前営業日トピックス
東京市場では、米中貿易摩擦が激化するとの懸念を背景に、米主要株価指数が大幅に下落したことを受け、日経平均株価も序盤から300円以上の下落となったことで、相対的に安全な通貨とされる円を買う動きが優勢となった。ただ、ドル/円は109円台では値頃感の買い戻しが入る一方、400円超下落していた日経平均株価が終盤に下げ幅を縮小したこともあり、底固い動きとなった。
米国市場では、トランプ米大統領が、中国の副首相は通商協議を合意成立させるために訪米するとの見方を示したことが好感され、米中通商協議に対する楽観的な見方が広がり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後、米報道官が中国側から合意に前向きな示唆があったと発言したこともあり、底固い動きが続いた。しかし、米政府が中国製品に対する関税を5/10に引き上げると官報で発表したことを受けて、一転して軟調な動きとなったが、米中通商協議の結果を見極めたいとの思惑も根強く、全般的に小動きの展開となった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の軟調な流れが一服しており、序盤から小動きの展開となった。日経平均株価が序盤から前日比300円以上の下落となったこともあり、ドル/円は一時110.11まで下落したものの、底固い動きとなった。
(2)日経平均株価が下げ幅を拡大したこともあり、円買いの流れは変わらず、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドル/円は、一時109.90まで下落し、3/25以来1ヵ月半ぶりの安値をつけた。しかし、109円台では値頃感の買い戻しから底固い動きが見られた。また、400円超下落していた日経平均株価が下げ幅を縮小して終了したことも加わり、底固い動きとなった。一方、ニュージーランド中銀が政策金利を0.25%引き下げたことから、NZドルは下落となり、NZ/円は1/4以来の安値を付けた。また、豪ドルもNZドルに連れ安となった。
(3)トランプ米大統領が、中国の副首相は通商協議を合意成立させるために訪米との見方を示したことが好感され、米中通商協議に対する楽観的な見方が広がり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、結果を見極めたいとの思惑も根強く、やや上値は限定的だった。
(4)米報道官が、中国側から合意に前向きな示唆があったと発言したことを受けて米主要株価が上昇すると、ドル円・クロス円も底固い動きとなった。しかし、米政府が中国製品に対する関税を5/10午前0時1分に引き上げると官報で発表したことに加え、中国が報復措置を取る可能性を示唆したことから一転して軟調な動きとなった。その後、米10年債入札では、応札倍率が2008年3月以来の低水準となり、需要が低調だった。また、最高落札利回りが3月以来の高水準となったこともありドルが買われたが、上昇は一時的だった。
本日のトピックス
米中通商協議は、本日から明日までの予定で実施される。昨晩、米政府が中国製品に対する関税を5/10午前0時1分に引き上げると官報で発表、一方中国は報復措置を取る可能性を示唆したことから、先行き不透明感が強まっている。そして、中国の劉鶴副首相が協議に臨むために訪米していることから、協議の結果を見極めたいとの思惑が根強く、様子見ムードが強まる可能性も考えられる。
米国市場では、3月の米貿易収支の発表が予定されており、結果を受けて米中通商協議の行方に関する思惑が交錯する可能性が考えられる。今回は、赤字額の若干の拡大が予想されているが、特に対中赤字が拡大しているのか、縮小しているのかが注目されている。中国の税関ベースでは、3月の対米黒字額が減少していたことから、米国の対中赤字も減少している可能性も考えられる。一方、昨日から投票が始まった南アの総選挙に関する報道にも注目したい。
5/9の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
3月貿易収支
貿易収支は、米国から輸出された金額と米国へ輸入された金額の差額。米国では、輸出、輸入ともモノだけではなくサービス(運賃や保険、観光など)も含まれる。
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-503億USD | -494億USD |
前回は、市場の予想以上に赤字額が縮小し、2018年6月以来の水準に改善した。民間航空機の輸出急増が影響した。対日赤字は+14.3%の59.4億ドル、対中赤字は-28.2%の247.6億ドルとなった。今回は、赤字額の拡大が予想されているが、特に米中通商協議が佳境を迎えていることから、対中赤字の結果が注目される。 |