前営業日トピックス
東京市場では、日経平均株価が序盤から軟調な動きとなったことが影響し、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、その後株価が一時プラス圏に上昇したことを受けて、ドル円・クロス円も上昇となったが、米FOMCを控えて様子見ムードが強まったことや、株価が再び下落したこともあり、上値の重い動きが続いた。
米国市場では、FOMCの結果発表を控えて様子見ムードが強く、序盤に発表された住宅関連の米経済指標が予想を上回る結果となったが、反応は限定的だった。そして、FOMCでは0.25%の利上げが決定されたことを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇となった。しかし、パウエルFRB議長の発言を受けて、米主要株価が大幅下落となり、リスク回避の動きからドル円・クロス円は軟調な動きとなった。株価の下げ一巡後、ドル円・クロス円は値を戻した。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の流れを受けて、小動きの展開で始まったが、日経平均株価が下げ幅を拡大したことに加え、時間外で米国債利回りが低下したことが影響し、ドル円・クロス円は一段の下落となった。特に、ドル円は一時112.20まで下落し、10/29以来の安値を付けた。
(2)前日比234円安まで下落した日経平均株価が一時53円高まで反発したことが好感され、ドル円・クロス円は反発となった。しかし、株価が再び下げ幅を拡大したことから上値の重い動きとなったが、米FOMCを控えて様子見ムードが強まっており、小動きの展開が続いた。
(3)FOMCを控えて様子見ムードが強いものの、来年の米国の利上げペースが減速するとの見方を背景に、ドルはやや上値の重い動きとなった。一方、イタリアの予算案の修正をめぐり、イタリアとEUが合意したことが好感され、ユーロはドルや円などに対して堅調な動きとなった。そして、米中古住宅販売件数が市場予想を上回る結果となったことを好感してドルが買われる場面もあったが、反応は一時的となり、ドル/円は112.09まで下落し、10/29以来の安値を付けた。
(4)FOMCでは、予想通り0.25%の利上げが決定されたことから、ドルは主要通貨に対して上昇した。しかし、パウエルFRB議長が会見で、世界景気の減速懸念に言及したことなどを受けて、ダウ平均株価がFOMC直前の前日比381ドル高から一時513ドル安まで大きく下落するなど、米主要株価が大幅下落となり、投資家のリスク回避の動きが強まったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。ただ、来年の米国の利上げ予想が3回から2回に下方修正されたものの、一部で予想されていたよりもペースの減速にはならなかったこともあり、ドルは主要通貨に対して堅調な動きが続き、ドル/円も終盤にかけて堅調な動きとなった。
本日のトピックス
東京市場では、午後に日銀の金融政策発表と、黒田総裁の会見が予定されているが、目新しいものはないとの見方が優勢であり、マーケットへの反応は限定的と見られている。一方、英国の金融政策発表も予定されているが、こちらも政策の変更がないものの、英国のEU離脱に関する影響などが声明などで指摘されるようなら、敏感に反応する可能性も考えられる。また、昨晩の米FOMCを受けて、株式市場や為替市場は乱高下となったが、改めて米国の利上げ決定や、来年の利上げペース(9月時点の3回から一部で懸念された1回ではなく、2回への下方修正だった)が材料視される可能性も考えられる。
米国市場では、新規失業保険申請件数、フィラデルフィア連銀景況指数、景気先行指数などの指標発表が予定されているが、年内最後のビックイベントであったFOMCが終了したことで、いよいよクリスマス休暇が意識され始めることから、限定的な動きも考えられる。ただ、依然として米中通商問題や、米国の予算問題に関する報道や要人発言には敏感に反応する可能性があることから、注意はしておきたい。
12/20の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
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22:30 | 米国 |
新規失業保険申請件数
新規失業保険申請件数は、労働省が失業保険を申請した人(失業者)の数を毎週発表する経済指標。毎週(木曜日)発表されるため、雇用情勢の速報性に優れており、雇用統計の先行指標として注目されている。ただ、米国の祝祭日や天候などの影響を受けやすいという点もある。
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21.5万件 | 20.6万件 |
前回は、市場予想に反して大幅減少となり、9/14の週以来の低水準に改善した。今回は、前週の反動で増加が予想されているものの、今年の平均が22.0万件であることから、反応は限定的だろう。また、予想に反して改善する場合には、1969/12/6までの週以来の低水準となった20.2件がポイントとなるだろう。 |
気まぐれ投資コラム
クリスマス休暇明けからの動き、今年はどうなる?
12/24は日本市場が休場(天皇誕生日の振り替え)、翌12/25にはクリスマスで米国、英国、ドイツなど主要な海外市場が休場、12/26には英国、ドイツ市場が休場となります。海外では、クリスマス前から年末年始の休暇を取るトレーダーも多く、日本でも輸出入企業などの参入もほとんどなくなることから、市場参加者が少なくなり、毎年薄商いとなります。
しかし、薄商いゆえに少ないフローで変動幅が大きくなることが多々見られます。グラフは、クリスマス休暇明けから年末までの4日〜5日間のドル/円の値幅(期間中の高安の値幅)を表したものです。昨年の4日間の高安の値幅は0.91円幅、過去10年間の平均が1.45円幅となっています。昨年1年間の平均は0.89円幅(過去10年間の1日の変動幅の平均は0.96円幅)であることから、クリスマス休暇明けから年末まで比較的動きが大きくなる傾向が伺えます。
2018年は、昨日までの1年間の1日当たりの変動幅の平均は0.70円幅、12月の平均は0.53円幅となっています。前年に変動幅が小さい場合には、翌年変動幅が大きくなるという傾向がグラフから見て取れます。根拠のない傾向ですが、どうなるのか注目です。特に、2012年、2014年、2016年には、1日に1円以上の急速な動きとなるケースも見られたことから、魅力もありますが、トレードに際しては十分に注意が必要です。
※出所:データを基にSBILMが作成