前営業日トピックス
休場明けの東京市場では、日経平均株価をはじめとしたアジア株が上昇したことが好感され、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。また、ドル/円は先週末の高値を上抜けたことも、下支え要因となった。また、中国国家発展改革委員会が、一段の支援措置を講じる可能性を示唆したことも好感された。その後は、米長期金利の低下を受けて、上値の重い動きとなった。
米国市場では、序盤に発表された米経済指標が悪化したことから、ドルは軟調な動きとなった。しかし、中国の景気対策に対する期待感を背景に、投資家のリスク選好の動きから欧米の株価が堅調となったこともあり、ドルの下げは一時的となり、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。そして、注目の英国のEU離脱案の議会採決では、反対多数で否決されたことを受けて、直前まで下落が続いていたポンドは買い戻しが強まり、大きく反発した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)日本市場が休場明けで新規材料に乏しい中、序盤は小動きの展開で始まった。日経平均株価が下落して始まったものの、上昇に転じたことでドル円・クロス円は底固い動きとなった。さらに、休み明けの五・十日で主要銀行がドル不足との観測からドル買いが優勢となり、仲値公示近辺にかけてドルは堅調な動きとなった。
(2)先週後半のドル/円の高値である108.60近辺では、ストップロスの買いが観測されており、ここを上抜けてからドル買い・円売りが加速し、ドル円・クロス円は一段の上昇となった。また、中国国家発展改革委員会の声明で、一段の支援措置を講じる可能性に言及したことで、中国株が堅調な動きとなったことも影響した。
(3)米長期金利が低下したことや、上昇して始まった欧州主要株価指数が上げ幅を縮小してマイナス圏まで下落したこともあり、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。
(4)米国市場では、序盤に発表されたNY連銀製造業景況指数が2017年5月以来の低水準に悪化したことを受けて、ドルは軟調な動きとなった。しかし、中国が大規模な減税など一段の景気刺激策の導入を示唆したことから、投資家のリスク回避の動きが後退ており、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、ドラギECB総裁が「最近の経済動向は予想よりも弱い」など、ハト派的発言をしたことを受けて、ユーロはドルや円などに対して軟調な動きとなった。
(5)複数の米当局者から、「利上げを支持する要因は見当たらない」、「金利正常化を停止する良い時期の可能性」など、ハト派的な発言が続いたことから、ドルは下落に転じた。そして、注目されたメイ首相のEU離脱案の議会採決では、賛成202票、反対432票で否決されたことを受けて、ポンドは直前まで下落が続いた。しかし、買い戻しの動きに加え、EUが英国の離脱期限に関して6月末まで延期する用意があるとの関係者の話が報道されたことも材料視され、大きく反発した。また、この動きにドル円やほかのクロス円も連れ高となった。
本日のトピックス
注目された英国のEU離脱案の議会採決では、反対多数で否決された。ただ、ポンド売りの巻き戻しに加え、3/29の離脱期限に関して、EUが6月末まで延期する用意があるとの関係者の話が報道されたことも材料視された。そして、メイ政権に対する内閣不信任決議案が出されており、本日採決(日本時間17日午前4時頃)が予定されていることから、結果に注目したい。
また、トルコの政策金利発表が予定されており、主要政策金利である1週間物レポレートを24.00%に据え置くとの予想が大勢を占めている。12月の物価上昇率が20.30%と、15年ぶりの高い伸びとなった10月の25.24%から鈍化していることから、一部ではサプライズを予想する向きもある。トルコ経済の先行き不安が残ることから、当面は利下げを見送ると考えられるが、一応結果には注目したい。
米国市場では、住宅市場指数の予定されており、このところ結果に対する反応が見られる指標であることから、結果には注目したい。また、複数の米当局者の発言予定もあり、前日に当局者のハト派的な発言が続いたこともあり、発言の内容にも注目したい。
1/16の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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0:00 | 米国 |
1月NAHB住宅市場指数
NAHB住宅市場指数は、全米住宅建築業者協会(NAHB)が加盟業者を対象にした一戸建て住宅の販売状況調査を基にした指数。50が判断の基準となり、50を下回ると住宅建設業者の多くが現況を「悪い」とみていることを示すことから、住宅市場の先行指標となる。
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前回は、市場予想を下回り、2015年5月以来の低水準に落ち込んだ。また、先行きの見通しも大きく低下しており、住宅市場の鈍化傾向が影響していることが示された。今回は、前回から横ばいが予想されており、低下に一旦の歯止めがかかるのか注目したい。ただ、さらなる悪化となるようなら、ドル相場にも影響する可能性も考えられる。 |