前営業日トピックス
海外市場では、米国の株価上昇を受けて投資家のリスク回避の動きが後退し、安全な資産とされる円を売る動きが優勢となった。東京市場ではその流れが一服し、序盤から上値の重い動きとなった。そして、日経平均株価が上げ幅を縮小したことも影響したが、午後には再び上昇に転じたことから、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。その後、英国のEU離脱問題に関する報道を受けてポンドが下落、また米中通商問題に関する報道も加わり、ドル円・クロス円は乱高下した。
米国市場では、米主要株価が軟調な展開で始まり、ダウ平均株価が一時220ドルを上回る下落となったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。しかし、米消費者信頼感指数が予想通りの低下に留まったことが好感されたことや、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、米中首脳会談での合意の可能性に言及したことを受けて、米中首脳会談に対する期待感が高まった。また米主要株価がプラス圏まで反発したことも加わり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
米ドル/円
※出所:FX総合分析チャート10分足
(1)海外市場の堅調な流れが一服し、ドル円・クロス円は序盤から軟調な動きとなった。そして、上昇して始まった日経平均株価が上げ幅を縮小したことに加え、トランプ米大統領が中国との首脳会談で、貿易問題を巡り何も合意できなければ追加関税の対象を全輸入品に拡大する意向を示したとの報道が圧迫要因となった。
(2)午後に入り、日経平均株価が再び堅調な動きとなったことから、ドル円・クロス円は堅調な動きとなったものの、プラス圏で底固く推移していた中国株がマイナス圏に下落したことが影響し、ドル円・クロス円はやや上値の重い動きとなった。そして、トランプ米大統領と中国の習国家主席が通商問題で合意と報じられたことを受けて、ドル円・クロス円は急上昇したが、11/1の電話会談を指した中国報道官の発言だったことが明らかとなり、失速した。一方、トランプ米大統領がブレグジット合意は米英通商を阻害する可能性と指摘したとの報道を受けて、ポンドは主要通貨に対して下落した。
(3)注目されたクラリダFRB副議長の発言では、漸進的な利上げは適切だとの認識を示し、前回ほどハト派的ではなかったと受け止められたことから、ドルは底固い動きとなった。しかし、米主要株価が軟調な展開で始まったことから、ドル円・クロス円は軟調な動きとなった。一方、トランプ米政権が輸入車に対し早ければ翌週にも関税を導入する可能性があるとのドイツ紙の報道を受けて、ユーロが対ドルで1.13ドルを下回り、対円でもユーロは軟調な動きとなった。
(4)クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が、米中首脳会談での合意の可能性に言及したことから、米中首脳会談に対する期待感が高まり、下落していた米主要株価がプラス圏まで反発したこともあり、ドル円・クロス円は底固い動きとなった。
本日のトピックス
注目されたクラリダFRB副議長の講演での発言では、引き続き緩やかな利上げ継続が必要との見方を示し、初めての発言機会となった前回と比べ、ハト派的ではないと受け止められ、発言を受けてドルがやや買われた。
本日は、パウエルFRB議長の講演(日本時間29日AM2時頃)が予定されており、発言に注目が集まっている。10月には米経済見通しは良好との見方を示したが、2週間前には住宅セクターの減速や企業債務の膨張を注視しているとし、世界経済に成長鈍化の兆しが出ている可能性があると発言している。最近、米経済の鈍化懸念も出ていることから、発言がハト派的となる場合には、ドル相場に影響する可能性も考えられる。また、マーケットでは利上げペースの鈍化観測も出ていることから、来年の米利上げペースを巡る発言にも注目が集まっており、利上げペースが今後鈍化傾向と受け取られる場合には、ドルの一段の下げとなる可能性も考えられる。
その一方、週末のG20で米中首脳会談を控えてやや様子見ムードが強まりつつあることから、大きな動きにはつながらないとの見方もある。
また、米経済指標では、GDP、新築住宅販売の発表が予定されており、米経済の現状を見る上では、こちらの結果にも注目したい。
11/28の注目材料
時間 | 国・地域 | 経済指標・イベント | 予想 | 前回 |
---|---|---|---|---|
22:30 | 米国 |
3Q GDP(前期比年率)
GDPは、一定期間内に米国内で生み出された財とサービスの付加価値の額を合計したもので、国内の経済規模を測るための指標の一つ。GDPの伸び率は、経済成長率を表す指標として重要視されている。そして、個人消費はGDPのおよそ7割を占めることから、構成指数の中では特に重要視されている。
|
3.5% | 3.5% |
前回発表の速報値は、市場予想と一致し、4-6月期からは低下となったが、比較的高い伸びとなった。個人消費や在庫投資の増加が下支え要因となった。今回の改定値では、横ばいが予想されており、労働市場改善による賃金の上昇の影響が引き続き消費を押し上げる可能性もあり、個人消費の結果にも注目したい。 | ||||
0:00 | 米国 |
10月新築住宅販売件数
新築住宅販売件数は、米国内で販売された新築住宅件数(売買契約締結時点)を集計した経済指標であり、地域別の販売件数や販売価格、一戸建やコンドミニアム、集合住宅を含めた数字も発表されている。そして、景気動向の先行を見る上で注目されている指標の一つである。
|
57.5万件 | 55.3万件 |
前回は、市場予想を下回り、4ヵ月連続の低下となり2016年12月以来の低水準となった。引き続き住宅市場の鈍化傾向が続いていることが示された。今回は、反動から増加が予想されており、5ヵ月ぶりの増加となるのか注目したい。最近発表された住宅着工件数や中古住宅販売が増加したこともあり、改善期待も高まっている。 |