前営業日トピックス
東京市場では、日経平均やアジア株が軒並み下落したことを受けて、投資家のリスク回避の動きが強まり、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。しかし、午後に入り下落していた主要株価が下げ幅を縮小し、プラス圏まで上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は値を戻した。さらに、欧州主要株価指数が軒並み堅調な動きとなったことも押し上げ要因となった。
米国市場では、米消費者信頼感指数が予想以上の低下となったことや、ハイテク株を中心に株価が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ドルは、米長期金利の低下もあり、終盤まで上値の重い動きとなった。一方、英議会がEU離脱期限の延期を求める修正案を否決したことを受けて、ポンドは終盤に下げ幅を拡大した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。そして、中国の景気減速懸念などを背景に、日経平均株価が軟調な展開で始まり、一時242円安まで下落したことから、ドル円・クロス円は一段の下落となった。また、中国株価下落したことも圧迫要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価や中国株が急速に下げ幅を縮小し、ともにプラス圏まで上昇したことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、米長期金利が上昇したことも下支え要因となった。ただ、英国のEU離脱代替案の採決、米中貿易協議、FOMCなどのイベントを控えていることもあり、やや様子見ムードが出ていた。
(3)欧州主要株価指数が軒並みプラスに転じたことや、米10年債利回りが下げ渋り後に再び上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は米国市場序盤まで堅調な動きが続いた。
(4)米消費者信頼感指数が予想以上の低下となり、2017年7月以来の低水準となったことや、米国の一部冴えない決算発表を受けて、ハイテク株を中心に株価が軟調な動きとなったこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、ユンケル欧州委員長が、メイ首相に再交渉は不可能だと伝えたと発言したことを受けて、ポンドは主要通貨に対して軟調な動きが続いた。
(5)ドルは、米長期金利が2.74%から2.70%まで低下したことが圧迫要因となり、終盤まで上値の重い動きが続いた。ただ、FOMCや米中通商協議を控えていることもあり、やや限定的な動きとなった。一方、英議会がEU離脱期限の延期を求める修正案を否決したことを受けて、ポンドは終盤に下げ幅を拡大した。
本日のトピックス
東京市場では、前日の米国市場で株価が小動きとなった流れを受けて、日経平均株価も序盤から小動きの展開が続いている。そして、英国議会での採決結果を受けて大きく下落したポンドの下落も一服しており、マーケットの注目は次のイベントに移っている。そのため、やや限定的な動きが続く可能性も考えられる。
米国市場では、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の会見が予定されている。政策金利は据え置きがコンセンサスだが、米経済の鈍化懸念がある中、当局者のハト派的な発言が続いたこともあり、今年2回と予想されていた利上げ回数の変更が議論されるのか注目される。そして、最近の講演などでハト派的な発言をしていたパウエル議長が、会見で再びハト派的な姿勢を示す場合には、利上げペースの更なる後退(1回又は休止)が意識される可能性も考えられる。その場合、株式市場では好感されるが、ドル相場には圧迫要因となるだろう。
1/30の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:15 | 米国 |
1月ADP雇用統計
ADP雇用統計は、民間の給与計算代行サービス会社であるADP(Automatic Data Processing)社のデータを用いて、マクロエコノミック・アドバイザーズ社が発表している雇用統計。2200万人の支払い給与の動向に基づき算出、通常米国雇用統計が発表される2営業日前に発表されるため、米国雇用統計の結果を予想する上でよく参考にされる。
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18.5万人 | 27.1万人 |
前回は市場予想を上回り、2017年2月以来の大きな伸びとなった。建設業や製造業を含む財生産部門や、サービス業が大きく伸びたことが影響した。今回は、前月の大幅な伸びとなった反動から、伸び幅の低下が予想されている。昨年の平均が+20.6万人、6ヵ月平均が+20.8万人、3ヵ月平均が22.2万人であることから、予想通りの結果ならややドルの圧迫要因となる可能性も考えられる。 | ||||
0:00 | 米国 |
12月中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約は、全米不動産業者協会が発表する中古住宅販売の仮契約を指数化したもの。2001年を100として表す。仮契約は通常1-2ヵ月以内に本契約に移行するため、仮契約指数は中古住宅市場の先行指数とされる。
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0.5% | -0.7% |
前回は、市場予想を下回る結果となったものの、昨年1月以来の低水準となった前回からは上昇となった。ただ、2ヵ月連続のマイナスとなったことから、中古住宅市場の低迷が続いていることが示された。ローン金利の上昇や販売価格の上昇が引き続き圧迫要因となっている。今回は、プラスの伸びに改善するとの予想だが、本格的な改善まではまだ時間を要するだろう。 | ||||
4:00 | 米国 |
FOMC政策金利
FOMC(Federal Open Market Committee 連邦公開市場委員会)は、米国における金融政策の最高意思決定機関で、公開市場操作の方針を決定する委員会である。メンバーはFRBの議長、副議長を含7名の理事と、ニューヨーク連銀総裁、地区連邦準備銀行の総裁4名の計12名から構成されている。
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2.25%-2.50% | 2.25%-2.50% |
前回は、市場の予想通り利上げが決定されたものの、2019年の利上げペースは減速するとの見方が示された。今回は、金利据え置きがコンセンサスだが、結果発表後に予定されているパウエル議長の会見での発言内容が注目される。引き続きハト派的と受け止められる場合には、ドルの圧迫要因となるだろう。 |