前営業日トピックス
米国市場の引け後に、英議会でメイ首相のEU離脱協定案の代替案の採決が実施され、いずれの案も過半数を上回らなかったとの報道を受けて、ポンドは主要通貨に対して大きく下落した。東京市場では、前日の海外市場の株高を背景に、序盤から堅調な動きとなったものの、その後は上げ幅を縮小し、終盤にマイナス圏に落ち込んで終了したこともあり、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米耐久財受注で、コア資本財受注がマイナスに転じたこともあり、ドルはやや上値の重い動きとなった。その後は、目立った取引材料に乏しく、米中通商協議を控えて様子見ムードが見られる中、小動きの展開が続いた。一方、メイ英首相が、EU離脱に関する行き詰まり打開のため、野党の労働党党首との協議を提案したことなどを受けて、ポンドが主要通貨に対して上昇した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)英議会でメイ首相のEU離脱協定案の代替案の採決が実施され、いずれの案も過半数の支持が集まらなかったとの報道を受けて、マーケットでは4/12の合意なき離脱への懸念が高まり、ポンドは序盤から急落となった。ドル円やその他のクロス円は限定的な動きとなった。
(2)日経平均株価は、前日比235円高で始まったものの、上げ幅を縮小し、終盤にマイナス圏まで下落したことから、ドル円・クロス円は上値の重い動きが続いた。さらに、米10年債利回りが、2.488%から2.467%まで低下したことも影響した。一方、豪中銀の金融政策発表があり、政策金利の据え置きが発表されたが、声明で低金利が豪州経済を支援するとしたことや、世界経済の下振れリスクが増したとの見解を示したことがハト派的と受け止められ、豪ドルは軟調な動きとなった。
(3)米耐久財受注が市場予想ほど大きなマイナスとはならなかったが、前回6ヵ月ぶりの大幅な伸びとなったコア資本財受注がマイナスに転じたこともあり、ドルはやや上値の重い動きとなった。しかし、指標結果を受けて、一時2.465%まで低下していた米10年債利回りが2.490%まで上昇したことから、ドルは底固い動きとなった。
(4)目立った取引材料に乏しく、米中通商協議を控えて様子見ムードが見られた。一方、メイ英首相がEU離脱に関する行き詰まり打開のため、コービン労働党党首との協議を提案したことや、短期のEU離脱延長が必要とし、5/22以前のEU離脱を目指すとしたことを受けて、ポンドはドルや円などの主要通貨に対して上昇した。
本日のトピックス
英国のEU離脱問題の今後の展開が読み切れない中、一般議員らには立法議案の主導権を握り、妥協案を探る機会が4/3に再び与えられる。4/1の投票で反対と賛成が3票差となった関税同盟への残留案が、4/3も引き続き支持を集められるかがポイントとなる。EU離脱担当相は、離脱延期の長期化を避けるため、メイ首相の離脱案を今週議会で4度目の採決に付す可能性を示唆している。
米国市場では、ADP雇用統計、ISM非製造業景況指数の発表が予定されており、週末の米雇用統計を予想する上で参考にされる指標であることから、結果が注目されている。また、ワシントンで米中通商協議も再開されることから、関連する報道や要人発言にも注目したい。
4/3の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:15 | 米国 |
3月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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17.5万人 | 18.3万人 |
前回は、市場予想を下回り、3ヵ月ぶりの低水準となった。1月に+30万人となった反動もあり、2月は伸び幅が大きく縮小した。今回も若干の減少が予想されているが、大幅低下とならなければ、反応は限定的とも考えられ、労働市場が引き続き景気を下支えていることが示唆されるのか注目したい。 | ||||
23:00 | 米国 |
3月ISM非製造業景況指数
ISM非製造業景気指数は、全米供給管理協会(Institute for Supply Management=ISM)が発表する米国の非製造業(サービス業)の景況感を示す指数。管理責任者に対するアンケートを集計した指数であり、50が景気の拡大・後退の判断基準であり、50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退と判断する。
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58.0 | 59.7 |
前回は、市場予想を上回り、3ヵ月ぶりの上昇となった。新規受注が前月から7.5ポイント上昇したことが押し上げ要因となったが、雇用は2.6ポイント低下した。今回は、若干の低下が予想されているが、昨年6月以来の低水準に落ち込んだ雇用指数が改善するのか、悪化が続くのか注目したい。 |