前営業日トピックス
東京市場では、海外市場の流れを受けて、上値の重い動きとなった。そして、中国の輸出が市場予想を下回る大幅減少となり、中国の景気悪化への懸念が広がったことで、中国株を中心にアジア株が軒並み大幅下落となるなど、投資家のリスク回避の動きが強まったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想以上の低下となったことを受けて、ドルは一時軟調な動きとなった。しかし、失業率や賃金が予想以上に改善したことから、下値は限定的となり、その後は値を戻した。ただ、終盤にかけては上値の重い動きが続いた。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の株価下落を背景に、日経平均株価が下落して始まったことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。
(2)中国の2月の貿易統計が悪化したことを受けて、中国の景気低迷に対する懸念を背景に、日経平均株価が2%以上の下落となり、上海株が4%以上の下落となったことで、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(3)米雇用統計を控えて様子見ムードが強まり、小動きの展開が続いた。そして、米雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想以上の低下(+2.0万人)となり、1年5ヵ月ぶり低い伸びとなったことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。
(4)一方、失業率が予想以上の改善となったことや、賃金が前年比ベースで2009年4月以来の高い伸びとなったことが下支え要因となった。さらに、株価が下げ幅を縮小したことや、米国債利回りの上昇も加わり、雇用統計の結果を受けて下落した分を帳消しにした。ただ、その後は終盤まで上値の重い動きが続いた。一方、メイ英首相は、EU離脱問題に関する来週の議会採決で離脱案が否決すれば、EU離脱は成し遂げられない可能性もあると発言したことから、ポンドは上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
前週末の米雇用統計では、安定的な雇用の伸びとされる+20万人を大幅に下回ったことで、米景気の減速懸念が強まる可能性が考えられる。今回の悪化が一時的なのかどうかがポイントとなり、次回の雇用統計の結果が注目されるだろう。そして、米FRBは米国や世界的な景気減速を警戒して、利上げを一時停止して雇用や物価の動向を見極める姿勢を示していることもあり、来週のFOMCが注目される。 先週、ドル/円は112円近辺で上値の重い動きが続き、失速し始めていることから、本日は111円台を維持して底固い動きとなるのか、下抜けて上値の重い動きが続くのか注目される。
米国市場では、小売売上高の発表が予定されており、前回9年ぶりの大幅な減少となったことから、前回の悪化が一時的だったのか注目されている。なお、米国市場は3/10から夏時間に移行している。
3/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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21:30 | 米国 |
1月小売売上高(前月比)
小売売上高は、米国商務省が百貨店やスーパーの売上調査を基にして発表している指標である。個人消費はGDPの約70%を占めており、小売売上高は個人消費の動向を見る上で重要な経済指標の一つであり、米国経済に与える影響も大きいため注目されている。
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0.0% | -1.2% |
前回は、市場予想を大幅に下回り、2009年9月以来のマイナス幅となった。12月のNYダウ平均株価は月間で4000ドル以上下落したことや、政府機関の一部閉鎖が影響したと思われる。1月はNYダウは持ち直していおり、前回の低下が一時的な影響なのか、景気減速での低下なのかの判断されることから結果が注目される。 |
本日のトレードポイント
※出所:FX総合分析チャート 日足
ドル/円は、112円台近辺で上値の重い動きとなり、失速している。先月下支えのポイントとなった一目均衡表の転換線を下抜けている。ここから重要なポイントとされる基準線を下抜けて一段の下げとなるのか、底固い動きとなり、再び転換線の上側で推移するのか注目される。
下値のポイントと見る一目均衡表は、本日110.781に位置しているが、12日・13日には110.846、14日には109.607、15日には109.650、18日には109.750となる。ここを下抜ける場合には、トレンドラインや雲上限ラインが次の下値ポイントとなる。雲下限ラインは、15日まで109.482で横ばいが続く。一方、上値のポイントとなる一目均衡表の転換線は、本日が111.243に位置しているが、12日には111.398、13日には111.461となる。
オシレーターのMACDでは、両線がクロスしており、軟調な展開を示唆する形状となっていることから、ここからマイナスゾーンで乖離幅が拡大するのか注目される。
気まぐれ投資コラム
ドルの主要通貨に対する買い越し額は昨年12月下旬以来の高水準
CFTC(米商品先物取引委員会)が発表したIMM通貨先物の投機部門の取組(3月5日までの週)では、ドルの主要6通貨に対する買い越し額が285億7000万ドル(前週の238億4000万ドル)となり、昨年12月下旬以来の高水準となりました。また、主要10通貨に対する買い越し額は253億5200万ドル(前週235億2400万ドル)でした。
個別で見ると、対円では51306枚(前週39654枚)の売り越し、対ユーロでは78166枚(72455枚)の売り越し、対ポンドでは34929枚(25349枚)、対スイスでは24104枚(25349枚)の売り越し、対豪ドルでは40741枚(35743枚)の売り越しとなっています。
※出所:データを基にSBILMが作成
※出所:データを基にSBILMが作成