前営業日トピックス
東京市場では、米国の対中追加関税が先送りされたことが好感され、投資家のリスク回避姿勢が後退したことから、ドル円・クロス円はギャップアップして始まった。日経平均株価も上昇して始まり、一時前週末比347円高まで上昇したものの、米中通商問題は最悪の事態を免れたが問題が解決されたわけではないとの冷静な見方もあり、ドルは主要通貨に対して上値の重い動きが続いたとなった。その後、欧米の株価上昇もあり、底固い動きも見られたものの、イタリアの財政問題に対する懸念が高まったことから、ユーロは軟調な動きとなった。
米国市場では、米長期金利の低下を受けて、序盤はドル売りが先行した。しかし、ISM製造業景況指数が予想を上回ったことや、米主要株価が軒並み上昇したことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。その後は、米長期金利の低下が続いたことや、株価が上げ幅を縮小したことから、上値の重い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)ブエノスアイレスでのG20首脳会議後に実施された米中首脳会談で、新たな関税の発動を先送りされ、貿易戦争を悪化させないことで合意した。この結果を受けて、アジア市場では、ドル円・クロス円はギャップアップして始まった。そして、日経平均株価が270円以上の上昇で始まったものの、マーケットでは追加関税は先送りされたにすぎず、解決に向けた議論は引き続き難航するとの見方もあり、上値の重い動きとなった。豪州は、中国との貿易上で関連の深いことから、豪ドル/円は90銭以上ギャップアップして始まり、6/13以来の高値を付けた。
(2)仲値公示後には、値を戻したものの、ドル円・クロス円は上値の重い動きとなった。ドルは、主要通貨に対して軟調な動きとなったこともあり、ドル/円も軟調な動きが続いた。米国の利上げペースが鈍化するとの思惑も、ドルの上値抑制の一因となった。
(3)欧州主要株価が堅調な展開で始まったことに加え、米株価先物も大幅上昇となったことを受けて、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。一方、イタリアの首相が、財政赤字を2%未満に抑える方向で取り組んでいないと発言したことを受けて、ユーロは主要通貨に対して軟調な動きとなった。
(4)米長期金利の指標とされる10年債利回りが、3.04%台から3.01%台まで低下したことから、米国市場ではドル売りが先行し、主要通貨に対して軟調な動きとなった。しかし、その後に発表された米ISM製造業景況指数が予想を上回る結果となったことに加え、米中貿易摩擦の懸念後退で米主要株価が軒並み大幅上昇となったことを受けて、投資家のリスクを回避姿勢が和らぎ、ドル円・クロス円は堅調な動きとなった。ただ、終盤にかけて米10年債利回りが3%割れまで低下したことや、株価が上げ幅を縮小したこともあり、引けにかけて上値の重い動きが続いた。
本日のトピックス
本日は、米国の主要な経済指標の発表がないものの、豪州の金融政策発表、南アのGDPが予定されており、こちらの結果が注目されている。前者は、政策金利の据え置きがコンセンサスとなっており、2016年8月に過去最低となる1.50%に引き下げて以降最長の据え置きが続いている。マーケットでは、2020年まで金利の据え置きが続くと見られているが、雇用や賃金の改善などもあり、声明や当局者の発言などから、利上げ開始時期のヒントがあるのか注目したい。また、南アのGDPは、ここまで2四半期連続でマイナス成長となっており、リーマンショック後以来の2期連続のマイナス成長が続いている。先月、景気後退局面での利上げを決定したことから、注目度が高まっている。今回は、プラス成長への改善が予想されており、予想通りならランド高に反応するだろう。しかし、予想に反してマイナス成長、またはゼロに近い成長率となるようなら、利上げは時期尚早だったとの見方も広がり、ランド下落となる可能性も考えられる。 なお、12/5に予定されていたパウエル米FRB議長による議会証言は、週末に死去したブッシュ元大統領を追悼するために中止が発表された。