、米中貿易摩擦の懸念が和らぐとの見方から、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。さらに、米主要株価指数が序盤から堅調な動きとなったことに加え、米10年債利回りが5/13以来1週間ぶりの高水準となったことも影響し、ドル/円は5/7以来の高値を付けた。一方、メイ英首相が国民投票再実施の議会採決を提案するとしたことを受けてポンドが上昇となり、対円では5/14以来の高値を付けた。しかし、提案への反対意見が報じられたことから懐疑的な見方も広がり、その後は上値の重い動きとなった。
本日のトピックス
先週、米政府が中国通信機器大手ファーウェイに対する制裁措置を発表したが、昨日米製品の輸出禁止措置の一部を90日間猶予すると発表したことから、米中貿易摩擦の懸念が和らぐとの見方が広がったものの、貿易問題は依然として先行き不透明であるとの見方も根強く、報道や要人発言に敏感に反応する展開が続くだろう。一方、英国でもEU離脱問題に関する動きが出ており、こちらも依然として先の読みにくい状況であることから、関連する報道などに注意したい。
米国市場では、主要な経済指標の発表がないものの、FOMC議事要旨の公表が予定されている。FRBの利下げに関する思惑を背景に、米金利先物市場では秋以降の利下げ予想確率が50%を上回っている。今週の米当局者の発言でも利下げの可能性を示唆する発言もあったことから、前回の議論の中で利下げに関する具体的な議論があったのかどうか注目されている。
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、堅調な動きが続いているものの、上値は一目均衡表の基準線(110.711)の手前で抑えられている。ここから基準線を上抜けて一段の上昇となるのか、失速して上値の重い動きとなるのか注目したい。
基準線が位置する110.71は、直近高値の112.40から109.02までの下落に対する半値戻しのポイントであること、またその上には一目均衡表の雲下限ライン(110.80台)が位置していることもあり、やや上値が意識されている。一方、オシレーターのMACDでは、両線がクロスしているが、ここから両線の乖離幅がさらに拡大するのか注目される。乖離幅の拡大が見られなくなる場合には、上値の重い動きが続く可能性も考えられる。