前営業日トピックス
東京市場では、米中通商問題の先行き不安を背景に、投資家のリスク回避の動きが意識され、相対的に安全な資産とされる円を買う動きが優勢となった。また、日経平均株価やアジアの主要株価が大幅下落となったことも影響した。その後は、新規材料に乏しい中、米長期金利が上昇したことを受けて、底固い動きが続いた。
米国市場では、英メイ首相がEU離脱協定案の採決延期を表明したことを受けて、米主要株価が軒並み大幅下落となり、投資家のリスク回避の動きが強まった。しかし、ドルが対ポンドで昨年4月以来の高値まで上昇したほか、対ユーロでも上昇するなど堅調となったことから、ドル円は底固い動きとなった。その後、大幅下落となった主要株価がプラス圏まで上昇したことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)米中通商問題に対する懸念を背景に、世界経済の減速への警戒感も出ており、投資家のリスク回避の動きから、相対的に安全な資産とされる円を買ってドルを売る動きが先行した。ただ、五・十日であり、仲値公示にかけては実需のドル買いフローも散見され、底固い動きも見られた。
(2)仲値公示通過後には実需のドル買いも細り、日経平均株価が大幅下落となったことを受けて、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。特に、米長期金利が低下したことを受けて、ドルは主要通貨に対して下落した。その後は、米長期金利が上昇に転じたこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
(3)米国市場では、引き続きドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、英メイ首相がEU離脱協定案の採決延期を表明したほか、合意無き離脱へ備える必要性に言及したことを受けて、ダウ平均株価が前日比500ドル以上の下落となり、投資家のリスク回避の動きが強まった。ドルは対欧州通貨など主要通貨に対して逃避先通貨として買われた。ポンドは、対ドルで昨年4月以来、対円で今年8/21以来の安値を付けた。一方、クロス円は大きく下落した。
(4)大幅下落となった米主要株価が反発となり、終盤にはプラス圏まで上昇したことに合わせて、ドル円・クロス円は底固い動きが続いた。
本日のトピックス
英国議会でのEU離脱合意案の採決が延期されたことから、ハードブレグジット(合意なしの離脱)に対するリスクも意識されている。英国議会は年内19日まで、年明けは1/7からとなっており、年内に採決を実施できるのか、年明けに持ち越されるのか注目したい。その中で、本日メイ英首相は、メルケル・ドイツ首相やルッテ・オランダ首相との会談を急遽予定しており、会談内容などが注目されている。
米国市場では、最近の米経済指標の結果などから、米国の景気減速懸念や、短期と中期の金利が逆転したことへの警戒感が出ている。また、米中通商問題への警戒感も再燃しており、関連する報道に敏感に反応するものの、今後の展開を見極めたいとの思惑も強いことから、限定的な動きが続く可能性も考えられる。
12/11の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
11月生産者物価指数(前月比)
生産者物価指数(PPI=Producer Price Index)は、米国内の販売業者の販売価格を調査し、算出した物価指数。特に、振れ幅の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数が重要視されており、消費者物価指数(CPI)と同様にインフレ圧力を測る指標として注目されている。
|
0.0% | 0.6% |
前回は、市場予想を大きく上回り、2012年9月以来6年ぶりの高い伸びとなった。財とサービスでコストが上昇したことが影響した。また、変動の大きい食品やエネルギーを除いた指数でも大きく上昇した。今回は、反動から伸び幅の低下が予想されているが、マイナスとならなければ、懸念は高まらないだろう。 |