前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が下落して始まったものの、EU緊急首脳会談や、ECB理事会とドラギ総裁の会見、FOMC議事録公開などが予定されていたことから、結果を見極めたいとの思惑が強く、様子見ムードが強まり、限定的な動きとなった。その中で、豪中銀当局者の発言を受けて、豪ドルはドルや円に対して堅調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米消費者物価指数の前年比ベースのコア指数が予想外の低下となったことを受けて、米長期金利が低下となり、ドルは軟調な動きとなった。さらに、上昇して始まったダウ平均株価がマイナス圏まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。FOMC議事録では、予想よりもハト派的でないと受け止められたことで、ドルは底固い動きとなった。一方、ドラギECB総裁が理事会後の会見で、ユーロ圏経済は今年さらに減速したと指摘したことを受けて、ユーロは下落となった。終盤には、マイナス圏で推移していたダウ平均株価がプラス圏に上昇したこともあり、底固い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日経平均株価が寄り付きで200円以上の下落となったものの、111円台前半では値頃感の買い戻しが入り、ドル/円は底固い動きとなった。更に、実需の売買が集中する五・十日で、実需のドル買い観測もあり、ドルは底固い動きが続いた。
(2)アジア株がほぼ全面安となったことや、米10年債利回りが2.500%から2.482%まで低下したことも加わり、ドルは上値の重い動きとなった。一方、豪中銀副総裁が、豪州の労働市場は驚くほど堅調、雇用の先行指標は引き続き力強いとの見解を示したことを受けて、豪ドルは堅調な動きとなった。豪ドルは、対円で79.04から79.47まで上昇、対ドルでは0.7112から0.7148までそれぞれ上昇した。
(3)米消費者物価指数では、前年比ベースで市場予想を上回り、前月から上昇したことを受けて、ドルは一時上昇したものの、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が予想外の低下となり、2018年2月以来の低い伸びとなったことで米長期金利が低下となり、ドルは軟調な動きとなった。さらに、上昇して始まったダウ平均株価がマイナス圏まで下落したことも加わり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、ドラギECB総裁が理事会後の会見で、ユーロ圏経済は今年さらに減速したと指摘した上で、マイナス金利の副作用について分析すると発言したことを受けて、ユーロは下落となった。
(4)FOMC議事録では、大半のメンバーが「忍耐強さが必要」と指摘したものの、年内の利下げを予想するメンバーがいなかったことから、予想よりもハト派的でないと受け止められたことで、ドルは底固い動きとなった。その後は、ダウ平均株価がプラス圏まで値を戻したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
東京市場の序盤に、トゥスクEU大統領が、EU27ヵ国と英国で10/31までの柔軟な離脱延期で合意したと発表したが、ポンドの反応は限定的だった。今後のスケジュールや、欧州議会選挙への参加など、依然として不透明感があることから、引き続き思惑が交錯する展開が考えられる。
一方、米国はトルコへのミサイル売却を見送っているが、これに対しトルコ外相がロシアからのミサイルシステム購入の可能性を示唆した。これを受けて、米国とトルコの関係悪化が懸念されており、トルコ・リラの圧迫要因となる可能性が考えられる。そのため、関連する報道や要人発言には注目したい。
米国では、FRB副議長など、複数の当局者の発言が予定されており、最近の冴えない米経済指標を背景に、年内の利下げの可能性に言及するなど、昨晩公開されたFOMC議事録の内容と乖離する場合には、ドルの圧迫要因となる可能性が考えられる。
4/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
21:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
|
21.0万件 | 20.2万件 |
前回は、市場予想を下回り、1969年12月以来49年ぶりの低水準に改善し、労働市場の引き締まりが続いていることが示唆された。今回は、若干の増加が予想されているが、予想通りでも歴史的な低水準であることから、懸念要因にはならないだろう。 | ||||
21:30 | 米国 |
3月生産者物価指数(前年比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
|
1.9% | 1.9% |
前回は、市場予想と一致したものの、2017年6月以来の低い伸びとなった。エネルギーが上昇したものの、商業や運輸・倉庫がマイナスとなったことが影響した。今回は、前回から横ばいの伸びが予想されているが、原油価格が2月よりも上昇するなど、今年に入り上昇が続いていることから、2017年6月以来の低水準からの改善の兆しが見られるのか注目される。 |